今回は学校基本調査の数値から平成の間(1989年度~2018年度)に大学院の入学者がどう変化したのかを見ていきます。大学院は修士課程、博士課程と2003年に新たにできた専門職学位課程の3つがありますが、今回は専門職学位課程について見ていきます。
専門職学位は2003年度から統計開始になったので、16年間の動向ということになります。
Contents
分野別の動向
まず分野別の動向です。工学分野と教育分野の比率は便宜的に0%にしています。
分野 | 2003年 | 2018年 | 増減 | 比率 |
合計 | 572 | 6,950 | 6,378 | 1215% |
人文科学 | 0 | 111 | 111 | 0% |
社会科学 | 486 | 4,594 | 4,108 | 945% |
理学 | 0 | 0 | 0 | 0% |
工学 | 0 | 135 | 135 | 0% |
農学 | 0 | 0 | 0 | 0% |
保健 | 43 | 148 | 105 | 344% |
商船 | 0 | 0 | 0 | 0% |
家政 | 0 | 0 | 0 | 0% |
教育 | 0 | 1,383 | 1,383 | 0% |
芸術 | 0 | 0 | 0 | 0% |
その他 | 43 | 579 | 536 | 1347% |
他の課程(修士・博士)と異なり、専門職学位課程は基本的に社会科学分野と教育分野にしかありません。他の分野にも2018年までに出てきてはいますが、非常に小さい数になっています。
以下分野別の動向を見てみます。人数が少ないところはどの学校に設置されているのかを追ってみます。理学・農学・商船・家政・芸術の各分野については触れません。
人文科学分野
まず人文科学分野です。設立当初は人文科学は存在していないため比率は入れていません。
分野 | 2003年 | 2018年 | 増減 |
人文科学全体 | 0 | 111 | 111 |
文学 | 0 | 0 | 0 |
史学 | 0 | 0 | 0 |
哲学 | 0 | 95 | 95 |
人文その他 | 0 | 16 | 16 |
哲学分野の数字が一番多くなっています。これは臨床心理学系の専門職学位課程が出てきたことが要因であると考えられます。つまり修士課程同様専門職学位課程も心理学の影響を受けていることになります。
社会科学分野
次は社会科学分野です。法学・政治学の分野と社会学の分野の比率は便宜的に0%にしています。
分野 | 2003年 | 2018年 | 増減 | 比率 |
社会科学全体 | 486 | 4,594 | 4,108 | 945% |
法学・政治学 | 0 | 1,650 | 1,650 | 0% |
商学・経済学 | 438 | 2,619 | 2,181 | 598% |
社会学 | 0 | 42 | 42 | 0% |
社会その他 | 48 | 283 | 235 | 590% |
法学・政治学については2004年に法科大学院の制度ができて、初年度は5,800人弱が入学しています。しかし、現在では1,650人まで減少しています。この分野増えたというよりも減ったという表現が正しいです。
それ以外の分野は2004年からほぼ変わっていません。
工学分野
次に工学分野です。工学は工学その他にしか分類されていません。調べてみると東京大学の原子力関係の課程や東京農工大学の産業技術の課程が該当しそうです。
保健分野
次に保健分野です。
分野 | 2003年 | 2018年 | 増減 | 比率 |
保健全体 | 43 | 148 | 105 | 344% |
医学 | 22 | 71 | 49 | 323% |
歯学 | 0 | 0 | 0 | 0% |
薬学 | 0 | 0 | 0 | 0% |
保健その他 | 21 | 77 | 56 | 367% |
保健分野は医学と保健その他のみに設置されています。公衆衛生系の分野が該当するのではないかと推測されます。
教育分野
次に教育分野です。設置当初は存在しないので比率は割愛しています。
分野 | 2003年 | 2018年 | 増減 |
教育全体 | 0 | 1,383 | 1,383 |
教育学 | 0 | 13 | 13 |
教員養成 | 0 | 1,370 | 1,370 |
体育学 | 0 | 0 | 0 |
教育その他 | 0 | 0 | 0 |
教育系は教職大学院が多数設置されたことにより教員養成の分野で大きく伸びています。
その他分野
最後にその他分野です。社会・自然科学の前年比については便宜的に0%にしています。
分野 | 2003年 | 2018年 | 増減 | 比率 |
その他全体 | 43 | 579 | 536 | 1347% |
自然科学 | 0 | 0 | 0 | 0% |
社会・自然科学 | 0 | 89 | 89 | 0% |
人文・社会科学 | 0 | 0 | 0 | 0% |
その他その他 | 43 | 490 | 447 | 1140% |
その他については修士課程、博士課程と同様に何が該当するかについては非常に多岐にわたります。その証拠にその他のその他に集中しています。
専門職学位課程の変化まとめ
専門職学位課程の変化は以下の通りです。
1.基本的に社会科学分野(法科大学院・会計大学院)と教育分野(教職大学院)にしかない
2.法科大学院は減少傾向にあり、ピークの4分の1に
3.今後専門職大学ができて発展していくかどうかは未知数
以上です。参考にしてください。