今回は定形型のカリキュラムの例として、リハビリテーション系のカリキュラムについて見てみます。看護師・保健師・助産師については別のところで触れたので比較してみてください。
リハビリテーション系の資格では理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士などが該当します。これらについてどういう特徴があるのか見ていきたいと思います。
Contents
理学療法士・作業療法士のカリキュラム
まずは理学療法士と作業療法士のカリキュラムについて見てみます。実は理学療法士と作業療法士は理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則(平成27年4月改訂)というもので同時に規定されています。それほどこの2つの資格は近い関係にあると言えます。
まずは理学療法士ですが、以下のようなカリキュラムになっています。
大科目 | 小科目 | 単位数 |
基礎分野 | 科学的思考の基盤、人間と生活 | 14 |
専門基礎分野 | 人体の構造と機能及び心身の発達 | 12 |
疾病と傷害の成り立ち及び回復過程の促進 | 12 | |
保健医療福祉とリハビリテーションの理念 | 2 | |
専門分野 | 基礎理学療法学 | 6 |
理学療法評価学 | 5 | |
理学療法治療学 | 20 | |
地域理学療法学 | 4 | |
臨地実習 | 18 | |
総計 | 93 |
次が作業療法士のカリキュラムです。
大科目 | 小科目 | 単位数 |
基礎分野 | 科学的思考の基盤、人間と生活 | 14 |
専門基礎分野 | 人体の構造と機能及び心身の発達 | 12 |
疾病と傷害の成り立ち及び回復過程の促進 | 12 | |
保健医療福祉とリハビリテーションの理念 | 2 | |
専門科目 | 基礎作業療法学 | 6 |
作業療法評価学 | 5 | |
作業治療学 | 20 | |
地域作業療法学 | 4 | |
臨地実習 | 18 | |
総計 | 93 |
以上2つを比べてみてもらえればわかりますが、基礎科目から専門科目まで基本的には同じです。文言も「理学」か「作業」かが異なるだけです。
看護師と比較すると、臨地実習が看護の23単位に対して18単位とやや少ないため、その分資格取得に必要な単位数が少なくなっています。
言語聴覚士のカリキュラム
続いては言語聴覚士です。言語聴覚士は言語聴覚士学校養成所指定規則(平成27年4月改訂)で規定されています。
言語聴覚士のカリキュラムは以下の通りです。言語聴覚士は教育歴等でいくつかの履修パターンがありますが、今回は最大限必要な単位数を見てみます。
大科目 | 小科目 | 単位数 |
基礎分野 | 人文科学 | 2 |
社会科学 | 2 | |
自然科学 | 2 | |
外国語 | 4 | |
保健体育 | 2 | |
専門基礎分野 | 基礎医学 | 3 |
臨床医学 | 6 | |
臨床歯科医学 | 1 | |
音声・言語・聴覚医学 | 3 | |
心理学 | 7 | |
言語学 | 2 | |
音声学 | 2 | |
音響学 | 2 | |
言語発達学 | 1 | |
社会福祉・教育 | 2 | |
専門分野 | 言語聴覚障害学総論 | 4 |
失語・高次脳機能障害学 | 6 | |
言語発達障害学 | 6 | |
発声発語・嚥下障害学 | 9 | |
聴覚障害学 | 7 | |
臨地実習 | 12 | |
選択必修分野 | 専門基礎分野・専門分野から | 8 |
総計 | 93 |
理学療法士・作業療法士と比較すると必要な単位数は同じに設定してありますが、中身はかなり異なります。言語聴覚士のほうが非常に細かく設定をしてあります。
内容としては、音と心についての基礎を学んだあとに、言語に関する障害について学ぶという形になります。また、専門基礎分野に関わる単位数が比較的多いため、臨地実習は12単位と理学療法士等と比較しても3分の2に設定されています。
視能訓練士のカリキュラム
最後は視能訓練士です。こちらも言語聴覚士同様最大限のカリキュラムを見てみます。視能訓練士は視能訓練士学校養成所指定規則(平成27年4月改訂)で規定されています。
視能訓練士のカリキュラムは以下の通りです。
大科目 | 小科目 | 単位数 |
基礎分野 | 科学的思考の基盤、人間と生活 | 14 |
専門基礎分野 | 人体の構造と機能及び心身の発達 | 8 |
疾病と障害の成り立ち及び回復過程の促進 | 8 | |
視覚機能の基礎と検査機器 | 8 | |
保健医療福祉と視能障害のリハビリテーションの理念 | 5 | |
専門分野 | 基礎視能矯正学 | 10 |
視能検査学 | 10 | |
視能障害学 | 10 | |
視能訓練学 | 6 | |
臨地実習 | 14 | |
総計 | 93 |
視能訓練士のカリキュラムはここまで紹介した理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のちょうど間くらいの設定になっています。
リハビリテーション系資格のカリキュラムまとめ
ここまで紹介した4つの資格を一覧にすると以下の通りです。
資格名 | 理学療法士 | 作業療法士 | 言語聴覚士 | 視能訓練士 |
基礎分野 | 14単位 | 14単位 | 12単位 | 14単位 |
専門基礎分野 | 26単位 | 26単位 | 29単位 | 29単位 |
専門分野 | 53単位 | 53単位 | 44単位 | 50単位 |
うち臨地実習 | 18単位 | 18単位 | 12単位 | 14単位 |
総計 | 93単位 | 93単位 | 93単位 | 93単位 |
以上のようにリハビリテーション系の資格のカリキュラムは全て93単位の構成になっています。全体的に看護師と比較すると、やや臨地実習が少なくなっています。
4つの資格の間では大きな違いがあるわけではないですが、言語聴覚士だけは臨地実習が少なく、選択必修があるなど、カリキュラム上の制約は少なくなっています。他方で、卒業時の能力に差が出る可能性があります(8単位分なので大した差ではありませんが)。
リハビリテーション分野に進みたい方は参考にしてください。