大学の学部はどう変遷したのか(1990年代後半)

今回も学校基本調査の数値から大学の学部はどう変遷したのかを見ていきます。今回は1990年代後半(1995年度~1999年度)です。

1995年度

学部数1,515学部(前年比+50学部)

新しく設置された学部:健康科学部(東海大学、至学館大学)、人間文化学部、環境科学部(以上滋賀県立大学)、人間環境学部(福岡女子大学)、現代社会学部(愛知淑徳大学)、保健科学部(吉備国際大学)、コミュニケーション学部(東京経済大学)、環境理工学部(岡山大学)、流通科学部(大阪学院大学)、産業科学技術学部(倉敷芸術科学大学)、都市情報学部(名城大学)、情報社会科学部(日本福祉大学)

なくなった学部:なし

まず、学部数がこの年に初めて1,500を超えました。

トップ10の学部を見ると、経営学部がとうとう商学部を追い越しました。また、国際文化学部、生活科学部、看護学部が10学部を超えてきています。逆に家政学部は4学部も減少しました。既存学部の転換も進み始めた時期となっています。

この年に設置された学部では2017年現在で保健科学部が8学部に、人間文化学部が9学部に、現代社会学部は15学部に、健康科学部は20学部に増加しています。

この年は「コミュニケーション」という名称が初めて使用されました。この名称は様々な名称と組み合わせて使用される言葉となります。コミュニケーション学部は2017年現在で3学部しかないが、国際コミュニケーション学部は9学部、グローバル・コミュニケーション学部は6学部と国際系の言葉との親和性があるようです。

なお流通科学部は1994年に設置されていますが、学校基本調査への計上は1995年からとなっています。

この年に新しく使用された言葉は「コミュニケーション」「流通」「都市」です。

学部名 学部数 前年比
総計 1,515 +50
経済学部 160 +3
文学部 151 ±0
工学部 144 +4
法学部 119 +3
医学部 79 ±0
教育学部 62 ±0
経営学部 55 +3
商学部 53 ±0
理学部 50 +1
薬学部 45 ±0

1996年度

学部数1,546学部(前年比+31学部)

新しく設置された学部:生物資源科学部(島根大学、日本大学)、国際コミュニケーション学部(淑徳大学)、地域政策学部(高崎経済大学)、国際言語学部(関西外国語大学)、産業保健学部(産業医科大学)、総合理工学部(島根大学)、流通学部(阪南大学)、流通情報学部(流通経済大学)、人文社会学部(名古屋市立大学)

なくなった学部:なし

前年より勢いは落ちましが、それでも9学部が新たに設置されました。前年に設置されたコミュニケーションという名称を冠した学部で、その後大きく伸びる国際コミュニケーション学部はこの年に設置されました。また、流通に関わる学部も2つ設置されています。

それ以外には「地域」という名称が高崎経済大学で初めて使用されました。高崎経済大学は公立大学であり、地域と親和性が高い大学です。「地域」という名称もこの後拡大していきます。

また、人文社会学部が名古屋市立大学に設置され、統計上新しい学部となっています。しかし、既に存在していた人文社会科学部、人文・社会学部などの微妙な差異の学部が出てきたことで、その後統計上はそれらを一括して計上するようになります。

この年に設置された学部で現在大きく伸びている学部は国際コミュニケーション学部以外にはありません。

先ほども書きましたが、この年に新しく使用された言葉は「地域」です。

学部名 学部数 前年比
総計 1,546 +31
経済学部 161 +1
文学部 151 ±0
工学部 143 -1
法学部 122 +3
医学部 78 -1
教育学部 62 ±0
経営学部 56 +1
商学部 53 ±0
理学部 50 ±0
薬学部 45 ±0

1997年度

学部数1,586学部(前年比+40学部)

新しく設置された学部:人間福祉学部(北翔大学、中部学院大学)、文化教育学部(佐賀大学)、文化学部(札幌大学)、国際地域学部(東洋大学)、国際交流学部(フェリス女学院大学)、食文化学部(くらしき作陽大学)、経済科学部(広島修道大学)、現代中国学部(愛知大学)、事業構想学部(宮城大学)、地域科学部(岐阜大学)、福祉社会学部(京都府立大学)、経営政策学部(桜美林大学)、法政策学部(帝塚山大学)

なくなった学部:なし

この年には同数10位ではありますが、人文学部がトップ10入りしました。文学部は増加しておらず、この分野は人文学部の勢いが強いことがわかります。

この年は過去最大の13学部が新設されました。ただし新しく使用された名称は「交流」「中国」「事業構想」くらいであり、既存の名称の組み合わせで学部が作られています。その際には文化や政策などが使用されています。また、〇〇科学部も2つあります。

なお、文化教育学部は佐賀大学のみにしか見当たらないですが、2学部計上されています。ちなみにこの学部も教養部の廃止に伴い、教育学部と合併してできた学部です。

この年に設置された学部では2017年現在で人間福祉学部が6学部に増加しているが、それ以外の学部は伸びていません。

この年に新しく使用された言葉は「交流」「中国」「事業」「構想」です。

学部名 学部数 前年比
総計 1,586 +40
経済学部 161 ±0
文学部 153 +2
工学部 146 +3
法学部 122 ±0
医学部 78 ±0
教育学部 62 ±0
経営学部 58 +2
商学部 53 ±0
理学部 50 ±0
薬学部 45 ±0
人文学部 45 +1

1998年度

学部数1,642学部(前年比+56学部)

新しく設置された学部:教育人間科学部(横浜国立大学、新潟大学、山梨大学)、教育文化学部、工学資源学部(以上秋田大学)、観光学部、コミュニティ福祉学部(以上立教大学)、応用生物科学部、国際食料情報学部、地域環境科学部(以上東京農業大学)、スポーツ科学部(福岡大学)、ソフトウェア情報学部(岩手県立大学)、国際情報学部(静岡産業大学)、コミュニティ政策学部(愛知学泉大学)、環境システム学部(酪農学園大学)、環境人間学部(姫路工業大学)、経営法学部(青森中央学院大学)、国際文化交流学部(学習院女子大学)、地球環境科学部(立正大学)、農学生命科学部(弘前大学)、光科学部(千歳科学技術大学)、国際協力学部(秀明大学)、情報社会政策学部(愛知学院大学)

なくなった学部:なし

この年も過去最大の21学部増加しました(2年連続過去最大です)。この年で特徴的なことは教育学部の改組です。前年の文化教育学部と同様に教育人間科学部、教育文化学部の2学部が設置されました。また、同一大学内での学部改組で複数学部が誕生していることが挙げられます。この年は秋田大学、立教大学、東京農業大学の3大学で複数学部が設置されています。

この年の学部で新たに使用された名称として、「観光」「コミュニティ」「ソフトウェア」「地球」「光」「協力」が挙げられます。この中で観光についてはその後拡大傾向にあります。海外からの観光客の増加に伴い、今後拡大する可能性もあります。

観光学部は2017年現在7学部に増加しています。それ以外ではスポーツ科学部が6学部に増加しているが、それ以外の学部は伸びていません。

学部名 学部数 前年比
総計 1,642 +56
経済学部 159 -2
文学部 149 -4
工学部 149 +3
法学部 121 -1
医学部 78 ±0
教育学部 63 +1
経営学部 59 +1
商学部 53 ±0
理学部 50 ±0
人文学部 48 +3

1999年度

学部数1,699学部(前年比+57学部)

新しく設置された学部:教育地域科学部(福井大学、鳥取大学)、教育福祉科学部(大分大学)、看護栄養学部(長崎シーボルト大学【現長崎県立大学】)、国際社会学部(共愛大学前橋国際大学)、メディア学部(東京工科大学)、科学技術学部(東北文化学園大学)、人文科学部(帝塚山大学)、保健医療福祉学部(埼玉県立大学)、現代コミュニケーション学部(梅光学院大学)、サービス経営学部(西武文理大学)、システム科学技術学部(秋田県立大学)、環境共生学部(熊本県立大学)、造形表現学部(多摩美術大学)、都市経済学部(宇都宮共和大学)

なくなった学部:なし

学部の拡大傾向は続いていますが、トップ10では文系学部の拡大が目立ちます。その結果人文学部の数が理学部を上回りました。

この年は14学部が増加しました。前年より伸びは鈍化しましたが、非常に多い水準を保っていると言えます。この年も教育学部の改編も進んでおり(福井大学、鳥取大学、大分大学)、公立大学による新名称の学部設置も進んでいます(長崎シーボルト大学、埼玉県立大学、秋田県立大学、熊本県立大学)。

それ以外に地方大学での新設が目立つ年となりました。これらの中で1都3県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県にある大学は東京工科大学、埼玉県立大学、多摩美術大学しかありません。多摩美術大学の造形表現学部は夜間学部のみという珍しい形態で設置されました。

この年に設置された学部では2017年現在で看護栄養学部が5学部に増えていますが、それ以外の学部は伸びていません。

この年に初めて使用された言葉は、「メディア」「サービス」「共生」です。

学部名 学部数 前年比
総計 1,699 +57
経済学部 161 +2
文学部 151 +2
工学部 148 -1
法学部 123 +2
医学部 78 ±0
教育学部 63 ±0
経営学部 60 +1
商学部 52 -1
人文学部 52 +4
理学部 51 +1

1990年代後半の学部の特徴

1990年代後半の学部の特徴は以下の通りです。

1.新名称の学部が大幅に増加した
2.国立大学の教育学部が改組されて新しい名称になった
3.文学部に代わり人文学部が増加した

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です