旧帝大にはどの地域から入学しているのか

大学改革支援・学位授与機構の「大学基本情報」をもとに、旧帝大の各大学がどの地域から入学しているのかを見ていきたいと思います。

旧帝大のうち、東大・京大については別の記事で分析しているのでそちらを参照してください。

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予想外の出身地

地域北大東北大名大阪大九大
北海道32.1%2.9%0.6%1.9%0.5%
東北4.8%35.2%0.4%0.7%0.4%
北関東4.0%12.6%1.4%1.4%0.7%
首都圏23.6%24.5%4.9%4.8%4.8%
甲信越5.8%9.8%8.5%5.8%1.1%
東海9.5%6.6%70.8%8.3%3.8%
近畿11.3%3.4%6.2%54.7%7.3%
中国2.7%1.4%2.6%7.7%13.2%
四国1.7%0.5%1.7%5.1%3.2%
九州2.3%1.4%1.7%7.3%61.7%
沖縄0.4%0.2%0.2%0.3%1.4%
入学者数2,5462,4202,1733,3282,909

上の表は旧帝大のうち東大・京大を除く5大学をの2021年度の出身地別に並べたものです。

当然といえば当然なのですが、大学のある地域の比率がどの大学でも最も高くなっています。

ですが、北大と東北大については、地元の比率は低く首都圏の高校の比率がかなり高くなっています。東北大については北関東の比率も高いです。

東北大については首都圏から新幹線で短時間で行くことが可能です。そのうえ、あまり良いことではないですが、東北地方の人口減少は他の地域と比較しても大きくなっていることも要因の一つでしょう。

北大については、どの地域からも遠いので悩ましいのですが、一つには入試方式が考えられます。

旧帝大の入試方式についてはこちらをご参照ください。

地域別の比率は変化しているのか

北大・東北大は大きく変化

北大首都圏北海道
2012年度13.9%42.7%
2013年度16.2%40.5%
2014年度16.6%39.4%
2015年度17.5%37.8%
2016年度18.9%35.9%
2017年度19.0%35.6%
2018年度22.5%32.2%
2019年度22.2%31.8%
2020年度22.8%33.0%
2021年度23.6%32.1%
東北大首都圏東北
2012年度14.8%43.6%
2013年度17.0%43.0%
2014年度18.2%40.3%
2015年度18.6%41.8%
2016年度19.5%38.5%
2017年度20.2%38.8%
2018年度22.4%36.1%
2019年度25.6%34.5%
2020年度25.6%33.9%
2021年度24.5%35.2%

旧帝大の中でも北大と東北大は過去10年間で出身地域が変化しています。これは上で触れたとおり首都圏比率が高まっていることで説明できます。時系列で並べると10%前後変化しています。実人数にすると200人前後になるので、かなり大きな変化であることがわかります。

他の3大学はあまり変化していない

名大首都圏東海
2012年度8.0%71.5%
2013年度7.8%73.2%
2014年度8.0%72.2%
2015年度7.4%72.6%
2016年度8.2%71.5%
2017年度7.6%72.3%
2018年度7.9%72.5%
2019年度7.6%71.7%
2020年度7.8%70.9%
2021年度8.5%70.8%
阪大首都圏近畿
2012年度3.8%54.3%
2013年度3.6%53.7%
2014年度3.9%55.5%
2015年度4.5%55.3%
2016年度4.2%57.7%
2017年度4.4%55.6%
2018年度4.2%56.0%
2019年度5.5%56.2%
2020年度5.2%54.3%
2021年度4.8%54.7%
九大首都圏九州
2012年度2.3%69.4%
2013年度2.1%68.8%
2014年度2.3%68.3%
2015年度2.7%67.1%
2016年度3.3%67.2%
2017年度3.0%64.9%
2018年度3.2%63.5%
2019年度4.1%64.0%
2020年度4.9%62.3%
2021年度4.8%61.7%

北大・東北大と比較して他の3大学はあまり変化していません。あえていえば九大の地元比率がやや下がって首都圏(ここにはないですが、近畿圏も)の比率がやや上がっているくらいです。

※大阪大学の2013年には基礎工学部のデータがありませんでした。総計も基礎工学部のないデータになります。

学部別にも大きく違う

学部によって出身地が違うのか見ていきたいと思いますが、北大だけは入試の関係(学部別入試と一括募集入試が混在)で全学の数値しかありません。そこで残る4大学について見ていきます。2021年度の入学者の各大学の地元比率が高い順に並べてみました。

医学部や歯学部で4年や6年とあるのは。6年は医学科、歯学科を指し、4年は看護やリハビリなどの学科を指します。

学部名(東北大)東北比率
医学部(4年)73.0%
教育学部50.0%
文学部49.6%
法学部40.0%
経済学部37.7%
農学部33.8%
薬学部(4年)33.3%
医学部(6年)33.3%
工学部28.7%
歯学部28.3%
理学部19.9%
学部名(名大)東海比率
医学部(6年)81.1%
経済学部78.1%
医学部(4年)78.0%
法学部77.8%
文学部73.6%
教育学部70.3%
理学部68.9%
工学部68.4%
農学部63.5%
情報学部55.4%
学部名(阪大)近畿比率
歯学部83.0%
医学部(6年)66.0%
医学部(4年)61.4%
薬学部(6年)58.8%
経済学部58.1%
工学部56.8%
外国語学部53.8%
基礎工学部52.6%
法学部51.4%
理学部49.3%
文学部46.7%
人間科学部44.0%
学部名(九大)九州比率
医学部(4年保健)77.5%
医学部(6年)76.8%
文学部75.0%
経済学部73.0%
教育学部72.0%
法学部69.4%
薬学部(6年)64.5%
薬学部(4年)63.5%
共創学部57.3%
工学部57.0%
農学部56.8%
理学部52.0%
芸術工学部51.5%
歯学部47.1%
医学部(4年その他)38.5%

地元比率は文系が高く理系が低い

各大学に共通する事項として総じて文系学部(文学部、法学部、経済学部等)が地元比率が高く、理系学部(理学部、工学部、農学部等)の地元比率は低い傾向にあります。

比較的理系学部は研究内容が異なるということも影響しているのでしょうか?それとも学費が相対的に安くなるので、一人暮らしをすることができるため他地域に挑戦するのでしょうか?

医療系は特に高い

理系学部の中でも医療系学部は地元比率が高くなっています。これは医師の資格はどこで取ってもよいということでしょうか?

ただし、歯学部は大学によって異なります。旧帝大の中でも東北大、阪大、九大にしかないので、東北大と九大は他の地域から歯学部希望者が流入していると推測されます。

独自学部は低い

各大学にしかない学部は他の地域からの入学者が多い傾向にあります。例えば名大の情報学部、阪大の人間科学部、九大の芸術工学部などです。

九大の医学部(4年その他)は他の大学では工学部などにある生命科学分野を医学部に設置しているため他の理系学部並みの比率になっていると推測されます。

2件のコメント

  1. よく調べ、分析されています。興味深い結果が幾つかありました。別サイトだったと思いますが、「北大と東北大で地元比率が減少し関東比率が上昇しているのは、北海道と東北の人口が減少しているため」という分析結果を見ました。札幌市内の高校を見れば、この分析は変わるのではないかと思います。

    1. ありがとうございます。
      人口の影響は大きいと思います。ただ、北海道だと札幌、東北だと宮城に関してはあまり減少していません。
      北海道なら札幌以外、東北だと宮城以外の県の減少が大きいと思います。

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