資格取得のためのカリキュラムが組まれている分野は医療系が多いのですが、医療系以外でも資格取得のためにカリキュラムが指定されている分野があります。今回はそれを見ていきます。
今回見ていく資格は栄養士・管理栄養士、建築士(一級、二級)、理容師・美容師です。
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栄養士・管理栄養士のカリキュラム
栄養士のカリキュラムは栄養士法施行規則(平成27年4月改訂)に規定されています。学校(学校教育法第一条に規定される学校)とそれ以外の施設で基礎分野の有無はありますが専門分野は同じです。とはいえ学校は短大を指すでしょうから、そこでは教養科目が必要なので違いはないと言っていいでしょう。
大科目 | 小科目 | 単位数 |
基礎分野 | 人文科学、社会科学、自然科学、外国語、保健体育 | 12 |
専門分野 | 社会生活と健康 | 4 |
人体の構造と機能 | 8 | |
食品と衛生 | 6 | |
社会生活と健康・人体の構造と機能・食品と衛生実習 | 4 | |
栄養と健康 | 8 | |
栄養の指導 | 6 | |
給食の運営 | 4 | |
栄養と健康・栄養の指導・給食の運営実習 | 10 | |
総計 | 62 |
次に管理栄養士は管理栄養士学校指定規則(平成27年10月改定)に規定されています。こちらも栄養士と同じく基礎分野については学校とそれ以外に分かれていますが、実質的には同じです。
大科目 | 小科目 | 単位数 |
基礎分野 | 人文科学、社会科学、自然科学、外国語、保健体育 | 42 |
専門基礎分野 | 社会、環境と健康 | 6 |
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち | 14 | |
食べ物と健康 | 8 | |
専門基礎分野の実習 | 10 | |
専門分野 | 基礎栄養学 | 2 |
応用栄養学 | 6 | |
栄養教育論 | 6 | |
臨床栄養学 | 8 | |
公衆衛生学 | 4 | |
給食経営管理論 | 4 | |
専門分野の実習 | 8 | |
総合実習 | 2 | |
臨地実習 | 4 | |
総計 | 82 |
管理栄養士と栄養士の違いは大きく2つです。1つは臨地実習が入ること。つまり、現場に絶対出る必要があります。次に医療色が少し強いことです。同じ専門基礎分野でも人体の構造と機能に疾病の成り立ちが加わります。また公衆衛生学なども医療系の資格で見られる科目です。
建築士のカリキュラム
建築士の資格については公益財団法人建築技術教育普及センターが管轄しています。
まずは一級建築士です。
科目名 | 単位数 |
建築設計製図 | 7 |
建築計画 | 7 |
建築環境工学 | 2 |
建築設備 | 2 |
構造力学 | 4 |
建築一般構造 | 3 |
建築材料 | 2 |
建築生産 | 2 |
建築法規 | 1 |
選択科目 | 30 |
総計 | 60 |
次に二級建築士です。
科目名 | 単位数 |
建築設計製図 | 5 |
建築計画、建築環境工学、建築設備 | 7 |
構造力学、建築一般構造、建築材料 | 6 |
建築生産 | 1 |
建築法規 | 1 |
選択科目 | 20 |
総計 | 40 |
建築士に関しては、一級60単位、二級40単位となっており、かつ一級に関しては、科目ごとに単位指定があり二級は科目群で単位指定があります。総じて一級建築士が単位数以上に汎用的な知識が求められています。
ただし、建築士については改定が予定されています。科目内容には変更がないようですが、特に一級について実務経験が受験資格ではなくなりました(といっても免許登録には実務経験が必要です)。とはいえ直接一級の取得を目指すか、二級から一級を順に目指すか検討すべきポイントだと思います。
現在では主に一級=大学、二級=専門学校という区分けがなされています(最近では一級の受験資格を得られる4年制の専門学校も増えています)。上記の通りどちらを目指すかといった場合にどの学校種に進学するかという問題にもなりますので、広く検討してみてください。
理容師・美容師のカリキュラム
理容師・美容師は、双子のような資格ですので同時に記載します。これらの資格は主に専門学校で取得できるものです。美容師は美容師養成施設指定規則(平成27年4月改訂) 、理容師は理容師指定養成規則(平成27年4月改訂)に規定されています。
まずは美容師です。
科目名 | 単位数 |
関係法規・制度 | 1 |
衛生管理 | 3 |
保健 | 3 |
香粧品化学 | 2 |
文化論 | 2 |
美容技術理論 | 5 |
運営管理 | 1 |
美容実習 | 30 |
選択科目 | 20 |
総計 | 67 |
次に理容師です。
科目名 | 単位数 |
関係法規・制度 | 1 |
衛生管理 | 3 |
理容保健 | 4 |
理容の物理・化学 | 3 |
理容文化論 | 3 |
理容技術理論 | 4 |
理容運営管理 | 2 |
理容実習 | 27 |
選択科目 | 20 |
総計 | 67 |
美容師と理容師に共通する項目として実習は非常に多いことが挙げられます。選択科目を入れても資格取得のための必要単位数のうち4割前後は実習となります。医療系の臨地実習と比較してもらうとその比率の高さがお分かりいただけると思います。ただし、臨地実習と異なり学校内の実習となります。
美容師と理容師は非常に似ていますが、美容師は化粧関係(香粧品)、理容師はその部分は「物理・化学」という基礎的な名称になっています。また、美容が基礎になっているのか、同じ名称でも理容については「理容〇〇」という表記になっており、「美容〇〇」という表記はほぼ使用されていません。
実際の学生数を見ても美容のほうが圧倒的に多くなっています。平成30年度の学校基本調査でも美容専門学校在籍者32,917人に対して利用専門学校在籍者1,113人と美容のほうが多くなっています。
医療以外の資格のカリキュラムまとめ
今回は医療以外の資格を取り上げました。基本的には医療よりも資格取得要件は緩いです。ただし、栄養士であれば管理栄養士=大学、栄養士=短期大学・専門学校など資格の種類によって学校種が異なります。
また、美容師や理容師はほぼ専門学校でしか取得できません。どの学校に進学するかの前にどの学校種に進学するかも検討してみてください。