今回も学校基本調査の数値から大学の学部の変遷を見ていきます。今回は2010年代後半(2015年度~2017年度)です。2018年度の数値はまだ発表されていないので、これが最新の数値となります。
2019年3月29日に学校基本調査の報告書未掲載項目が更新され、2018年度の学部数値が出たので追記しました。
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2015年度
学部数2,446学部(前年比+13学部)
新しく設置された学部:健康医療学部(京都学園大学)、先進工学部(工学院大学)、観光コミュニティ学部(跡見学園女子大学)、地域協働学部(高知大学)、メディア芸術学部(宝塚大学)、看護保健学部(梅花女子大学)、経済・マネジメント学群(高知工科大学)、国際リベラルアーツ学部(山梨学院大学)、地球社会共生学部(青山学院大学)、福祉心理学部(新潟青陵大学)
なくなった学部:観光文化学部(神戸夙川学院大学)、法政策学部(帝塚山大学)、光科学部(千歳科学技術大学)
学部数は前年比13学部増と久々に増加に転じました。ただし上位は看護学部のみ増加が顕著で、残りの学部は教育学部を除いて減少しています。
新しく使用された言葉は「協働」のみです。一方でなくなった学部も3学部あります。法政策学部は法学部に名称変更しました。光科学部は総合光科学部になったあとに、更に理工学部に名称変更しています。最終的に汎用的な名称になりました。観光文化学部は大学の募集停止で名称がなくなりました。
学部名 | 学部数 | 前年比 |
総計 | 2,446 | +13 |
経済学部 | 149 | ±0 |
工学部 | 125 | -1 |
文学部 | 118 | -5 |
法学部 | 106 | -3 |
看護学部 | 106 | +13 |
経営学部 | 92 | -1 |
教育学部 | 81 | +4 |
医学部 | 79 | ±0 |
薬学部 | 72 | -1 |
人文学部 | 50 | ±0 |
2016年度
学部数2,466学部(前年比+20学部)
新しく設置された学部:グローバル学部(武蔵野大学)、総合心理学部(立命館大学)、経法学部(信州大学)、社会共創学部(愛媛大学)、国際社会科学部(学習院大学)、心理社会学部、地域創生学部(以上大正大学)、都市創造学部(亜細亜大学)、観光経営学部(新潟経営大学)、地域経営学部(福知山公立大学)、情報システム学部(長崎県立大学)、福祉健康科学部(大分大学)、地域デザイン科学部(宇都宮大学)、生物資源産業学部(徳島大学)、農林海洋科学部(高知大学)、芸術地域デザイン学部(佐賀大学)、地域資源創成学部(宮崎大学)、人間共生学部(関東学院大学)、創造表現学部(愛知淑徳大学)
なくなった学部:福祉経営学部(日本福祉大学)、経営情報科学部(愛知工業大学)、数理情報学部(南山大学)、会計ファイナンス学部(名古屋商科大学)、ビジネスデザイン学部(常葉大学【浜松大学】)
学部数は20学部増とやや増加ペースが上がりました。看護学部はとうとう法学部を抜いて4位に上がりました。
新設学部は多いが、新しく使用された言葉はありません。全て既存の名称の組み合わせです。特徴としては、国立大学の名称が目立ちます。これは国立大学の中期計画に基づいて新設学部を「作らされた」ためです。
一方なくなった学部も5学部あります。福祉経営学部は国際福祉開発学部に、経営情報科学部は経営学部と情報科学部に、数理情報学部は情報理工学部に、会計ファイナンス学部は商学部に名称変更しました。ビジネスデザイン学部は浜松大学の常葉大学への統合時になくなりました。
学部名 | 学部数 | 前年比 |
総計 | 2,466 | +20 |
経済学部 | 141 | -8 |
工学部 | 123 | -2 |
文学部 | 113 | -5 |
看護学部 | 109 | +3 |
法学部 | 106 | ±0 |
経営学部 | 94 | +2 |
教育学部 | 88 | +7 |
医学部 | 80 | +1 |
薬学部 | 72 | ±0 |
人文学部 | 50 | ±0 |
2017年度
学部数2,510学部(前年比+44学部)
新しく設置された学部:理学院、工学院、生命理工学院、情報理工学院、物質理工学院、環境・社会理工学院(以上東京工業大学)、情報連携学部(東洋大学)、システムデザイン工学部(東京電機大学)、ロボティクス&デザイン工学部(大阪工業大学)、建築都市工学部(九州産業大学)、海洋資源環境学部(東京海洋大学)、健康医療スポーツ学部(帝京平成大学)、都市科学部(横浜国立大学)、データサイエンス学部(滋賀大学)、スポーツ文化学部(日本体育大学)、世界共生学部(名古屋外国語大学)、創生学部(新潟大学)
なくなった学部:産業工学部(東海大学)、酪農学部(酪農学園大学)、環境情報ビジネス学部(名古屋産業大学)、マーケティング学部(名古屋商科大学)、国際環境経営学部(吉備国際大学)、地域医療学部(帝京平成大学)
学部は44学部増と近年では非常に増加数が多い年となりました。そしてとうとう看護学部がトップ3に入ってきました。
この年は新しく設置された学部も多いですが、前年同様に国立大学の改組が目立ちます。特に東京工業大学が6年一貫教育の仕組みで「学院」制度を打ち出しており、それが学部として計上されています。この年に新たに使用された言葉は「ロボティクス」「データ」「世界」でです。意外にも世界という言葉は初めて使用されました。それまでは地球などが使用されていました。グローバルという名称との差別化だと考えられます。
なくなった学部も6学部あります。産業工学部は基盤工学部に、酪農学部は農食環境学群に、環境情報ビジネス学部は現代ビジネス学部に、マーケティング学部は商学部に、国際環境経営学部は社会科学部に、地域医療学部は健康医療スポーツ学部に名称変更しました。
学部名 | 学部数 | 前年比 |
総計 | 2,510 | +44 |
経済学部 | 139 | -2 |
工学部 | 119 | -4 |
看護学部 | 114 | +5 |
文学部 | 112 | -1 |
法学部 | 104 | -2 |
経営学部 | 93 | -1 |
教育学部 | 91 | +3 |
医学部 | 81 | +1 |
薬学部 | 72 | ±0 |
人文学部 | 50 | ±0 |
2018年度
学部数2,546学部(前年比+36学部)
新しく設置された学部:国際地域創造学部(琉球大学【夜間主コースあり】)、文化社会学部、健康学部(以上東海大学)、グローバルマネジメント学部、健康発達学部(以上長野県立大学)、公共学部(大阪商業大学)、総合生命科学部(京都産業大学)、生産システム科学部(公立小松大学)、基幹工学部(日本工業大学)、食料産業学部(新潟食料農業大学)、スポーツプロモーション学部(日本ウェルネススポーツ大学)、保育児童学部(東京福祉大学)、児童教育学部(大阪樟蔭女子大学)、共創学部(九州大学)、都市デザイン学部(富山大学)、スポーツマネジメント学部(日本体育大学)、国際貢献学部(京都外国語大学)、食マネジメント学部(立命館大学)、地域マネジメント学部(山陽学園大学)、心理・医療福祉マネジメント学部(国際医療福祉大学)、国際基幹教育院(金沢大学)、国際マネジメント学部【不明】
なくなった学部:環境システム学部(酪農学園大学)、造形表現学部(多摩美術大学)、アジア太平洋マネジメント学部(立命館アジア太平洋大学)、医療工学部、空間創造学部、創生工学部(以上北海道科学大学)、情報ビジネス学部(豊橋創造大学)、文化財学部、地域創成農学部(以上吉備国際大学)、情報デザイン学部(広島国際学院大学)
この年も36学部が増加し、とうとう看護学部が工学部の数を上回りました。
新しい学部も多く設置されましたが、この年は公立大学の新設による増加が目立ちます。それに加えて私立大学も2つ設置(うち1つは既に通信課程をもっていた日本ウェルネススポーツ大学です)されており、それぞれ新しい学部として計上されました。
ここまで新しい名称の学部ができましたが新規に使用された名称はゼロです。マネジメントなどの名称が目立ちます。一時期の「〇〇経営学部」などと似たような構造になっていると推測されます。
なくなった学部としては北海道科学大学と吉備国際大学の学部改組の影響が出ていると考えられます。
学部名 | 学部数 | 前年比 |
総計 | 2,546 | +36 |
経済学部 | 139 | ±0 |
看護学部 | 119 | +5 |
工学部 | 115 | -4 |
文学部 | 110 | -2 |
法学部 | 105 | +1 |
教育学部 | 94 | +3 |
経営学部 | 93 | ±0 |
医学部 | 80 | -1 |
薬学部 | 73 | +1 |
人文学部 | 50 | ±0 |
2010年代後半の学部の特徴
2010年代後半の特徴は以下の通りです。
1.減少気味だった学部数が再び増加した
2.看護学部が爆発的に増加した
3.国立大学の改組や公立大学の設置で新たな名称の学部が登場した