大学カリキュラムの見方(工学編)

大学を選ぶときにカリキュラムのどこを見れば良いでしょうか?ということで、今回は機械工学の分野を例にとって考えてみたいと思います。

専門科目はあまり変わらない

カリキュラムというとその学部学科の専門科目がすぐに思い浮かぶと思います。もちろん各大学にとってはそれが売りになるでしょうし、特に理系の場合は研究ともつながるので目立つ分野はあります。

しかし、専門科目を眺めてみてもほとんどどの大学も似たような科目が並びます。それは同じ学科名を名乗っているので当然と言えば当然です(もちろんこれは工学や経済学など古くからある学部に限られます。学際系の学部では同じ学部名でも全く異なる場合があります)。

大切なのは基礎科目の必修

そこで注目すべきなのは基礎科目です。

工学系の学部の特徴は数学や理科(物理や化学など)を各分野に応用することにあります。逆に言うと、数学や理科がきちんと履修されていないと、専門科目の学修に大きく影響するということです。

また、必修であることが大切です。なぜなら必修でない場合は入学した学生全てがその知識を習得することが前提とされないため、専門科目もそれに合わせた内容になってしまうからです。

本来であれば先修条件(前提として修得すべき科目を指定すること。基本はその科目を習得していないと次の科目は履修できない)を付けておくことが必要ですが、日本の大学ではほとんど見られません。

具体的な科目数

そこで、首都圏、関西圏、中京圏を中心に基礎科目がどの程度設置されているかを調べてみました。参考にしたのは各大学の学則や履修規則です。対象年度はバラバラですが、最新のものを参照したので2019年度版もしくは2018年度版となります。もちろん、カウントするのは必修科目だけです。

大学名数学物理学化学生物学情報系基礎実験合計
早稲田大学(基幹理工)13 4 2 0 4 8 31
南山大学16 2 0 0 10 2 30
早稲田大学(創造理工)10 4 2 0 2 8 26
慶應義塾大学8 8 4 2 2 2 26
明治大学16 4 4 0 2 0 26
東京理科大学(理工)10 12 4 0 0 0 26
工学院大学14 7 0 0 3 0 24
同志社大学12 6 0 0 2 0 20
芝浦工業大学10 7 2 0 0 0 19
関西大学10 4 0 0 4 0 18
東京理科大学(工)8 6 4 0 0 0 18
東京電機大学6 5 2.5 0.5 4 0 18
東京工科大学8 2 0 0 6 2 18
龍谷大学8 6 0 0 2 0 16
名城大学10 4 0 0 2 0 16
中京大学8 0 0 0 4 4 16
愛知工業大学10 4 0 0 2 0 16
東京都市大学8 6 0 0 1 0 15
上智大学5 2 2 2 2 1 14
中央大学12 2 0 0 0 0 14
日本大学(生産工)4 4 3 1 2 0 14
拓殖大学8 4 0 0 0 2 14
金沢工業大学12 0 0 0 0 0 12
千葉工業大学4 4 4 0 0 0 12
東洋大学6 2 0 0 3 0 11
中部大学6 0 0 0 0 4 10
日本大学(理工)8 0 0 0 0 0 8
青山学院大学0 2 1 0 2 2 7
神奈川工科大学2 1.5 1.5 0 0 0 5
明星大学4 0 0 0 0 0 4
立命館大学4 0 0 0 0 0 4
法政大学2 0 0 0 0 0 2
摂南大学0 0 0 0 1 1 2
日本工業大学0 0 0 0 2 0 2
東海大学0 0 0 0 0 0 0
国士舘大学0 0 0 0 0 0 0
近畿大学(理工)0 0 0 0 0 0 0
大阪工業大学0 0 0 0 0 0 0

基準ですが、基本的に基礎科目の中にある数学科目(線形代数や微分積分等)、物理科目(物理学や力学等。実験も物理学実験であれば含む)、化学科目、生物学科目、情報系科目(プログラミング等)、基礎実験(物理や化学など分野を指定していない実験)の必修単位数を合計して多い順に並べました。

繰り返しますが、ここで数字がゼロでもその科目を履修しないわけではないです、あくまで必修科目なので全員が修得している(修得状況に差ははありますが)べき科目ということです。

大学名の横にかっこ書きしてあるのは、その大学に同じ分野が複数存在する場合に識別のために入れた学部名です。なお、同志社大学には6単位分必履修科目(履修が必要だが、単位の取得は問わない科目)が入っています。また、工学院大学には専門科目に該当するものが11単位分入っています(科目名が基礎的な名称でした)。

また、コース制度でいくつかに分かれるものは一番オーソドックスなコースの数字を採用しました。例えば、神奈川工科大学には特別専攻のコースがあり、そのコースの学生は数学14単位、物理学11.5単位、化学1.5単位の合計27単位となります。

一覧にしてみましたがいかがでしょうか?上は30単位から下は0単位まで大学によって幅が広いことがわかります。

何度も書きますが、0単位だから数学をまったくやらないということはありません。しかし、必修にしない場合には修得していないことがありえます。こういう大学に入学した場合には他の大学の学生はきちんとこの分野を習得していると思って、きちんとその科目を習得するようにしましょう。

基本は偏差値順だが、偏差値に関係なくきちんと学ばせる大学もある

表をご覧いただくと、やはり偏差値の高い大学のほうが上位に来がちです。

しかし、偏差値に関わらず、この科目群に力を割いている大学もあります。そういう大学は狙い目といえます。 一方でブランド大学でも必修の数字が少ないところもあり、そういう大学は、入学後に安きに流されないようにきちんとした意識を持つことが大切です。

また、数学・物理以外に化学や情報系をどれだけ履修させるかで、大学の特色が出ています。これらの科目を必修にするということは専門科目でその力を使うということなので、専門科目の幅が広がると言えます。

参考までに理工系国立大学の事例も調べてみました。

大学名数学物理学化学生物学情報系基礎実験合計
北見工業大学8 5 4 0 2 1 20
室蘭工業大学10 5 2 0 2 1 20
電気通信大学12 4 2 0 2 0 20
名古屋工業大学12 4 0 0 2 0 18
九州工業大学6 4.5 2.5 0 4 0 17
東京農工大学10 0 0 0 0 3 13

国立大学はさすがというか、比較的高い水準でまとまっています。

単位数以外で注意する点

数学の科目が相応に確保されていればそれでよいかといえば、必ずしもそうとは限りません。これが科目である以上どのレベルの授業が展開されるかがもう一つ重要なポイントです。

実際に授業を受けるわけにはいかないので、注意する点を2点記載します。

1.対応科目シラバスを眺めてみる
2.入試科目を調べる

シラバスは当然ながら学習内容が記載してあります。これを比較すると、授業でどのレベルまで要求されるかがわかります。

また、入試は特に数学の範囲が要注意です。基本的に理系ですので、数学はⅢが基本となります。そこがⅡまでだったりする場合には、入学時にその科目までしか履修していないことが前提になるので、入学後の科目もその続き(高校レベル)からスタートする可能性が高く、結果として授業で取り扱う内容が少ないということになります。

最後に

今回は機械工学を例にとって調べてみましたが、同様の分野には電気電子工学、情報工学、建築学などがあります。どれも数学や物理が必要とされる学科です。

また、応用化学などは名称で分かる通り、化学が必要とされます。やや似ている分野ですが、材料工学では物理と化学が同程度必要とされるので注意が必要です。

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