大学編入について

あまり有名なルートではありませんが、短期大学や専門学校を卒業後に大学に編入学する大学編入という制度があります。この制度について現状どうなっているのかを国公立大学の目線から見ていきたいと思います。

使うデータは大学改革支援・学位授与機構の「大学基本情報」の2021年度版です。ですので、今回私立大学についてのデータはありません。(私立大学についてはデータはありませんが少し触れたいと思います)

編入元の機関には何があるか

大学編入とあるので編入先は大学ということになりますが、編入元はどこになるでしょうか。これは3つあります。それは、

高等専門学校(高専)
短期大学
専門学校

です。そこでこの3つについて個別に見ていきたいと思います。

高専からの編入の多い大学一覧

大学名編入者数
総計2,099
豊橋技術科学大学347
長岡技術科学大学313
九州大学69
東京農工大学68
九州工業大学64
千葉大学58
筑波大学54
大阪大学54
岡山大学53
信州大学49
京都工芸繊維大学40
電気通信大学39
新潟大学35
熊本大学35
東京都立大学34
岐阜大学33
北海道大学33
三重大学32
金沢大学32
群馬大学30
名古屋大学30
東京工業大学29
東北大学28
室蘭工業大学26
鹿児島大学25
福井大学25
神戸大学24
山梨大学24
大阪府立大学24
広島大学23
茨城大学21
香川大学20
宇都宮大学20
和歌山大学20

この3つの中で高専からの編入は断トツで多いです。そこで20人以上編入があった大学を並べてみました。

工学部とのつながりが強い

高専は基本的に工学系しか設置されていない(一部経営情報とか経営系に分類されるものもありますが)ため、編入先も基本的に工学部となります。

そのため、工学部のある大学が上位に並びます。その中には旧帝大も含まれており、かなり贅沢なな編入学であるといえます。高専はほぼ国立なので、このあたりの影響もあるのかもしれません。

高専用の大学もある

ランクの中で突出して多い、豊橋技術科学大学と長岡技術科学大学は高専用の大学であるといえます。

これらは入学定員が80人であるのに対して、編入学定員は320人用意されており、学年別でみるとかなり頭でっかちな構成になっていることがわかります。

ちなみにこれらのカリキュラムも特別編成となっております。
それはこちらを参照してください。

高専には編入以外のルートも

高専から大学に編入するルートもかなり大きいですが、高専自体にも専攻科が設けられているところがあり、専攻科を修了すると、学位授与機構から学位認定されるという道も用意されています。高専は優秀な層が入学するのに短大卒までの学位しか取得できないということがネックとなっていたためにこのような救済(?)ルートが設けられています。

短大からの編入の多い大学一覧

大学名編入者数
総計462
岩手県立大学28
三重大学22
高崎経済大学22
愛媛大学20
山形大学18
島根大学18
福島大学18
新潟大学16
鹿児島大学16
群馬大学14
長崎大学14
岩手大学13
富山大学12
長野大学12
大阪教育大学12
佐賀大学10
鹿屋体育大学10

短大は高専と比較すると5分の1程度なので10人以上の大学を並べてみます。

編入元としての公立短期大学

国公立大学に編入する編入元として有力な機関となっているのが公立短期大学です。実は公立の短期大学は現在絶滅危惧種といってもよいほど少なく、そのほとんどは四年制大学化しています。

そんな中で大月市立大月短期大学、三重県立短期大学、大分県立芸術文化短期大学、鹿児島県立短期大学などは人文社会系の学科を持っており、そこから近隣の国公立大学を中心に編入学があります。

また、最も編入学者が多い岩手県立大学については公立の短期大学部を2つも有しており、そこからの編入学者がいるため、このような数字になっています。

私立短期大学からは少ない(私立大学には進んでいる)

実は大学全体でみるとこの10倍くらいの編入学者がいます。つまり短大から大学への編入学者のほとんどは私立大学への編入学者ということになります。

私立大学については大学と短期大学部の仕組みを維持している大学も比較的残っていることから、これらの大学における編入学が存在していることがうかがえます。

さらに私立短期大学出身者には違った側面もあります。

実は専門学校卒業生である

それが専門学校卒業者です。実は大学側で編入学できる資格として短大卒業は認めているが、専門学校卒業は認めていないところが結構あります。

その場合専門学校はどうするかというと、通信制の短期大学を専門学校在学中に併修させることによって短期大学卒業資格を取得してから編入学試験を受験させるという方式をとります。

そのため、上の表にある短期大学からの編入学者の中の何割かは実は専門学校卒業生です。専門学校で大学編入科を設置しているところなどは基本的にこの仕組みを採用しているので、この数はかなり多いと推測されます。

専門学校からの編入の多い大学一覧

大学名編入者数
総計282
埼玉県立大学16
富山大学15
愛媛大学14
新潟大学13
名桜大学13
筑波大学12
金沢大学12
室蘭工業大学11
神戸市看護大学10
大分大学9
琉球大学8
下関市立大学8
山形大学7
福島大学7
高知大学7
香川大学6
滋賀県立大学6
山口大学6
岩手県立大学5
島根大学5
和歌山大学5
福井大学5
浜松医科大学5

専門学校からの編入学は短大のところで書いたように実態として短大カウントされている人がいるため、人数が少なくなっています。そこで5人以上の大学を並べました。

意外に多い医療系の編入学

専門学校といえば看護学校を含めた医療系の専門学校を想像される方が多いかもしれません。これらの卒業生、具体的に言うと看護師や臨床検査技師等の資格取得者(資格取得見込みも含む)に対しての大学編入の門戸が開かれています。

最も多い埼玉県立大学の場合は看護師の資格取得者が編入学することで保健師の資格を取得することができます。(看護師をとるための専門学校は3年制ですので、3年次編入して5年間かかるということになります)

そのため、上位の大学においては医療系の学部を持つ大学が上位に来ています。これらの大学は専門学校の卒業資格でも編入学ができるようになっています。

数少ない公立専門学校の存在

2位には富山大学が入っています。ここは医療系ばかりではなく人文学部が上位に入ります。

それは富山県には非常に珍しい公立の外国語専門学校である、富山市立富山外国語専門学校があります。そこから富山大学へ編入実績があります。

公立の専門学校は看護や農業を除くと非常に少ないです。このような道が可能であることなどはもう少し周知されても良いと思います。

専門学校でも同一学校法人内の編入学が用意されているところがある

ここまでは国公立大学への編入学について述べてきました。もちろん私立大学への編入学もあります。短大ほどではないですが、国公立への編入学者の5倍が私立大学に編入しています。

短大同様に同一法人内に大学と専門学校を設置している場合には編入学制度を置くことが多いようです。

規模の大きなところを見てみると、日本工学院専門学校から東京工科大学への編入学、神田外語学院から神田外語大学への編入学などが挙げられるでしょう。この場合には高校から大学への内部進学のような制度が設けられていることが多いです。

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