データサイエンス学部について考える

最近新設されている学部としてデータサイエンス学部が挙げられます。

2020年現在では滋賀大学、横浜市立大学、武蔵野大学にデータサイエンス学部が設置され、2021年には立正大学に新設されます。また、学科単位では大阪工業大学などにも設置予定です。

もちろん類似の学科はあります(情報数理系の学科など)が学部として独立させるからには、そこに独自の教育が存在していることが必須です。

ということで、データサイエンス学部のカリキュラムはどこに独自性があるのか、またどういう点に気を付ければよいのかを考えてみたいと思います。

参照したのは以下のサイトです。

滋賀大学

横浜市立大学

武蔵野大学

大きくは三層に分かれる

データサイエンス学部のカリキュラムは大きく以下の三層に分かれます。

1.数理教育及び統計学
2.情報技術
3.社会とのつながり(価値創造という言葉で括られることが多いです)

その中でも数学が一番基本

統計学を理解するためには数学の理解が不可欠です。

そのためどの大学も数学には科目を割いています。滋賀大学も横浜市立大学も必修単位数だけで10単位以上あります。

そういう意味では武蔵野大学は数学についてはやや少ない単位数(4単位)となっており、統計学の理解という点ではやや弱いという印象を受けます。

情報技術は手段

データを分析するための手段として情報技術はどの大学も必修としていますが、このあたりの必修数も大学により違いが出ています。

滋賀大学はオーソドックスなプログラミングや情報学の科目が15単位前後必修となっているのに対して、横浜市立大学は必修としては4単位しかありません。また武蔵野大学はAIや機械学習など各論としてのプログラミング科目を多く必修としています(多めに見積もって10単位前後)。

社会とのつながりが各大学の力の見せ所

この部分が最も大学によって異なる部分です。

まず、滋賀大学はデータサイエンスとして背骨となる演習が各学期で必修となっています。その上で、価値創造として各論の講義・演習が付加される形式で進みます。

次に横浜市立大学は3年次から専門領域演習としてPBL科目を準備しています。

また、武蔵野大学も3年次から専門演習が始まりますが、ここも情報技術の科目と同様に比較的AIに偏重した形でコース別の演習が実施されています。それ以外にも未来創造PJ(プロジェクト)が1年次から設計されていますが、ここは必修ではありません。

また、PBLとして成立させるために企業・団体との協定も進められています。

一方でそれ以外の専門科目では大学により違いがあります。横浜市立大学と武蔵野大学は専門科目で科目設定されていませんが滋賀大学は社会科学系の科目を専門科目に入れています。

これは滋賀大学データサイエンス学部がもともと経済学部から定員を割いたという事情もあるのかもしれないと邪推しますが、専門科目を通じて迷子(何を対象にしたらよいかわからない)を防ぐことができます。

横浜市立大学と武蔵野大学でもこれらの科目は教養科目として設置されていますが、専門科目の中で体系づけられているわけではありませんので、自分の意志で単位を取得するということになります。

勝手に評価すると

現在教育が進められている3大学を勝手に評価すると、最も評価できるのは滋賀大学だと思います。

理由としては、最初に書いた三層のバランスが非常に良いこと、各学期で基本となる演習が段階を踏んで設計されていること、企業連携を進めるセンターが設置されていることなどが挙げられます。

横浜市立大学と武蔵野大学はその点でいうと、少しずつ欠けている点があると感じられます。具体的には横浜市立大学が情報技術の単位数が少ないこと、武蔵野大学が数理系の単位数が少ないことが挙げられます。

また、滋賀大学の専門科目に各論が入っていることもプラス要素であると思います。

現在のデータサイエンティストブームで今後は学部・学科単位でデータサイエンス系学部が設置されると予想されますが、上記の三要素がどの程度充実しているかを参考に判断してください。

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