大学の学部はどう変遷したのか(2000年代後半)

今回も学校基本調査の数値から大学の学部の変遷を見ていきます。今回は2000年代後半(2005年度~2009年度)です。

2005年度

学部数2,155学部(前年比+93学部)

新しく設置された学部:生命環境(科)学部(大阪府立大学、県立広島大学)、ライフデザイン学部(東洋大学)、生物生命学部(崇城大学)、国際総合科学部(横浜市立大学)、システムデザイン学部、都市環境学部、都市教養学部(以上首都大学東京)、デジタルコミュニケーション学部(デジタルハリウッド大学)、ホスピタリティ・ツーリズム学部(明海大学)、メディア・コンテンツ学部(宝塚大学)、医療福祉マネジメント学部(川崎医療福祉大学)、感性デザイン学部(八戸工業大学)、健康プロデュース学部(常葉大学【浜松大学】)、国際政策学部(山梨県立大学)、社会イノベーション学部(成城大学)、情報通信工学部(大阪電気通信大学)、食産業学部(宮城大学)、診療放射線学部(群馬県立県民健康科学大学)、人間生活科学部(名古屋経済大学)、生物資源環境学部(石川県立大学)、地域教育文化学部(山形大学)、ファッション造形学部(神戸ファッション造形大学)、現代法経学部(三重中京大学)、心理科学部(北海道医療大学→2002年に新設されている)、国際英語学部(中京大学→2002年に新設されている)、社会環境科学部(広島国際大学→2002年に新設されている)、人間社会福祉学部(福岡医療福祉大学→2002年に新設されている)

なくなった学部:国際協力学部(秀明大学)

届出制度2年目のこの年はこれまでで過去最多(何度も使っていますが)の93学部が増加しました。この年も引き続き薬学部が増加しています。

前年からは減ったものの27学部が新設されました。ただし、2002年新設の学部がいくつか計上されていて、この時期の学校基本調査も学部増に対応できていなかった可能性があります。

この年の特徴は公立大学の増加にあります。大阪府立大学、県立広島大学、首都大学東京、山梨県立大学、宮城大学、群馬県立県民健康科学大学、石川県立大学の7大学で新規名称の学部が設置されました。

この年に新設された学部の中では人間発達学部(人間発達科学部含む)が6学部に増加しています。

新たに使用されたのは、「ライフ」「デジタル」「ホスピタリティ」「ツーリズム」「コンテンツ」「プロデュース」「イノベーション」「ファッション」「感性」「診療放射線」であり、ほとんどがカタカナです。そのほとんどはニュアンスが異なる程度で日本語に変換可能なのもので、この時期からカタカナ学部と揶揄されるようになりました。

学部名 学部数 前年比
総計 2,155 +95
経済学部 171 +2
工学部 151 ±0
文学部 146 -2
法学部 125 +2
経営学部 82 ±0
医学部 78 ±0
薬学部 60 +6
教育学部 59 -3
人文学部 57 ±0
理学部 51 +1

2006年度

学部数2,217学部(前年比+62学部)

新しく設置された学部:保健医療技術学部(文京学院大学、佛教大学)、工芸科学部(京都工芸繊維大学)、未来デザイン学部(園田学園女子大学)、グローバル・メディア・スタディーズ学部(駒澤大学)、グローバルエンジニアリング学部(工学院大学)、シティライフ学部(宇都宮共和大学)、バイオ環境学部(京都学園大学)、ビジネスマネジメント学群(桜美林大学)、マンガ学部(京都精華大学)、メディアコミュニケーション学部(江戸川大学)、英語情報マネジメント学部(秀明大学)、現代心理学部(立教大学)、現代政策学部(城西大学)、産業技術学部(筑波技術大学)、子ども科学部(東北福祉大学)、児童保育学部(大阪総合保育大学)、情報ビジネス学部(豊橋創造大学)、生命健康科学部(中部大学)、先端芸術学部(神戸芸術工科大学)、産業システム学部(新潟産業大学)、情報デザイン工学部(東海大学)、日本文化芸術学部(了徳寺大学)、現代言語学部(該当大学なし→文化言語学部の間違いではないかと推測される)

なくなった学部:鉱山学部(秋田大学)、都市経済学部(宇都宮共和大学)

前年に比べると伸びは鈍化しましたが、それでも1年で62学部増加しています。そしてとうとう看護学部がトップ10入りしました。

この年は23学部が新設され、2学部がなくなりました。ただし、「現代言語学部」という名称がありますが、どこを調べても該当する大学が存在しません。調べてみるとこの年に文化言語学部が尚絅大学に設置されたとあり、この学部が2007年から計上されていることから、文化言語と現代言語の記載ミスではないかと推測されます。

この年に新しく使用された名称は「グローバル」「スタディーズ」「エンジニアリング」「シティ」「マンガ」「先端」とこの年もカタカナが多いことがわかります。

後の学部数の伸びを考えると、この年は「グローバル」元年といえます。国際系の学部と同様の使われ方をされていく。ただし、この年に新設された学部で2017年現在伸びている学部はない。ほとんどオンリーワンの学部となっています。

学部名 学部数 前年比
総計 2,217 +62
経済学部 170 -1
工学部 151 ±0
文学部 143 -3
法学部 125 ±0
経営学部 83 +1
医学部 78 ±0
薬学部 66 +6
教育学部 56 -3
人文学部 56 -1
看護学部 52 +8

2007年度

学部数2,299学部(前年比+82学部)

新しく設置された学部:リベラルアーツ学部(桜美林大学、玉川大学)、医療科学部(帝京科学大学、京都医療科学大学)、生活福祉学部、国際観光学部(以上平安女学院大学)、看護リハビリテーション学部(甲南女子大学)、グローバルスタディーズ学部(多摩大学)、こども心理学部(東京未来大学)、メディア・芸術学部(大手前大学)、映像学部(立命館大学)、政策創造学部、システム理工学部、化学生命工学部、環境都市工学部(以上関西大学)、環境ツーリズム学部(長野大学)、文化構想学部、基幹理工学部、創造理工学部、先進理工学部(以上早稲田大学)、臨床教育学部、経営教育学部(以上芦屋大学)、次世代教育学部(環太平洋大学)、人文・文化学群、社会・国際学群(以上筑波大学)、情報マネジメント学部(産業能率大学)、知識工学部(東京都市大学)、文化言語学部(尚絅大学→2006年に新設されている)、文化財学部(吉備国際大学)、未来科学部(東京電機大学)、キャリア実践学部(岡山学院大学)、ビジネスデザイン学部(常葉大学【浜松大学】)、マーケティング学部(名古屋商科大学)、生活福祉文化学部(京都ノートルダム女子大学)

なくなった学部:流通経済学部、日本文化芸術学部(了徳寺大学)、現代言語学部(該当大学なし)

この年は82学部が増加しました。トップ10を見ると、ついに経済学部が減少をはじめ、教育学部、薬学部、看護学部が増加しています。「手に職」系の学部が多く増設されていることがわかります。

新設学部を見ると、32学部が新設されていますが、大学単位での学部改組の影響で2学部以上を同時に新設している大学が目立ちます(平安女学院大学、芦屋大学、関西大学、早稲田大学、筑波大学)。特に関西大学と早稲田大学が理工学部を3つに分割しています。

この年に新しくつけられた名称は、「リベラルアーツ」「映像」「化学」「基幹」「先進」「臨床」「次世代」「知識」「文化財」「マーケティング」です。臨床と次世代は教育を修飾する形で使用されていますが、果たしてこの言葉を入れる必要があるのかは疑問です。

この年に新設された学部でも2017年現在数を伸ばしている学部はありません。

学部名 学部数 前年比
総計 2,299 +82
経済学部 167 -3
工学部 152 +1
文学部 141 -2
法学部 122 -3
経営学部 83 ±0
医学部 79 +1
薬学部 71 +5
教育学部 61 +5
看護学部 60 +8
人文学部 56 ±0

2008年度

学部数2,374学部(前年比+75学部)

新しく設置された学部:医薬保健学域(金沢大学)、観光産業科学部(琉球大学)、子ども教育学部(くらしき作陽大学)、海洋生命科学部(北里大学)、人間教育学部(園田学園女子大学)、人間総合学部(北陸学院大学)、生命医科学部(同志社大学)、グローバル教養学部(法政大学)、スポーツ健康政策学部(桐蔭横浜大学)、バイオ・化学部(金沢工業大学)、創造工学部、応用バイオ科学部(以上神奈川工科大学)、応用心理学部(東京成徳大学)、学校教師学部(秀明大学)、創生工学部、空間創造学部(以上北海道科学大学)、現代ライフ学部(帝京平成大学→2005年に新設されている)、地域医療学部(帝京平成大学)、現代教育学部(中部大学)、公共政策学部(京都府立大学)、国際人文学部(城西国際大学)、国際日本学部(明治大学)、国際福祉開発学部、子ども発達学部(以上日本福祉大学)、情報デザイン学部(広島国際学院大学)、情報通信学部(東海大学)、人間健康福祉学部(聖カタリナ大学)、生涯福祉学部(兵庫大学)、総合マネジメント学部(東北福祉大学)、総合光科学部(千歳科学技術大学)、総合文化政策学部(青山学院大学)、知能情報学部(甲南大学)、保健医療経営学部(保健医療経営大学)、臨床心理学部(京都文教大学)、国際環境経営学部(吉備国際大学)、産業工学部(東海大学)、人間文化共生学部(聖トマス大学)

なくなった学部:応用情報学部(東海大学【九州東海大学】)、衛生学部(藤田医科大学)、バイオニクス学部(東京工科大学)

この年も学部数増加のペースは衰えません。しかし、これまで基幹学部となっていた経済学部、工学部、文学部は揃って減少しています。

新設の学部を見ると、2004年に次ぐ37学部が増加しました。増加した学部の約半分が新名称の学部ということになります。

しかし、この年に新しく使用された名称は、「教師」「創生」「空間」「知能」の4つしかありません。それ以外は既存名称の組み合わせでできています。特に3つ以上の言葉をつなげた学部(スポーツ健康政策学部、国際福祉開発学部、人間健康福祉学部、総合文化政策学部、保健医療経営学部国際環境経営学部、人間文化共生学部等)が目立ちます。差別化のために名称が長くなる典型です。

この年に新設された学部では2017年現在、子ども教育学部だけが8学部に増加しています。

逆にこの年なくなった学部は3学部です。応用情報学部は九州東海大学の東海大学への合併に伴い、産業工学部に名称変更しました。衛生学部は保健衛生学部に、バイオニクス学部は応用生物学部にそれぞれ名称変更しました。

学部名 学部数 前年比
総計 2,374 +75
経済学部 168 +1
工学部 149 -3
文学部 137 -4
法学部 121 -1
経営学部 83 ±0
医学部 79 ±0
薬学部 73 +2
教育学部 65 +4
看護学部 62 +2
人文学部 58 +2

2009年度

学部数2,435学部(前年比+61学部)

新しく設置された学部:観光文化学部(神戸夙川学院大学→2007年に新設されている)、医療学部(東亜大学)、メディア情報学部(駿河台大学)、現代教養学部(東京女子大学)、サービス創造学部(千葉商大学)、スポーツ人間学部(札幌国際大学)、フロンティアサイエンス学部、マネジメント創造学部(以上甲南大学)、海洋生物資源学部(福井県立大学)、環境園芸学部(南九州大学)、観光ビジネス学部(秀明大学)、金融経済学部(大阪電気通信大学)、子ども育成学部(富山国際大学)、人間開発学部(国学院大学)、生涯スポーツ学部(北翔大学)、地域創生学群(北九州市立大学)、都市生活学部(東京都市大学)、表象文化学部(同志社女子大学)

なくなった学部:なし

看護学部の増加数が加速していきます。

この年は増加スピードが少し緩くなり、新設学部についても18学部と半減しました。しかも新たに使用された名称は「金融」「表象」の2つしかありません。

この年以降新設された学部のほとんどはオンリーワン学部であり、伸びている学部はありません。

学部名 学部数 前年比
総計 2,435 +61
経済学部 168 ±0
工学部 149 ±0
文学部 133 -4
法学部 120 -1
経営学部 88 +5
医学部 79 ±0
薬学部 73 ±0
看護学部 70 +8
教育学部 66 +1
人文学部 60 +2

2000年代後半の学部の特徴

2000年代後半の学部の特徴は以下の通りです。

1.基幹学部の経済学部・工学部・文学部が減少し始め、看護学部が急増
2.カタカナ学部の急増
3.既存名称の組み合わせの多様化でオンリーワン学部が増加

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