甲信越の国公立大学はどこから入学しているのか

今回は大学改革支援・学位授与機構の「学校基本情報」をもとに、甲信越地方の国公立がどこから入学しているのかを見ていきたいと思います。

甲信越地方の国公立大学は以下の通りです。

国立大学
・新潟大学
・上越教育大学
・長岡技術科学大学
・富山大学
・金沢大学
・福井大学
・山梨大学
・信州大学

公立大学
・長岡造形大学
・新潟県立大学
・新潟県立看護大学
・三条市立大学
・富山県立大学
・石川県立大学
・石川県立看護大学
・金沢美術工芸大学
・公立小松大学
・福井県立大学
・敦賀市立看護大学
・山梨県立大学
・都留文科大学
・長野大学
・長野県立大学
・公立諏訪東京理科大学
・長野県看護大学

ここ数年で公立大学が最も増加したのが甲信越地方の特徴です。

Contents

各大学はどの地域から入学しているのか

国立大学

地域上越教育大長岡技科大富山大
北海道0.6%1.1%0.9%
東北6.7%3.3%2.9%
北関東12.2%5.6%3.6%
首都圏3.7%7.8%5.1%
甲信越65.2%63.3%57.0%
東海8.5%10.0%19.6%
近畿1.2%4.4%6.8%
中国0.0%0.0%0.9%
四国0.0%2.2%0.3%
九州0.6%1.1%1.1%
沖縄0.6%0.0%0.3%
自県18.3%55.6%26.3%
地域金沢大福井大新潟大
北海道1.9%0.3%2.5%
東北3.9%0.1%27.6%
北関東5.4%0.8%9.9%
首都圏5.1%0.7%5.0%
甲信越55.1%49.1%48.7%
東海17.7%35.6%3.3%
近畿7.9%11.2%0.9%
中国0.9%0.9%0.5%
四国0.9%0.1%0.3%
九州0.3%0.3%0.4%
沖縄0.1%0.0%0.3%
自県25.9%36.9%38.3%
地域山梨大信州大
北海道1.1%2.1%
東北1.6%2.3%
北関東2.7%7.2%
首都圏17.0%15.7%
甲信越45.4%38.6%
東海24.0%18.9%
近畿3.1%8.1%
中国0.8%2.0%
四国0.4%1.4%
九州1.5%1.5%
沖縄0.6%0.2%
自県35.7%27.6%

国立大学を甲信越比率の高い順に並べました。上段左から右、次に二段目の左から右の順です。

まず、最も甲信越率の高いのが上越教育大学と長岡技術科学大学です。これらは単科大学である上、長岡技術科学大学は高専からの編入学が基本となっているため、1年次入学定員は80人しかありません。そういった事情があるため甲信越比率が高くなっています。

それ以外の大学は各県が置かれているポジションに依存しています。例えば最も甲信越比率の低い信州大学は全国で最も隣接する県が多い長野県にあることから出身地も分散しています。また、新潟県は山形県と隣接していることから東北地方の比率が高くなっています。

公立大学

地域新潟看護大石川看護大長野看護大
北海道0.0%0.0%0.0%
東北1.1%0.0%0.0%
北関東1.1%0.0%0.0%
首都圏0.0%1.3%1.2%
甲信越96.8%96.3%83.5%
東海1.1%2.5%12.9%
近畿0.0%0.0%0.0%
中国0.0%0.0%0.0%
四国0.0%0.0%0.0%
九州0.0%0.0%0.0%
沖縄0.0%0.0%1.2%
自県85.1%82.5%80.0%
地域公立小松大新潟県立大福井県立大
北海道0.0%0.8%1.4%
東北1.2%16.5%0.9%
北関東2.0%5.3%2.8%
首都圏0.8%1.5%2.1%
甲信越76.2%72.8%70.2%
東海10.5%1.0%12.6%
近畿5.6%1.3%6.8%
中国1.2%0.3%0.7%
四国1.2%0.0%0.5%
九州0.8%0.3%0.2%
沖縄0.4%0.3%0.0%
自県54.0%59.1%52.2%
地域山梨県立大石川県立大三条市立大
北海道0.4%0.7%0.0%
東北1.8%0.7%4.9%
北関東4.0%0.7%9.8%
首都圏2.9%1.4%2.4%
甲信越68.5%67.1%65.9%
東海18.5%18.6%7.3%
近畿1.4%5.7%6.1%
中国0.7%2.9%1.2%
四国0.4%0.7%0.0%
九州0.0%1.4%1.2%
沖縄1.4%0.0%0.0%
自県58.3%54.3%42.7%
地域富山県立大長野県大長野大
北海道0.6%0.8%0.0%
東北0.8%4.1%9.6%
北関東2.1%6.2%9.6%
首都圏0.8%7.8%4.5%
甲信越65.4%57.6%53.1%
東海25.8%14.4%14.7%
近畿3.1%2.5%2.8%
中国0.4%1.6%2.0%
四国0.2%0.0%1.1%
九州0.6%1.6%1.7%
沖縄0.0%2.5%0.0%
自県48.5%45.3%36.2%
地域敦賀看護大長岡造形大諏訪理科大
北海道0.0%4.3%0.6%
東北1.8%14.5%2.8%
北関東3.6%5.5%7.4%
首都圏0.0%4.7%7.4%
甲信越46.4%37.9%37.8%
東海23.2%12.5%33.5%
近畿23.2%4.7%5.8%
中国1.8%2.7%0.9%
四国0.0%4.3%2.2%
九州0.0%8.2%0.9%
沖縄0.0%0.8%0.0%
自県39.3%21.5%23.1%
地域都留文科大金沢美工大
北海道3.6%4.6%
東北13.3%3.3%
北関東9.0%3.9%
首都圏9.0%17.8%
甲信越30.5%19.1%
東海14.5%15.1%
近畿5.0%20.4%
中国2.5%3.9%
四国6.1%0.7%
九州4.3%9.2%
沖縄0.6%0.0%
自県14.8%13.8%

大学数が多くて五段にまたがってしまいました…。

公立大学は分野による違いが大きく出ていると考えられます。甲信越比率が高い大学は看護の単科大学が多く、逆に低い大学は人文系や芸術系の学部を持つ単科大学となっています。その中間に複数学部を有する大学や理系学部を有する大学が来るという構図になっています。

学部別にはどうなっているのか?

公立大学は単科大学が多いことから、国立大学のみ(上越、長岡除く)見ていきたいと思います。

新潟大学

学部名甲信越自県
歯学部(4年)95.0%75.0%
教育学部(教員養成)70.3%63.8%
創生学部61.2%49.3%
医学部(4年)57.4%42.6%
経済科学部54.7%42.2%
人文学部47.3%36.8%
理学部46.3%35.5%
工学部42.5%34.7%
農学部42.3%25.3%
法学部39.2%27.6%
医学部(6年)37.8%36.2%
歯学部(6年)27.5%20.0%

いろいろな地域でも同様ですが、やはり甲信越地方でも理系学部が総じて地元比率が低く、文系学部が高くなります。

その中でも顕著なのが歯学部でしょう。歯学部は歯科医師を目指す6年制の課程と歯科衛生士を目指す4年制の課程があります。地元比率はその4年制が最も高く6年制が最も低いと真逆です。歯科医師になれる国立大学は実は非常に少ないです。その中でも新潟大学は威信のある(ブランド力のあると言い換えてもいいです)大学であり、いろいろな地域から志望者がいるということになります。一方で歯科衛生士については大学だけではなく専門学校でも養成施設はほぼ全国にあるため地元比率が高くなっていると考えられます。

医学部についても同様です。

富山大学

学部名甲信越自県
経済学部(夜間)83.3%80.0%
人間発達(科)学部(教員養成以外)76.6%40.0%
人文学部66.1%28.2%
経済学部66.0%31.4%
医学部(4年)65.0%32.5%
薬学部(6年)51.7%19.0%
芸術文化学部51.7%19.0%
工学部50.8%21.7%
理学部48.5%18.6%
薬学部(4年)44.0%18.0%
医学部(6年)42.9%27.6%
都市デザイン学部42.4%15.9%

富山大学も同様に傾向です。ただし、富山大学には都市デザイン学部というここにしかない学部があり、その学部が最も地元比率が低くなっています。

個人的な感想を述べると、教育システムに力を入れることは理解できますが、工学部全体で取り組んでもよかったのではないかと思います。そこについては国立大学ならではの問題や、内部的な問題が絡んでいるので何とも言えませんが。

金沢大学

学部名甲信越自県
人間社会学域(教員養成)86.0%52.3%
医薬保健学域(その他)63.6%33.0%
人間社会学域(教員養成以外)58.3%26.0%
医薬保健学域(薬学系6年)53.0%25.8%
理工学域52.4%24.3%
医薬保健学域(医学系)44.1%25.2%
融合学域41.8%21.8%
国際基幹教育院37.0%8.2%

金沢大学はかなり特殊な学部構成になっています。筑波大学や東京都立大学と似ていますが、既存の学部構成とは一線を画した学部構成になりました。しかし、そこからさらに変更がかかって、融合学域や国際基幹教員院などの学部(?)ができています。

金沢大学のホームページに行って、内容を確認しましたが、正直言って何をやっているのかはきちんと理解できていません。大学には大学の理想があるのかもしれませんが、ほとんどが18歳の受験生が迷子にならないか心配です。

福井大学

学部名甲信越自県
教育学部(教員養成)96.3%83.5%
国際地域学部79.7%62.5%
医学部(4年)75.4%65.6%
工学部36.8%23.6%
医学部(6年)30.9%26.4%

福井大学は学部数が少なく、文系学部と理系学部の差が顕著です。教育学部はほぼ甲信越地方からの入学者しかいないということになります。

山梨大学

学部名甲信越自県
教育学部(教員養成)70.7%58.6%
医学部(4年)47.5%31.1%
生命環境学部45.0%33.8%
工学部41.1%31.5%
医学部(6年)30.4%28.8%

山梨大学は福井大学と学部構成としては近い感じです。しかし、東京都に隣接していることなどから甲信越比率は低くなっています(それを言うならば福井県も京都府や滋賀県などと隣接しているではないかといわれるかもしれませんが)。

信州大学

学部名甲信越自県
教育学部(教員養成)71.4%57.7%
経法学部53.5%41.6%
医学部(4年)53.1%40.7%
人文学部42.0%29.3%
工学部32.4%17.0%
農学部27.3%19.9%
医学部(6年)25.8%22.5%
理学部25.1%17.4%
繊維学部24.4%17.9%

信州大学は甲信越比率が最も低い大学でしたが、それはやはり理系学部に集中していることがわかります。

特に繊維学部は全国でもここしかない(以前は東京農工大学や京都工芸繊維大学にありました)学部であり最も多様性の高い学部となっています。

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