大学の学部はどう変遷したのか(2000年代前半)

今回も学校基本調査の数値から大学んも学部の変遷状況を見ていきます。今回は2000年代前半(2000年度~2004年度)です。

2000年度

学部数1,794学部(前年比+95学部)

新しく設置された学部:経営情報科学部(愛知工業大学)、総合人間・文化学部(東亜大学【夜間主コースあり】)、国際教養学部(倉敷芸術科学大学)、心理学部(中京大学)、総合経営学部(大阪商業大学)、情報メディア学部(稚内北星学園大学)、総合福祉学部(東北福祉大学)、企業情報学部(大阪学院大学)、政策学部(三重中京大学)、表現学部(和光大学)、アジア太平洋マネジメント学部、アジア太平洋学部(以上立命館アジア太平洋大学)、コミュニティ振興学部(常磐大学)、システム情報科学部(公立はこだて未来大学)、看護福祉心理学部(新潟青陵大学)、経営文化学部(松蔭大学)、芸術情報学部(尚美学園大学)、現代福祉学部(法政大学)、現代法学部(東京経済大学)、政策情報学部(千葉商科大学)、生涯学習システム学部(北翔大学)、地域学部(富山国際大学)、美術文化学部(金沢学院大学)、服装学部(文化学園大学)、文化政策学部(静岡文化芸術大学)、文化創造学部(愛知淑徳大学)、法政経学部(大阪国際大学)、応用情報学部(東海大学【九州東海大学】)、環境情報ビジネス学部(名古屋産業大学)、環境防災学部、流通経済学部(以上常葉大学【富士常葉大学】)、国際開発学部(拓殖大学)、社会文化学部(大手前大学)、人文経営学部(開智国際大学)、数理情報学部(南山大学)、地域発展学部(作新学院大学)

なくなった学部:なし

2000年代に入って最初の年はなんと過去最大の95学部が増加しました。また新設名称の学部数も36学部に上ります。

この年に新設された学部の中で2017年現在で国際教養学部が18学部に、心理学部が17学部に増加しています。しかし、それ以外の学部の数は伸びていません。

この時期に増えているのはほぼ私立大学です。この年に新しく使用された名称は、「企業」「アジア」「太平洋」「マネジメント」「振興」「生涯」「学習」「服装」「創造」「防災」「数理」「発展」であり、非常に多岐にわたっています。中でも振興、創造、発展などのように分野を表す名称ではなく、「〇〇を振興する(創造する、発展する)」のように動詞的に使用される名称も使われています。

学部名 学部数 前年比
総計 1,794 +99
経済学部 166 +5
文学部 153 +2
工学部 150 +2
法学部 123 ±0
医学部 78 ±0
経営学部 67 +7
教育学部 62 -1
人文学部 54 +2
商学部 51 -1
理学部 51 ±0

2001年度

学部数1,859学部(前年比+65学部)

新しく設置された学部:健康福祉学部(高崎健康福祉大学、西九州大学)、社会システム科学部(千葉工業大学)、芸術文化学部(尾道私立大学)、国際人間(科)学部(鹿児島純心女子大学)、総合文化学部(沖縄国際大学)、地域創造学部(奈良県立大学)、応用生物学部(中部大学)、環境創造学部(大東文化大学)、看護医療学部(慶應義塾大学)、社会環境学部(福岡工業大学)、食物栄養(科)学部(九州栄養福祉大学)、サービス産業学部(流通科学大学)、ネットワーク情報学部(専修大学)、技能工芸学部(ものつくり大学)、公益学部(東北公益文科大学)、国際環境工学部(北九州市立大学)、情報環境学部(東京電機大学)、産業経営学部(長岡大学)、電子情報学部(東海大学)

なくなった学部:なし

学部の増加は収まらず、トップ10では経営学部が6学部も増加しています。この年の新名称の学部は19学部となっています。しかしこの年に新設された学部で大きく伸びた学部はありません。

この年の新設学部の中で新しく使用された名称は「ネットワーク」「技能」「公益」「電子」のみであり、それ以外は既存の名称の組み合わせでできています。中には情報環境学部など既存学部の名称順を逆にした学部もあります。この時期は「環境」という名称を冠した学部が文理問わず新設されています。残念ながら玉石混交と言わざるを得ない状況です。

学部名 学部数 前年比
総計 1,859 +65
経済学部 167 +1
文学部 153 ±0
工学部 150 ±0
法学部 125 +2
医学部 78 ±0
経営学部 73 +6
教育学部 62 ±0
人文学部 54 ±0
商学部 52 +1
理学部 51 ±0

2002年度

学部数1,926学部(前年比+67学部)

新しく設置された学部:リハビリテーション学部(星城大学)、人間健康学部(園田学園女子大学)、マネジメント学部(跡見学園女子大学)、現代生活学部(中国学園大学)、児童学部(鎌倉女子大学)、人間発達学部、栄養科学部(以上中村学園大学)、応用生命科学部(新潟薬科大学)、健康生活学部(活水女子大学)、神道文化学部(国学院大学)、21世紀アジア学部(国士舘大学)、ビジネス情報学部(上武大学)、メディア造形学部、管理栄養学部(以上名古屋学芸大学)、健康メディカル学部(帝京平成大学)、健康管理学部(長崎国際大学)、現代経営学部(東洋学園大学)、生命工学部(福山大学)、服飾学部(杉野服飾大学)、環境造園学部(南九州大学)

なくなった学部:文家政学部(和洋女子大学)

増加ペースはほぼ前年と同じです。経営学部はこの年も増加しましたが、逆に商学部が減少し、順位を落としています。

この年も20学部が新たに設置されました。一方で文家政学部がなくなり人文学部と家政学部に分離されました。文学部ではなく人文学部になったところに時代性を感じます。学部名がなくなったのは1981年の衛生看護学部以来です。

この年に新設された学部では2017年現在でリハビリテーション学部が11学部に、人間健康学部が9学部に増加している。医療系は設置後増加している学部が目立ちます。

この年の新設・廃止で目立つのが女子大です。名前が挙がっているだけでも園田学園女子大学、跡見学園女子大学、鎌倉女子大学、中村学園大学、活水女子大学、和洋女子大学の6大学があり、全体の3分の1を占めています。また、名称として目立つのが健康です。健康を使った学部で4学部あります。

この年新たに使用された名称は「リハビリテーション」「児童」「神道」「21世紀」「メディカル」「服飾」「造園」の7つです。この年には21世紀という時期を表す言葉が現れました。

「メディカル」という名称については「医療」ではだめなのか疑問があります。服飾はドレスメーカー学院系の杉野服飾大学に設置されましたが、文化服装学院系の文化学園大学が服装学部を設置しており、服飾系の大学内の差別化が感じられます。

学部名 学部数 前年比
総計 1,926 +67
経済学部 167 ±0
文学部 153 ±0
工学部 149 -1
法学部 126 +1
医学部 78 ±0
経営学部 76 +3
教育学部 63 +1
人文学部 55 +1
理学部 51 ±0
商学部 50 -2

2003年度

学部数1,975学部(前年比+49学部)

新しく設置された学部:キャリアデザイン学部(法政大学【夜間主コースあり】)、福祉経営学部(日本福祉大学【夜間主コースあり】)、健康栄養学部(南九州大学)、こども学部(東大阪大学)、現代ビジネス学部(安田女子大学)、スポーツ学部(びわこ成蹊スポーツ大学)、医療健康科学部(駒澤大学)、現代マネジメント学部(椙山女学園大学)、総合リハビリテーション学部(大阪府立大学【大阪府立看護大学】)、総合人間科学部(尚絅学院大学)、コンピュータサイエンス学部、バイオニクス学部(以上東京工科大学)、バイオサイエンス学部(長浜バイオ大学)、現代経営情報学部(大阪成蹊大学)、心身科学部(愛知学院大学)、人間看護学部(滋賀県立大学)、知的財産学部(大阪工業大学)、福祉学部(福島学院大学)、福祉情報学部(徳山大学)、図書館情報専門学群(筑波大学)

なくなった学部:農獣医学部(日本大学)

とうとう経営学部が医学部を抜いて5位まで上がってきました。また、人文学部が増えている一方で文学部は減少し始めました。

この年度も20学部が新たに設置されました。目立つのは経済経営系の言葉に「現代」をつける学部です(現代ビジネス学部、現代マネジメント学部、現代経営情報学部)。今後この名称が増えるかどうかわかりませんが、この場合に現代という名称を使用する意義がしっかり説明できているかが重要になります。

この年に新設された学部では2017年現在健康栄養学部が12学部に、こども学部(子ども学部含む)が11学部に、現代ビジネス学部が7学部に増加しています。

この年に新たに登場した名称は、「キャリア」「こども」「サイエンス」「バイオ」「バイオニクス」「心身」「知的財産」の7つである。このうちバイオニクスに関してはバイオとエレクトロニクスなどの「ニクス」との造語なのでバイオと別に1つとカウントしました。サイエンスについても前年のメディカルと同様に「科学」ではだめなのだろうかという疑問が残ります。

学部名 学部数 前年比
総計 1,975 +49
経済学部 168 +1
工学部 151 +2
文学部 149 -4
法学部 124 -2
経営学部 80 +4
医学部 79 +1
教育学部 63 ±0
人文学部 56 +1
理学部 51 ±0
商学部 50 ±0

2004年度

学部数2,062学部(前年比+87学部)

新しく設置された学部:ビジネス学部(八戸学院大学、愛知淑徳大学)、医療保健学部(藍野大学)、経済経営学部(和光大学)、情報理工学部(立命館大学)、発達教育学部(京都女子大学)、ヒューマンケア学部(帝京平成大学)、危機管理学部(千葉科学大学)、教育福祉学部(大阪大谷大学)、現代人間学部、文化表現学部(以上梅花女子大学)、保健看護学部(和歌山県立医科大学)、情報フロンティア学部、環境・建築学部(以上金沢工業大学)、心理福祉学部(帝塚山大学)、保育学部(桜花学園大学?→2002年に新設されている)、異文化コミュニケーション学部(松蔭大学)、医療看護学部(順天堂大学)、医療工学部(東亜大学)、医療福祉工学部(大阪電気通信大学)、海事科学部(神戸大学)、海洋科学部、海洋工学部(以上東京海洋大学)、現代国際学部(名古屋外国語大学)、言語コミュニケーション学部(東京国際大学)、国際・英語学部(大阪女学院大学)、産業情報学部(沖縄国際大学)、産業理工学部(近畿大学)、情報コミュニケーション学部(明治大学)、福祉環境学部(東日本国際大学)、福祉健康学部(福山平成大学)、福祉総合学部(城西国際大学)、未来創造学部(北陸大学)、ソーシャルワーク学部、創造芸術学部(以上創造学園大学)、音楽・文化学部(上野学園大学)、会計ファイナンス学部(名古屋商科大学)、政策マネジメント学部(吉備国際大学)、総合キャリア学部(LEC東京リーガルマインド大学)

なくなった学部:図書館情報学部(図書館情報大学)

この年は初めて学部数が2,000を超えた年となりました。トップ10を見ると、しばらく数が変わっていなかった薬学部が一気に7学部増加しました。ここから数年は薬学部の新設ラッシュが続きます。

この年から届出で学部新設できる制度が始まり、その影響から38学部が一気に新設されました。その中で新たに使用された名称は「ヒューマン」「ケア」「危機」「フロンティア」「保育」「異文化」「海事」「未来」「ソーシャルワーク」「会計」「ファイナンス」であり、新しくできた学部の数と比較しても非常に少ないです。

このうち保育学部については学校基本調査上は2004年からだが、桜花学園大学の沿革によると2002年設置となっており、統計の計上ミスであると考えられます。これを除いても、名称が類似性のあるもの(異文化、会計、ファイナンス等)や日本語表現可能なもの(ヒューマン、ケア、フロンティア等)が多く含まれており、実質的に新しい分野といえるものは少ないです。

この年に新設された学部では2017年現在、医療保健学部が8学部に、情報理工学部が6学部に、経済経営学部が6学部に、発達教育学部が5学部に増加しています。

学部名 学部数 前年比
総計 2,062 +87
経済学部 169 +1
工学部 151 ±0
文学部 148 -1
法学部 123 -1
経営学部 82 +2
医学部 78 -1
教育学部 62 -1
人文学部 57 +1
薬学部 54 +7
理学部 50 -1
商学部 50 ±0

2000年代前半の特徴

2000年代前半の学部の特徴は以下の通りです。

1.学部の数が爆発的に増えて2,000を超えた
2.類似性のある名称が増えた
3.経営学部・薬学部が増加した

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