財務情報を比較する(大東亜帝国編)

今回は大東亜帝国の財務情報を比較してみます。大東亜帝国とは大東文化大学、東海大学、亜細亜大学、帝京大学、国士舘大学ですが、それに加えて拓殖大学、桜美林大学、明星大学も併せて、「大東亜拓桜明星帝国」として分析したいと思います。

財務情報の見方はこちらを参照してください。

財務情報の見方

また各大学の財務情報は以下のサイトを参照してください。財務情報には附属校の情報なども含まれます。

大東文化大学

東海大学

亜細亜大学

拓殖大学

桜美林大学

明星大学

帝京大学

国士舘大学

Contents

教育活動収支差額はどうなっているのか?

教育活動収支差額比較表

教育活動収支差額
(単位:百万円)
大東文化東海亜細亜拓殖桜美林明星帝京国士舘
2015年度-450 2,912 -599 56 680 -5,636 3,841 800 
2016年度-472 5,261 -144 639 622 -1,012 1,868 1,118 
2017年度-245 2,311 -49 316 350 -1,650 -321 1,031 
2018年度-435 3,499 69 1,011 545 -1,534 2,598 2,105 

医学部があるところはプラスが大きい

大学によって傾向が異なることがわかります。

まず、東海大学と帝京大学のプラス幅が大きくなっています。これは医学部の存在が大きいです。医学部があるとかならず大学附属病院を設置しなければなりません。しかし、大学附属病院は医療収入を得られるため、ここでの収入がプラスとなっています。

また逆に明星大学のマイナス幅が大きくなっています。これも理由があり、特に数字が大きくなっている2015年度は福島県にあるいわき明星大学を別法人の大学として分離しており、それに関連した費用が計上されているためです。

また別の観点で見ると、亜細亜大学・拓殖大学・国士舘大学の教育活動収支差額が改善しています。これは大学によってその要因が異なります。まず、共通しているのは人件費を少なくしていることが挙げられますが、それ以外に亜細亜大学であれば管理経費を減らし、拓殖大学と国士舘大学の2大学は学納金収入とそれ以外の収入額を増加させています。

経常収支差額はどうなっているのか?

経常収支差額比較表

経常収支差額
(単位:百万円)
大東文化東海亜細亜拓殖桜美林明星帝京国士舘
2015年度108 3,090 -368 33 611 -5,397 6,910 915 
2016年度93 5,264 25 612 550 -791 5,107 1,202 
2017年度175 2,360 100 288 280 -1,412 5,344 1,201 
2018年度89 3,874 203 981 445 -1,298 7,251 2,155 

基金の有無で異なる

投資活動などの結果を反映した経常収支差額の状況では、大東文化大学と帝京大学のプラス幅が教育活動収支差額と比較して大きくなっていることがわかります。実のはこの2大学は後で触れる第3号基本金が多く、またそれ以外にも利息収入を多く得ていることから、この数字となっています。

特に大東文化大学は教育活動収支差額の段階ではマイナスで、経常収支差額の段階ではプラスとなっています。これは教育にお金をかけて、それ以外の部分で補填しているということになるので、在籍する学生側からすると、実際の学費以上に教育にお金をかけてくれている大学であるといえます。

教育研究経費比率はどうなっているか?

教育研究経費比率比較表(教育研究経費/教育活動支出で計算)

教育研究比率大東文化東海亜細亜拓殖桜美林明星帝京国士舘
2015年度31.2%31.0%37.3%34.2%33.2%30.4%50.6%34.4%
2016年度32.1%31.1%35.3%33.6%32.7%33.6%50.0%35.2%
2017年度32.4%31.7%33.4%34.1%34.4%33.6%50.3%34.4%
2018年度32.8%31.8%36.4%35.5%33.2%33.4%50.1%35.3%

ほぼ変わらない

まず一つ気を付けてもらいたいのが、帝京大学の数字です。帝京大学の数字は医療経費が含まれています。医療経費は教育研究経費に含まれますが、小項目として個別に計上されます。そのため東海大学は除外して計算しているのですが、帝京大学は小項目を公開していないため、医療経費が含まれた(かさ上げされた)比率となっています。

ちなみに東海大学の医療経費を含めた教育研究比率は45%前後となっています。

帝京大学の医療経費がどのくらいなのかわからないため断定はできませんが、どの大学も30%台前半であることが多く、ほぼ似通った感じであると言えそうです。

支払資金はどうなっているのか?

支払資金推移比較表

支払資金
(単位:百万円)
大東文化東海亜細亜拓殖桜美林明星帝京国士舘
2015年度15,550 47,438 不明12,027 5,575 9,999 31,360 9,264 
2016年度15,108 51,073 不明13,084 4,995 12,133 37,845 8,605 
2017年度13,608 56,943 2,875 13,531 4,891 12,955 35,942 11,799 
2018年度12,372 57,701 2,859 14,305 5,099 14,379 31,365 13,721 

資金は多い

各大学の支払資金の推移は非常に安定しています。最も少ない亜細亜大学でも28憶円の資金を有しており、最も多い東海大学は570億以上の資金を有しています。

また、多くの大学で資金額が増加傾向にあります。たとえば東海大学などは大規模な学部改組に伴うキャンパス開発などを予定していることから、それに向けての資金を準備している可能性もあります。

第3号基本金はどう推移しているか?

第3号基本金推移比較表(2010年度以降)

第3号基本金
(単位:百万円)
大東文化東海亜細亜拓殖桜美林明星帝京国士舘
2010年度不明不明957 803 不明不明24 
2011年度22,542 不明958 903 不明150,000 24 
2012年度22,572 1,735 958 1,153 不明160,000 28 
2013年度22,592 1,754 959 1,250 5,026 170,000 28 
2014年度22,592 1,773 959 1,350 5,026 180,000 28 
2015年度22,592 1,790 959 1,450 5,000 190,000 28 
2016年度22,592 1,806 959 1,450 5,000 200,000 58 
2017年度22,592 1,819 959 1,450 5,000 200,000 68 
2018年度22,595 1,831 959 1,450 5,000 200,000 69 

経常収支差額にも影響してくる2大学

上で経常収支差額が教育活動収支差額よりも大きくなる大学として大東文化大学と帝京大学を挙げましたが、この2大学は第3号基本金が他の大学と比較しても非常に大きくなっています。大東文化大学で220億以上、帝京大学はなんと2,000億円もの基金を保有しています。

一方で他の大学では明星大学が50憶円の基金を保有していますが、他の大学はその額が少なくなっています。

もちろん別の保有方法で株式等に投資しても良いわけですが、この第3号基本金は教育や研究を目的とすると限定されています。つまりここからの受取利息等は教育研究に還元されるので、学生や教員にとってはプラスとなります。

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