国立大学の入学者選抜要項から各大学がどういったところに定員を割り振っているのかを見てみたいと思います。一般入試定員の比率がどれくらいなのかを基準にしてみます。
2020年度入試のデータをもとに分析しています。またいくつかの試験方式がありますが、定員が若干名となっている試験種はないものとしています。
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一般入試比率はどうなっているのか?
以下は国立大学82大学の一般入試の比率ごとの大学数です。
比率 | 大学数 | 比率 |
90%以上 | 9 | 11.0% |
80%以上 | 31 | 37.8% |
70%以上 | 28 | 34.1% |
60%以上 | 11 | 13.4% |
50%以上 | 2 | 2.4% |
49%以下 | 1 | 1.2% |
合計 | 82 | 100.0% |
これを見るとほとんどの大学が70%以上を一般入試の定員としていることがわかります。最も多いのは80%台となっています。つまり国立大学はほぼ一般入試で入学していると言えます。
大学別の一般入試比率
ここからは各大学の一般入試比率を見ていきいます。
一般入試比率90%以上の大学
大学名 | 一般比率 | 前期日程 | 後期日程 |
東京藝術大学 | 100.0% | 100.0% | 0.0% |
北海道大学 | 97.2% | 77.4% | 19.9% |
東京大学 | 96.7% | 96.7% | 0.0% |
一橋大学 | 94.8% | 88.5% | 6.3% |
京都大学 | 94.6% | 94.4% | 0.2% |
九州大学 | 91.4% | 80.6% | 10.8% |
神戸大学 | 91.3% | 75.6% | 15.7% |
金沢大学 | 91.0% | 74.2% | 16.8% |
東京工業大学 | 91.0% | 87.5% | 3.4% |
国立大学で最も一般入試比率が高いのは、東京藝術大学で全定員が一般入試に割り振られています。それ以外にも旧帝大の中で北海道大学、東京大学、京都大学、九州大学が入っていたり、一橋大学と東京工業大学が入っていたりと有力大学が一般入試に90%以上の定員を割いていることがわかります。
旧帝大の入試状況についてはこちらを参照してください。
その中でも少し特徴があり、北海道大学、神戸大学、金沢大学については後期日程により多くの定員を割いています。
一般入試比率80%以上の大学
大学名 | 一般比率 | 前期日程 | 後期日程 |
千葉大学 | 89.9% | 75.4% | 14.5% |
東京外国語大学 | 89.6% | 81.2% | 8.4% |
埼玉大学 | 89.2% | 61.1% | 28.1% |
東京農工大学 | 89.2% | 59.3% | 29.8% |
大阪大学 | 88.9% | 88.9% | 0.0% |
東京学芸大学 | 87.5% | 71.4% | 16.1% |
奈良女子大学 | 87.4% | 63.4% | 24.0% |
名古屋工業大学 | 86.9% | 53.8% | 33.1% |
京都工芸繊維大学 | 86.3% | 59.0% | 27.3% |
広島大学 | 86.3% | 74.9% | 11.4% |
電気通信大学 | 86.1% | 51.4% | 34.7% |
東京海洋大学 | 86.0% | 59.5% | 26.4% |
信州大学 | 85.2% | 64.8% | 20.4% |
茨城大学 | 85.0% | 57.9% | 27.1% |
奈良教育大学 | 84.3% | 61.2% | 23.1% |
三重大学 | 84.2% | 61.9% | 22.2% |
和歌山大学 | 84.0% | 56.7% | 27.3% |
お茶の水女子大学 | 83.8% | 72.6% | 11.3% |
福井大学 | 83.3% | 53.7% | 29.6% |
東京医科歯科大学 | 83.3% | 74.2% | 9.1% |
鳴門教育大学 | 83.0% | 66.0% | 17.0% |
名古屋大学 | 82.5% | 82.3% | 0.2% |
横浜国立大学 | 82.2% | 51.7% | 30.4% |
愛知教育大学 | 81.7% | 67.3% | 14.5% |
宮城教育大学 | 81.4% | 65.2% | 16.2% |
山梨大学 | 81.4% | 57.6% | 23.7% |
鹿児島大学 | 81.0% | 67.1% | 13.9% |
岐阜大学 | 80.8% | 52.9% | 27.9% |
富山大学 | 80.7% | 62.9% | 17.9% |
宮崎大学 | 80.7% | 58.9% | 21.7% |
鳥取大学 | 80.5% | 62.2% | 18.3% |
一般入試比率が80%以上の大学は非常に多くなっています。
これらの大学には主に2つの層があることがわかります。
1つ目は大阪大学や名古屋大学のような旧帝大やブランドのある大学であり、それらは主に前期日程に定員が割り振られており、残りはAO入試や推薦入試などの定員となっています。
2つ目は一般入試の比率が高くてもどちらかといえば後期日程に定員が割り振られている大学です。これらの大学は前期試験で不合格となった受験生の中から優秀な層を集めたいという意図が表れています。埼玉大学、電気通信大学、名古屋工業大学、横浜国立大学などがその中でも後期日程の定員比率が高いですが、都市圏で有名な大学が近隣にある(例えば名古屋工業大学なら名古屋大学)場合に顕著になっているようです。
一般入試比率70%以上の大学
大学名 | 一般比率 | 前期日程 | 後期日程 |
琉球大学 | 79.9% | 64.4% | 15.6% |
大阪教育大学 | 79.4% | 59.3% | 20.1% |
熊本大学 | 79.4% | 71.3% | 8.1% |
山口大学 | 78.6% | 61.8% | 16.7% |
宇都宮大学 | 78.2% | 69.1% | 9.1% |
帯広畜産大学 | 78.0% | 64.0% | 14.0% |
静岡大学 | 77.4% | 52.5% | 24.9% |
長崎大学 | 77.3% | 62.8% | 14.6% |
北海道教育大学 | 77.3% | 53.8% | 23.5% |
岩手大学 | 77.3% | 61.7% | 15.6% |
大分大学 | 77.0% | 58.8% | 18.2% |
小樽商科大学 | 76.7% | 59.2% | 17.5% |
滋賀大学 | 76.5% | 45.6% | 30.9% |
岡山大学 | 76.3% | 65.1% | 11.2% |
九州工業大学 | 75.6% | 49.8% | 25.7% |
島根大学 | 75.5% | 58.7% | 16.9% |
福岡教育大学 | 75.4% | 62.1% | 13.3% |
新潟大学 | 75.0% | 59.9% | 15.1% |
浜松医科大学 | 75.0% | 66.3% | 8.8% |
愛媛大学 | 74.9% | 61.6% | 13.3% |
北見工業大学 | 74.9% | 40.0% | 34.9% |
弘前大学 | 74.5% | 60.6% | 13.9% |
東北大学 | 74.3% | 70.2% | 4.1% |
佐賀大学 | 73.0% | 53.6% | 19.4% |
福島大学 | 72.3% | 55.4% | 16.8% |
山形大学 | 72.0% | 60.6% | 11.4% |
滋賀医科大学 | 71.0% | 71.0% | 0.0% |
徳島大学 | 70.2% | 56.1% | 14.1% |
このゾーンに入っている大学のリストを見ると地方の大学が多いことがわかります。
前期日程と後期日程の割り振りもこの層の大学はバラバラであり、地域性や設置している学部などの状況が多岐に渡ることを示しています。
旧帝大の中で東北大学だけはこのゾーンに入っています。東北大学は旧帝大の中でもAO入試に力を入れている大学であり、その部分に定員が割り振られていることから一般入試の比率が下がっています。
一般入試比率70%未満の大学
大学名 | 一般比率 | 前期日程 | 後期日程 |
筑波大学 | 69.6% | 61.2% | 8.4% |
群馬大学 | 69.5% | 58.1% | 11.5% |
上越教育大学 | 68.8% | 48.1% | 20.6% |
兵庫教育大学 | 68.8% | 50.0% | 18.8% |
香川大学 | 68.5% | 54.7% | 13.8% |
秋田大学 | 68.5% | 53.5% | 15.0% |
高知大学 | 65.8% | 58.2% | 7.5% |
京都教育大学 | 65.7% | 57.3% | 8.3% |
旭川医科大学 | 63.2% | 51.6% | 11.6% |
長岡技術科学大学 | 62.5% | 62.5% | 0.0% |
室蘭工業大学 | 60.5% | 40.9% | 19.6% |
豊橋技術科学大学 | 56.3% | 56.3% | 0.0% |
鹿屋体育大学 | 50.0% | 50.0% | 0.0% |
筑波技術大学 | 42.2% | 42.2% | 0.0% |
このゾーンに入っているのは地方大学ももちろん入っていますが、専門学科を有する大学(教育大学、医科大学、技術科学大学等)が多く入っていることがわかります。
長岡と豊橋に設置されている技術科学大学は主に高専(高等専門学校)からの編入学のために設置されている大学であり、1年時の入学定員は80人しかありません。また、筑波技術大学は視覚障碍者や聴覚障碍者を対象とした大学です。
こういった特別な要因がある場合には推薦入試などに入学定員が割かれています。
また目立つ大学として筑波大学が入っていますが、これは東北大学と同じ理由です。