大学・短大・専門学校の入学者はどう推移したか(全国2019年版)

今回は学校基本調査をもとに、大学・短大・専門学校の入学者が歴史的にどう推移してきたかを見ていきます。時期は1975年~2019年です。ちなみに専門学校は1976年に制度化されたので、数字はそこから反映されています。

※2020年1月18日に2019年版に改訂しました。

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校種別の推移

以下のグラフは大学・短大・専門学校の入学者の推移です。

これを見ると、大学は1985年前後から増加して、2019年現在でも少しずつ増加していることがわかります。一方で短大・専門学校も1992年(ベビーブームのピーク)までは同様に増加していますが、短大はずっと減少傾向にあります。

また、専門学校についてはずっと減少しているということはなく、2003年~2005年ごろ、また2010年前後も増加している年があります。これは景気の影響を受けているためと推測されます。2003年前後は新卒の有効求人倍率が1倍に届かないほど就職難の時期でした。また、2010年は前年のリーマンショックの影響を受けて就職状況が悪化した時期に当たります。

となると少し疑問がわくのは、現在は景気の状況判断は措いておいて、就職状況は非常に良いはずです。そうであれば18歳人口は減少しているので専門学校進学者は減少していてもおかしくありません。にも関わらず、専門学校の入学者数は横ばい状態です。

その理由は留学生です。日本学生支援機構の調査を見ていただくとわかりますが、2010年前後は2万人台だった留学生数が2018年では6万人台にまで増加しています。この調査は在籍ベースの調査ですので、在籍ベースでも専門学校在籍者の約10%が留学生ということになります。

当然入学者ベースでも留学生数が増加していることになるので、そのために数字が維持されていると考えられます。

大学はどの設置形態が増えているのか

次に増加している大学ですが、大学には国立大学・公立大学・私立大学の3つがあります。国立大学は国立大学法人が設置したもの、公立大学は都道府県や公立大学法人が設置したもの、私立大学はそれ以外を指します。

ちなみに短大・専門学校はほとんどが私立であり、国立・公立の短大・専門学校は非常に少なくなっています。

以下のグラフを見てください。

これを見ると、国立大学はこの40数年でほぼ横ばい、公立大学は少ないながらも増加を続け、大きく増加しているのが私立大学ということになります。ただし、私立大学もずっと増加しているわけではなく、2000年代以降は増減を繰り返しています。

どこの地域がどの大学に通うのか

ではどの地域の人が国立大学・公立大学・私立大学に進学しているのでしょうか?

関東の躍進と九州の凋落(国立大学)

上のグラフは国立大学の出身地別入学者比率です。これを見ると、2010年代に入ってから関東の比率が高まり、九州の比率が下がっていることがわかります。それ以外の地域はあまり変動がなく、結果として近畿地方のほうが九州地方より国立大学に進学するようになっています。

九州地方は人口に対しての国立大学の収容人数が大きく、また国立信仰も強いため、国立大学進学者数が多かったというのは事実ですが、ここまで関東地方との比率が変化しているということは、地域間のバランスが崩れている可能性があります。今後は各都道府県の状況を個別に見ていきたいと思います。

※2019年ではさらに関東比率が上昇しています。

設置されれば増える(公立大学)

国立大学と異なり、公立大学は近畿地方出身者が非常に多いです。これは大阪府立大学、大阪市立大学に代表される、大規模公立大学は近畿地方に多いことが要因だと考えられます。しかし、その数値は徐々に低下してきており、他の地域が段階的に増加していることがわかります。例えば東北地方の1997年~1999年にかけての増加などです。

これは各地方に公立大学が設置されたことで、その地域の公立大学進学者が増加したことによるものです。

今後は長野県や石川県などで公立大学新設されており、甲信越地方の数値が上がっていくことが予想されます。

関東に多いため当然そうなる(私立大学)

最後に私立大学ですが、これはもう説明するまでもないかもしれませんが。私立大学が集中する関東地方、近畿地方、東海地方がトップ3となっており、この順番は変動していません。

それ以外の地域はほぼ横ばいです。

※2019年は関東地方の比率が少し低下しています。これは大規模大学の定員厳格化の影響で受け入れ人数が減っていることが影響していると考えられます。

学校別の進学率はどうなっているのか?

次に大学・短大・専門学校の進学比率を見ていきたいと思います。対象は高校新卒と中等教育学校新卒のみを対象としているので、入学者とは少し異なります。

上のグラフは大学・短大・専門学校それぞれの進学比率を積み上げグラフにしたものです。紫の折れ線は合計値を見えやすくしたものです。

こうしてみると、1980年代前半までは進学率は40%台だった(浪人は進学に含まないので同世代進学率であればもう少し上がります)のが、2010年代では70%に達していることがわかります。

これを見ると、大学⇒増加、短大⇒減少、専門学校⇒横ばいとなっていることがわかります。

※2019年には大学進学率が単独で50%になりました。その分は短大が減少しています。

短大が大きく減少(女子)

先ほどのグラフを女子のみにしたものです。大学が増加しているのは総計と同じですが、女子の場合は短大の減少が大きくなっており、上の短大の入学者減少と大きく連動していることがわかります。

※2019年度は進学比率は過去最高となっています。

そもそも大学と専門学校だけだが進学率は低い(男子)

男子だけにすると、短大はほとんどなく、大学が大きく伸びて、専門学校は横ばいからやや減少であることがわかります。

それ以上に進学計のところに着目してもらうと、女子の進学合計が70%台後半(正確には76.6%)であるのに対して、男子の進学合計が60%台中盤(正確には64.0%)となっており、10%以上も進学率が低くなっています。

これは過去40数年間同じ傾向です。男子の場合は高卒で相当数が就職してしまうことが影響していると考えられます。女子の場合には専門学校進学率も高いため、「手に職」を付けて就職するという傾向があると考えられます。

※2019年は大学進学率が低下しています。

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