各地域の中心の大学と認識されている旧帝大(北から北海道大学・東北大学・東京大学・名古屋大学・京都大学・大阪大学・九州大学)ですが、これらの大学の入学定員はどのように推移しているのか見ていきたいと思います。
東大・京大についてはさらに個別に見ているので別の記事を参照してください。
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旧帝大の入学定員の推移は似ている

上のグラフは旧帝大の定員の推移です。ところどころ異なりますが、1990年代の臨時定員増で増加して、それが終了したら元に戻って安定するという非常に似た動きをしていることがわかります。
定員にも序列があった
そして定員数自体もほぼ序列があります。正確にはありました。
当初の定員は「東大>京大>東北大>大阪大・北大・九大>名古屋大」とほぼ設置された順に定員が多いという序列がありました。
しかし現在では、ただし、大阪大学が2008年を境に定員が大きく増加するなど変動があり、現在では「大阪大>東大>京大>九大>北大>東北大>名古屋大」という順になっています。
急な変動は統合や移管が多い
グラフにはところどころ大きく定員が変動している部分があります。まず1960年代後半に東北大学の入学定員が減少しているのは教員養成部門が宮城教育大学として独立したためで、2008年に大阪大学が増加しているのは大阪外国語大学と統合したためです。
また、2000年代前半に定員が増加している大学がいくつかありますが、こちらは元々短大などで教育していた看護や医療技術系(臨床検査技師・診療放射線技師・理学療法士・作業療法士)を保健学科として大学に移管したためです。
結果的に入学定員の増加数は東大・京大よりも多い
どの大学も入学定員は設置当初よりも増加しています。
ただし、東大・京大がそれぞれ約500人・約800人の増加であるのに対して、大阪大が約1,900人、北大・九大・名古屋大が約1,000人、東北大が約400人増加しており、学部移管して定員が減少した東北大以外は全て大きく増加しています。結果として旧帝大の定員は各大学の定員が非常に近くなっています。
学部の改組はどうなっているのか?
1962年以降各大学に新設された学部は以下の通りです。赤いマーカーの学部については他大学との統合でできた学部です。
北海道大学:薬学部(1965年)、歯学部(1967年)
東北大学:歯学部(1965年)、薬学部(1972年)
名古屋大学:情報文化学部(1994年)※2017年から情報学部に改称
大阪大学:人間科学部(1972年)、外国語学部(2008年)
九州大学:薬学部(1964年)、歯学部(1967年)、芸術工学部(2004年)、共創学部(2018年)
以上を見てわかる通り、統合以外での学部の新設は非常に少ないです。また、その多くは歯学部や薬学部などの医療系が多くなっています。
それ以外の学部(人間科学部・情報文化学部・共創学部)は全て学際系となっています。
系統別の定員はどうなっているのか
学部別の推移ではわかりにくいので、系統別に分けてみました。1970年以降は10年おきに推移を追ってみます。2020年は2019年現在募集している定員で予定です。東大・京大は別記事を参照してください。
人文科学系:文学部・外国語学部
社会科学系:法学部・経済学部
自然科学系:理学部・工学部・基礎工学部・芸術工学部・農学部・水産学部
学際系:教育学部・人間科学部・情報文化学部(情報学部)・共創学部
医療系:医学部・歯学部・薬学部
という基準で分けています。
大学名 | 学部名 | 1962年 | 1970年 | 1980年 | 1990年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 |
北海道大学 | 人文科学系 | 4.8% | 6.4% | 7.5% | 7.9% | 8.0% | 7.4% | 7.4% |
北海道大学 | 社会科学系 | 11.0% | 15.7% | 16.4% | 18.2% | 17.7% | 15.7% | 15.7% |
北海道大学 | 自然科学系 | 73.1% | 65.1% | 61.5% | 61.9% | 62.1% | 57.8% | 57.9% |
北海道大学 | 学際系 | 2.8% | 2.0% | 1.8% | 2.1% | 2.2% | 2.0% | 2.0% |
北海道大学 | 医療系 | 8.3% | 10.8% | 12.8% | 10.0% | 10.1% | 17.1% | 16.9% |
大学名 | 学部名 | 1962年 | 1970年 | 1980年 | 1990年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 |
東北大学 | 人文科学系 | 7.6% | 7.0% | 7.3% | 8.5% | 8.9% | 8.8% | 8.8% |
東北大学 | 社会科学系 | 15.3% | 22.0% | 21.3% | 20.3% | 19.6% | 17.6% | 17.7% |
東北大学 | 自然科学系 | 53.6% | 57.4% | 55.5% | 58.3% | 57.9% | 53.9% | 54.0% |
東北大学 | 学際系 | 17.3% | 3.3% | 3.2% | 3.2% | 3.4% | 2.9% | 2.9% |
東北大学 | 医療系 | 6.1% | 10.3% | 12.7% | 9.7% | 10.2% | 16.7% | 16.5% |
大学名 | 学部名 | 1962年 | 1970年 | 1980年 | 1990年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 |
名古屋大学 | 人文科学系 | 10.4% | 7.3% | 7.8% | 7.2% | 6.2% | 5.9% | 6.0% |
名古屋大学 | 社会科学系 | 19.1% | 22.4% | 22.3% | 20.2% | 17.6% | 16.8% | 16.9% |
名古屋大学 | 自然科学系 | 60.0% | 60.6% | 60.2% | 64.5% | 55.2% | 56.0% | 53.3% |
名古屋大学 | 学際系 | 3.5% | 3.6% | 3.6% | 3.4% | 7.2% | 6.6% | 9.5% |
名古屋大学 | 医療系 | 7.0% | 6.1% | 6.0% | 4.8% | 13.9% | 14.6% | 14.3% |
大学名 | 学部名 | 1962年 | 1970年 | 1980年 | 1990年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 |
大阪大学 | 人文科学系 | 4.5% | 4.0% | 5.2% | 6.8% | 6.4% | 22.9% | 22.9% |
大阪大学 | 社会科学系 | 12.0% | 18.0% | 17.0% | 17.5% | 15.6% | 14.4% | 14.4% |
大阪大学 | 自然科学系 | 68.5% | 65.9% | 61.7% | 61.2% | 57.8% | 46.4% | 46.4% |
大阪大学 | 学際系 | 0.0% | 0.0% | 4.7% | 5.4% | 5.1% | 4.0% | 4.2% |
大阪大学 | 医療系 | 15.0% | 12.0% | 11.3% | 9.1% | 15.2% | 12.3% | 12.1% |
大学名 | 学部名 | 1962年 | 1970年 | 1980年 | 1990年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 |
九州大学 | 人文科学系 | 8.9% | 6.7% | 6.5% | 6.6% | 6.9% | 6.3% | 5.9% |
九州大学 | 社会科学系 | 26.5% | 22.9% | 22.3% | 23.2% | 23.0% | 17.2% | 16.2% |
九州大学 | 自然科学系 | 55.0% | 57.7% | 56.3% | 58.1% | 57.7% | 59.2% | 56.7% |
九州大学 | 学際系 | 1.7% | 1.7% | 1.9% | 2.1% | 2.2% | 2.0% | 5.9% |
九州大学 | 医療系 | 7.9% | 10.9% | 13.0% | 10.0% | 10.2% | 15.4% | 15.2% |
設置当初は自然科学系が多い
設置当初は自然科学系の人数の比率が高くなっています。特に北大や大阪大などは入学定員のほぼ70%が自然科学系の分野でした。
ただし、自然科学系の比率はどの大学も低下傾向にあります。九大だけは九州芸術工科大学と統合して芸術工学部が設置されたため、比率が上昇しています。
統合の影響で比率が変わる
自然科学系の比率が下がり、ほとんどの大学は医療系の比率が上昇しています。これは上に書いた保健学科の移管によるものです。また、大阪大学は外国語学部ができたことにより人文科学系の比率が上昇しています。これは大阪大学のみにしか見られません。
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