外国語学部について

今回は外国語学部のカリキュラムについて考えてみます。

各大学のHP等から学科・専攻レベルで学べる語学の数を調べてみました(プラスアルファで学べるものは含まれません)。日本語の学科・専攻や国際関係などの学科については除外しています。 ※2019年5月現在

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語学数リスト

以下が各大学の語学リストです。

大学名言語数英語中国語スペイン語フランス語ドイツ語韓国語その他
京都産業大学9ロシア語、
インドネシア語、
イタリア語
神田外語大学8××ポルトガル語、
インドネシア語、
ベトナム語、
タイ語
京都外国語大学7×ポルトガル語、
イタリア語
帝京大学6
上智大学6××ポルトガル語、
ロシア語
愛知県立大学5×
長崎外国語大学5×
常葉大学5××ポルトガル語
南山大学4××
神戸市立外国語大学4×××ロシア語
摂南大学4×××インドネシア語
獨協大学3×××
麗澤大学3×××
拓殖大学3×××
目白大学3×××
神奈川大学3×××
名古屋外国語大学3×××
北九州市立大学2××××
明海大学2××××
杏林大学2××××
大東文化大学2××××
関西大学2××××
関西外国語大学2××××
熊本学園大学2××××
北海道文教大学1×××××
文京学院大学1×××××
岐阜聖徳学園大学1×××××
名古屋学院大学1×××××
名城大学1×××××
吉備国際大学1×××××

ここには東京外国語大学と大阪大学の外国語学部(元の大阪外国語大学)が含まれません。この2大学は専攻言語が非常に多いので別にまとめると以下の通りです(上の表と同様に日本語は含みません)。東京外国語大学は26言語、大阪大学は24言語が専攻できます。

言語東京外大大阪大
英語
ドイツ語
ポーランド語×
チェコ語×
フランス語
イタリア語
スペイン語
ポルトガル語
ハンガリー語×
デンマーク語×
スウェーデン語×
ロシア語
モンゴル語
中国語
朝鮮語
インドネシア語
マレーシア語×
フィリピン語
タイ語
ラオス語×
ベトナム語
カンボジア語×
ビルマ語
ウルドゥー語
ヒンディー語
ベンガル語×
ペルシア語
アラビア語
トルコ語
スワヒリ語×

外国語学部の特徴

外国語学部の特徴は以下の通りです。

言語数に差がある

東京外国語大学と大阪大学の2大学とそれ以外の大学で専攻できる言語数に違いがあります。3番目に多い京都産業大学でも9言語となっています。

英語だけの1言語の大学が6大学、英語ともう1言語の大学が7大学もあります。外国語学部は32大学にありますので、3分の1以上が2言語以下ということになります。

言語も偏りがある

ほとんどの大学では英語が入っているのはある意味当然(これも考えようによっては変なことですが)として、中国語とスペイン語という使用人口の多い言語が主となっています。

特に中国語・韓国語(朝鮮語)以外のアジアの言語を学べる大学は非常に少なく、インドネシア語、ベトナム語、タイ語がいくつかの大学で学べる程度です。

外国語学部の今後は?

外国語学部の存在意義はどこにあるでしょうか?

語学を学べるだけでは弱い

外国語を学ぶことができるという点だけでは外国語学部だけの特徴とは言えなくなります。なぜならメジャーな外国語は特に上位の大学では第二外国語や第三外国語として学ぶことができるからです。

東京大学のサイトによると、東京大学の教養学部で学ぶことができる言語は23言語あるようです(広東語、上海語、台湾語を含む。2018年度現在)。

また、現在増えてきている、国際教養学部やグローバル教養学部などは主に英語や中国語を専攻語とすることが多いですが、留学を必須にすることによって、英語で学ぶという方針を打ち出しています。

東京外国語大学の改組

こうした課題意識が外国語学部の中にもあるのだと思います。東京外国語大学は2012年にこれまでの外国語学部のみの学部構成から、言語文化学部・国際社会学部の2学部体制になり、2019年には国際日本学部が設置されました。

専攻できる外国語の幅広さを人文科学、社会科学の学びと掛け合わせることで他の国際関係の学部とは違った領域を学ぶことができます。

国際関係や観光への領域拡大

最初に専攻語のみで分類しましたが、大学によっては国際関係学科や観光系学科などを設置している大学があります。

これも東京外国語大学と同じように外国語の学びを生かしていくという方向です。

ただし、この場合はどうしても英語中心になってしまいます。そうなったときに前出の国際教養学部や国際関係学部と異なる外国語学部独自の学びとは言えなくなってしまいます。

外国語学部はどうしたらよいか

ここからは完全に私見です。

ある程度の言語数を学べる大学以外は外国語学部をやめたほうが良いと思います。特に専攻語が英語のみの場合は既存の学問分野を強化する方向に向かったほうが語学も生きると思います。

逆に言語数の大きい大学については〇〇語×△△分野という形で、語学・専門分野・留学という三点の大きさを独自性としていくことが必要なのではないかと思います。

現在は大学の言語が英語に偏重していると思います。もちろん英語は理系などでは共通語になっており、その重要性を説明する必要もありません。しかし、マイナー(話者の少ない)言語をきちんと使える人材を育成することは、世界とのつながりを維持するという意味で大変意義のあることではないでしょうか。

むしろそういう一定以上の条件を満たしているところだけが外国語学部を名乗ることを許されるという形にしたらいかがでしょうか。

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