大学の学部はどう変遷したのか(1980年代前半)

今回も学校基本調査のデータをもとに大学の学部がどう変遷したのか見ていきます。今回は1980年代前半(1980年度~1984年度)です。

Contents

1980年度

学部数1,135学部(前年比+14学部)

新しく設置された学部:情報学部(文教大学)、図書館情報学部(図書館情報大学)

なくなった学部:なし

この年は情報学部が文教大学に、図書館情報学部が図書館情報大学に設置されました。前年の経営情報学部に続き、ここでも情報という名称を冠しています。ただし、図書館情報学部については、国立大学の合併時に筑波大学の一学部として合併し、その後学部自体も一学科として情報学群に吸収されました。

文教大学の情報学部は設置当初は広報学科と経営情報学科の2学科体制であり、経営学の色が強い学部でした。情報学部自体は現在では工業系の大学に多く設置されており、理系色の強い学部となっています。

この年度に新しく使用された言葉は「図書館」です。

学部名 学部数 前年比
総計 1,135 +14
文学部 137 +4
経済学部 130 +4
工学部 122 ±0
法学部 86 +4
医学部 77 ±0
教育学部 61 +1
商学部 48 ±0
理学部 45 ±0
薬学部 42 ±0
家政学部 39 ±0

1981年度

学部数1,147学部(前年比+12学部)

新しく設置された学部:なし

なくなった学部:衛生看護学部(聖路加国際大学)

この年は文学部や法学部など人文社会系の学部が増加しています。

増加した学部はありませんが、衛生看護学部が看護学部に名称変更されたことでなくなりました。正確には募集停止したため、次年度の学校基本調査では一度計上されて、再び次々年度になくなっています。このあたり調査時の定義がやや曖昧だったと推測されます。

学部名 学部数 前年比
総計 1,147 +12
文学部 141 +4
経済学部 130 ±0
工学部 124 +2
法学部 88 +2
医学部 77 ±0
教育学部 61 ±0
商学部 49 +1
理学部 45 ±0
薬学部 42 ±0
家政学部 39 ±0

1982年度

学部数1,154学部(前年比+7学部)

新しく設置された学部:国際政治経済学部(青山学院大学)、国際言語文化学部(摂南大学)

なくなった学部:なし

この年は学部数は動きがほとんどありませんでした。新たな学部としては、国際政治経済学部が青山学院大学に、国際言語文化学部が摂南大学に設置されました。両学部とも「国際」がついているところに時代の流れを感じます。国際政治経済学部はその後二松学舎大学にも設置されました。

また、国際言語文化学部には「文化」という名称が使用されており、初めての事例となります。この年以降「文化」を含む学部が人文系を中心に設置されますが、国際言語文化学部自体は梅光学院大学、鹿児島純心女子大学にも設置されましたが、現在は全て別の学部に改組されており、現在は存在しません。

この年に新しく使用された言葉は「言語」「文化」です。

学部名 学部数 前年比
総計 1,154 +7
文学部 141 ±0
経済学部 130 ±0
工学部 124 ±0
法学部 88 ±0
医学部 77 ±0
教育学部 61 ±0
商学部 49 ±0
理学部 45 ±0
薬学部 43 +1
家政学部 39 ±0

1983年度

学部数1,169学部(前年比+15学部)

新しく設置された学部:鍼灸学部(明治国際医療大学)

なくなった学部:なし

この年もトップ10の学部には大きな変動がありませんでした。新たな学部としては、鍼灸学部が明治国際医療大学に設置されました。もちろん「鍼灸」は新しく使用された言葉です。

鍼灸学部は看護学部に次いで、医療系の資格を学べる学部といえます。しかし、爆発的に増加している看護学部と比較しても、鍼灸学部はその後鈴鹿医療科学大学と関西医療大学に設置されたのみで最大3学部とほぼ伸びていません。しかも学部改組などで現在では最初に設置された明治国際医療大学にしか残っていません。はり師・きゅう師の資格を取得する学校は今でも専門学校がメインとなっています。

学部名 学部数 前年比
総計 1,169 +15
文学部 141 ±0
経済学部 131 +1
工学部 125 +1
法学部 89 +1
医学部 78 +1
教育学部 62 +1
商学部 49 ±0
理学部 45 ±0
薬学部 44 +1
家政学部 39 ±0

1984年度

学部数1,176学部(前年比+7学部)

新しく設置された学部:なし

なくなった学部:なし

この年は学部数も新設学部についてもほとんど変動のない年でした。

学部名 学部数 前年比
総計 1,176 +7
文学部 141 ±0
経済学部 132 +1
工学部 124 ±0
法学部 90 +1
医学部 78 ±0
教育学部 62 ±0
商学部 49 ±0
理学部 45 ±0
薬学部 44 ±0
家政学部 39 ±0

1980年代前半の特徴

1980年代前半の学部の特徴は以下の通りです。

1.学部数自体は増えてはいるものの、大きな変動のない平穏期
2.情報・国際系学部が少しずつ増えてきた
3.文化という名称が初めて使用された

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