今回は大学改革支援・学位授与機構の「学校基本情報」をもとに、北海道の国公立大学にはどの地域から入学者がいるのかを個別にみていきたいと思います。
ちなみに2021年度現在北海道にある国公立大学は以下の通りです。
国立大学
・北海道大学
・北海道教育大学
・小樽商科大学
・旭川医科大学
・室蘭工業大学
・北見工業大学
・帯広畜産大学
公立大学
・札幌医科大学
・札幌市立大学
・公立はこだて未来大学
・公立千歳科学技術大学
・名寄市立大学
・釧路公立大学
このうち北海道大学は旧帝大のところで扱っているので、それ以外の大学を見てみたいと思います。
Contents
地域別出身地
国立大学
地域 | 小樽商大 | 道教大 | 旭川医大 |
北海道 | 94.7% | 72.7% | 71.6% |
東北 | 2.7% | 17.3% | 0.6% |
北関東 | 0.0% | 1.8% | 3.2% |
首都圏 | 0.9% | 1.6% | 9.7% |
甲信越 | 0.2% | 2.0% | 0.0% |
東海 | 0.4% | 1.5% | 6.5% |
近畿 | 0.2% | 1.3% | 4.5% |
中国 | 0.2% | 0.4% | 0.6% |
四国 | 0.0% | 0.3% | 0.6% |
九州 | 0.2% | 0.4% | 1.3% |
沖縄 | 0.0% | 0.3% | 0.0% |
地域 | 室蘭工大 | 北見工大 | 帯広畜大 |
北海道 | 67.5% | 37.5% | 30.4% |
東北 | 11.9% | 15.6% | 6.4% |
北関東 | 2.3% | 5.1% | 3.2% |
首都圏 | 2.4% | 4.9% | 20.0% |
甲信越 | 1.8% | 3.9% | 4.4% |
東海 | 6.8% | 14.8% | 10.4% |
近畿 | 2.1% | 5.4% | 12.4% |
中国 | 1.3% | 4.1% | 5.2% |
四国 | 0.5% | 2.4% | 4.4% |
九州 | 0.6% | 3.9% | 2.0% |
沖縄 | 0.2% | 0.2% | 1.2% |
まずは国立大学を見てみます。北海道比率の高い順に並んでいますが、スペースの関係で複数の表に分けています。一段目の左から右、次に二段目という順で並んでいます。
最も北海道比率が高いのが小樽商科大学で95%弱が北海道内からの進学ということになっています。逆に最も北海道比率が低いのが帯広畜産大学で30%前後しかいません。
要因はいくつか考えられます。一つは分野です。理系の分野は国立大学の学費が相対的に安いため、一人暮らしをしてでも国立大学に進学したほうが有利です。
次に立地です。札幌にあれば比較的人口も多く、北海道内からの進学者がいると思いますが、それ以外の地域にある場合には、北海道内でも他の地域からの進学でもあまり変わりないため、結果的に他の地域からの進学が増えることになります。また、北海道教育大学については函館にあるので東北地域からの入学が多くなっています。
最後にこれは個別大学の話になりますが、北見工業大学は前期日程に関しては二次試験を課しません。共通テストの点数のみで合否が出るので、他の地域から受験しやすくなっています。また後期については二次試験を課しますが、札幌・東京・大阪に学外試験会場を設置します。前期に学外会場を設ける大学は多いですが、後期に学外会場のある大学は珍しいので最後の砦として受験するのは不思議ではありません。(余談ですが北見工大は後期日程の定員が多いです)
公立大学
地域 | 千歳科技 | 札幌医大 | 札幌市大 |
北海道 | 92.6% | 90.5% | 83.5% |
東北 | 3.3% | 0.5% | 7.1% |
北関東 | 0.0% | 1.5% | 2.2% |
首都圏 | 0.4% | 2.5% | 0.0% |
甲信越 | 0.4% | 0.0% | 1.1% |
東海 | 0.4% | 1.5% | 3.3% |
近畿 | 1.5% | 1.5% | 1.1% |
中国 | 0.4% | 0.5% | 1.6% |
四国 | 0.4% | 0.0% | 0.0% |
九州 | 0.0% | 0.5% | 0.0% |
沖縄 | 0.4% | 0.5% | 0.0% |
地域 | 名寄市大 | 釧路公立 | はこだて |
北海道 | 75.0% | 66.8% | 53.6% |
東北 | 15.8% | 19.0% | 18.1% |
北関東 | 1.5% | 3.9% | 3.6% |
首都圏 | 1.5% | 2.1% | 4.4% |
甲信越 | 2.0% | 2.7% | 1.6% |
東海 | 2.0% | 2.4% | 6.0% |
近畿 | 0.0% | 0.6% | 6.5% |
中国 | 1.5% | 0.6% | 1.6% |
四国 | 0.0% | 0.3% | 0.0% |
九州 | 0.5% | 0.9% | 2.4% |
沖縄 | 0.0% | 0.3% | 0.4% |
次に公立大学を見ていきます。公立大学になるとむしろ理系のほうが北海道比率が高くなっています。
これも理由があり、公立大学は「他地域からの入学者の学費は高い」設定がなされることが多いです。そのため理系の価格優位性が低くなります。結果的に立地の影響が大きく出て、札幌近郊の大学は北海道比率が高く、他の地域の大学は低くなるという結果になっています。
さらに釧路公立大学については北見工業大学と同様に中期日程(公立大学にしかない独自日程)に地方会場を多く設けており、どうしても国公立大学に進学したい層の受け皿になっています。
学部別に違いはないか?
ここでは学部別に大きな違いがある大学を見ていきます。北海道の国公立大学は単科大学が多く、違いの出る大学は少ないので大きな違いが出ている大学だけ見ていきます。
旭川医科大学 | 北海道 |
医学部(4年) | 95.0% |
医学部(6年) | 56.8% |
まずは旭川医科大学です。旭川医科大学こそ単科大学じゃないかと思われるかもしれませんが、6年課程の医師を目指す学科と、4年課程の看護師を目指す学科に分かれます。
北海道比率を見てもらえばわかりますが、看護師を目指すのはほぼ北海道内に限られるのに対して、医師を目指すのは半分くらいしかいないことがわかります。
帯広畜産大学 | 北海道 |
畜産学部 | 33.8% |
畜産学部(6年) | 12.5% |
次に帯広畜産大学です。帯広畜産大学も獣医師を目指す6年制の課程とそれ以外の畜産系のことを学ぶ4年課程に分かれます。その中でも獣医師を目指す課程はほとんどが北海道外からの進学であることがわかります。
北海道教育大学 | 北海道 |
教育学部(教員養成) | 82.6% |
教育学部(教員養成以外) | 57.1% |
最後に北海道教育大学です。これも単科大学という位置づけですが、北海道教育大学は特殊な大学でキャンパスが札幌、旭川、釧路、岩見沢、函館の5つに分かれており、札幌、旭川、釧路の3つが教員養成課程、岩見沢と函館の2つが教員養成課程以外の課程(いわゆるゼロ免課程=教員免許が卒業要件にならない教養系の課程)ということになります。
ここでも教員になりたい人は地元の大学に進学するという要素がありますし、函館は東北地方からのアクセスが良いという2つの点から教員養成課程以外の課程の北海道比率が低くなっています。