カリキュラム分析(国際系学部)

秋田の国際教養大学の評価を見て、いろいろな大学が国際系の学部を設置してきました。ではそれらの学部はどのようなカリキュラムになっているのか調べてみました。

調べたのは以下の大学です。国際基督教大学は学部名に国際系は入っていませんが、大学名時代に入っていますし、ある意味特殊な大学ということで入れました。他にも国際教養大学がありますが、いろいろなところで話題になっているので割愛しました。

国際基督教大学 教養学部
早稲田大学 国際教養学部
上智大学 総合グローバル学部、国際教養学部
明治大学 国際日本学部
青山学院大学 地球社会共生学部
立教大学 異文化コミュニケーション学部
法政大学 国際文化学部、グローバル教養学部
同志社大学 グローバル・コミュニケーション学部、グローバル地域科学部
立命館大学 国際関係学部、グローバル教養学部
関西学院大学 国際学部

Contents

カリキュラムの概要

学位などの基本情報は以下の通りです。

大学名学部名学位名留学
国際基督教大学教養学部教養選択
早稲田大学国際教養学部国際教養学必須(1年)
上智大学総合グローバル学部国際関係論、地域研究選択
上智大学国際教養学部国際教養選択
明治大学国際日本学部国際日本学選択
青山学院大学地球社会共生学部学術必須(半期)
立教大学異文化コミュニ
ケーション学部
異文化コミュニ
ケーション学
必須(半期)
法政大学国際文化学部国際文化学必須(半期or夏季)
法政大学グローバル教養学部国際教養選択
同志社大学グローバル・
コミュニケーション学部
グローバル・
コミュニケーション学
必須(1年)
同志社大学グローバル地域文化学部グローバル地域文化学必須(時期選択)
立命館大学国際関係学部国際関係学学科による
立命館大学グローバル教養学部グローバル教養学必須(1年)
関西学院大学国際学部国際学必須(時期選択)

こうして一覧にすると、学部名時代が非常に多岐にわたっていることがわかります。多いのは「国際」「グローバル」となっていますが、登場順から考えると国際が先で、違いをグローバルで表現したのではないかと思います。

続いて教育関係の内容です。

大学名学部名主授業言語英語第二
外国語
人文社会自然
国際基督教大学教養学部日本語・英語220
早稲田大学国際教養学部英語114
上智大学総合グローバル学部日本語40×
上智大学国際教養学部英語168×
明治大学国際日本学部日本語
(英語は30%)
220×
青山学院大学地球社会共生学部日本語164××
立教大学異文化コミュニ
ケーション学部
英語64××
法政大学国際文化学部日本語104××
法政大学グローバル教養学部英語160×
同志社大学グローバル・
コミュニケーション学部
日本語146××
同志社大学グローバル地域文化学部日本語1410××
立命館大学国際関係学部日本語・英語86×
立命館大学グローバル教養学部英語00×
関西学院大学国際学部日本語204×

見るべきポイントはどこか?

名称は多岐にわたりますが、見るべきポイントは大きく3つです。

外国語の単位数と授業の使用言語

国際系の学部は当然英語の授業が他の学部よりも多く、かつ多様な形式で設定されているわけですが、それ以外にも重視すべき点があります。それは第二外国語の単位数と授業での使用言語です。

第二外国語については、その大学が国際をどの程度意識しているのかの基準となります。学生の目線からすれば英語だけでも習得するのは大変なのに第二外国語をやる暇があるのかという感じですが、大学の国際系学部の目線からすれば第二外国語の履修要件が弱いというのは英語圏以外を軽視することになり片手落ちなのではないかと思います。

特に比較文化(カルチュラルスタディーズ等)の分野であれば第二外国語は必須であると言えるでしょう。

また、授業での使用言語も注目点の一つです。もちろん英語で授業をするほうが英語の能力が上がってよいのではないかと思われるかもしれません。しかし、後でも書きますが、国際系の学部は英語を学ぶだけの学部ではありません

事実上英語で授業をできる学部は人数が少ないか、帰国子女を多く受けれている学部になっています。そうなると、専門科目については必然的に幅が狭くなります(そんなに多くの教員を抱えられませんし、帰国子女を相手にする場合は外国籍の教員を集めなければならず教員のハードルが高くなります)。

留学制度

留学制度が必須なのかどうか、またその期間はどの程度なのかも必要な要素になります。

これは授業での使用言語とも関連してきます。英語力が上がらなけば長期の留学の意味はありません(単位が取れないと卒業に支障が出ます)。

逆に短い場合は語学研修以外の用途としては成立しません。

このように留学はハードルが高いので、選択にしているところもあります。その場合でも年間の留学者数などはきちんと確認しましょう。

専門科目の領域

意外と忘れられるのが何を学ぶかです。

よく「英語を学ぶ」のか「英語で学ぶ」のかという表現がされますが、国際系の学部は外国語学部と異なり、学部ごとに専門領域が異なります。

大きくは人文科学(文化)と社会科学(国際関係)に大別されますが、教養学はもっと幅広い分野を扱います。

先ほどの一覧を見ていただくと、基本は人文科学と社会科学の2つに〇がついていることがわかります。

一方で自然科学(主に理学)については扱っている大学が少なく、また、通常の理学部においてはあまり英語は重視されないため、貴重な学部であると言えるでしょう。

要はバランス

国際系の学部を見る時には、とにかくバランスです。

英語力が重要であることから英語の授業や留学制度など、英語に注力した部分に目が行きがちですが、それであれば外国語学部があれば良いはずです。(外国語学部の存在についてはまた別のところで触れようと思います)

国際系学部は専門知識を英語で活用できることが重要であり、語学のみで専門知識がないのは困りますし、専門知識があっても語学力がなければ、その専門の学部と変わりありません。

実際に大学を調べる際には、各大学のカリキュラムを眺め、
1.語学のレベルはどのレベルが想定されているか
と同時に、
2.専門知識はどの範囲で学ぶのか

の2点のバランスを見てください。どちらかが高すぎるともう片方が不足します。

個人的な意見では、専門科目は日本語で学び、半期の留学を経験して単位を取得することが最も良いと思います。

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