九州・沖縄の国公立大学はどこから入学しているのか

今回は大学改革支援・学位授与機構の「学校基本情報」をもとに、九州・沖縄地方の国公立がどこから入学しているのかを見ていきたいと思います。

九州・沖縄地方の国公立大学は以下の通りです。

国立大学
・九州大学
・九州工業大学
・福岡教育大学
・佐賀大学
・長崎大学
・熊本大学
・大分大学
・宮崎大学
・鹿児島大学
・鹿屋体育大学
・琉球大学

公立大学
・北九州市立大学
・九州歯科大学
・福岡県立大学
・福岡女子大学
・長崎県立大学
・熊本県立大学
・大分県立看護科学大学
・宮崎公立大学
・宮崎県立看護大学
・沖縄県立看護大学
・沖縄県立芸術大学
・名桜大学

このうち九州大学については旧帝大についての記事で触れているのでそちらを参照してください。

Contents

各大学はどの地域から入学しているのか

国立大学

地域佐賀大熊本大鹿児島大
北海道0.1%0.0%0.7%
東北0.0%0.1%0.2%
北関東0.5%0.1%0.5%
首都圏0.5%0.8%2.6%
甲信越0.0%0.1%0.6%
東海0.8%0.6%3.3%
近畿1.4%1.2%4.7%
中国2.4%2.8%2.2%
四国0.5%0.8%1.4%
九州92.8%91.9%81.6%
沖縄0.5%1.6%1.0%
自県27.8%34.3%44.8%
地域大分大長崎大福教大
北海道0.5%0.5%0.2%
東北0.0%0.2%0.0%
北関東0.4%0.3%0.3%
首都圏1.8%2.9%0.6%
甲信越0.6%0.7%0.6%
東海1.3%2.1%1.8%
近畿3.3%5.4%1.4%
中国6.9%4.6%12.1%
四国3.8%0.8%3.0%
九州80.0%78.2%77.3%
沖縄1.0%2.8%2.6%
自県43.2%36.8%45.5%
地域宮崎大九工大鹿屋体育大
北海道0.9%0.7%1.1%
東北0.5%0.1%1.1%
北関東1.0%0.1%4.9%
首都圏4.5%0.6%4.4%
甲信越0.8%0.1%3.8%
東海5.2%1.6%10.4%
近畿6.7%6.0%11.0%
中国4.4%12.3%10.4%
四国1.3%5.7%5.5%
九州72.4%71.0%44.5%
沖縄1.1%1.6%2.7%
自県35.4%44.3%13.2%
地域琉球大
北海道1.3%
東北0.8%
北関東2.0%
首都圏5.3%
甲信越1.3%
東海4.1%
近畿4.3%
中国2.2%
四国1.2%
九州9.9%
沖縄65.9%
自県65.9%

上から九州比率が高い順に1段目左から右、2段目に行って左から右という順で並んでいます。ただし、琉球大学だけは沖縄比率を基準としたいので別段としています。

これを見てわかる通りどの大学も九州比率が高く、自県比率が低いです。つまり九州内で行き来をしていることを示しています。その中でも佐賀大学は最も九州比率が高くなっています。やはり福岡県に隣接しているというのが影響していると考えられます。大分県とも隣接していますが、直線距離では倍くらいの差があります。

逆に最も九州比率が低いのは鹿屋体育大学です。鹿屋体育大学は国立大学唯一の体育大学です(体育学群であれば筑波大学にもありますし、教育学部の保健体育教員の専攻などは多くの大学にあります)。そのため九州の一番端にありながらも各地域から志望者が集まっており、九州比率が唯一50%未満となっています。

公立大学

地域大分看護大宮崎看護大熊本県立大
北海道0.0%0.0%0.2%
東北0.0%0.0%0.2%
北関東0.0%0.0%0.0%
首都圏0.0%0.0%0.8%
甲信越0.0%0.0%0.4%
東海0.0%1.0%0.4%
近畿0.0%1.0%1.4%
中国1.2%1.0%2.0%
四国1.2%1.0%1.2%
九州96.3%96.1%93.1%
沖縄1.2%0.0%0.2%
自県67.9%63.1%69.7%
地域福岡女子大長崎県立大宮崎公立大
北海道1.2%0.4%1.0%
東北0.8%0.1%0.0%
北関東0.0%0.4%0.5%
首都圏0.0%0.4%1.4%
甲信越0.0%0.8%0.0%
東海0.4%3.1%2.4%
近畿2.5%3.9%3.3%
中国3.3%6.9%6.2%
四国1.6%2.3%1.9%
九州81.5%80.2%78.9%
沖縄0.8%0.9%4.3%
自県60.9%50.8%49.3%
地域福岡県立大北九州市大九州歯科大
北海道0.4%0.7%2.5%
東北0.4%0.2%0.8%
北関東0.4%0.2%2.5%
首都圏1.6%1.0%1.7%
甲信越0.8%0.8%4.2%
東海2.0%1.6%6.7%
近畿2.0%3.2%18.3%
中国10.5%15.4%15.0%
四国4.7%4.8%6.7%
九州77.3%67.1%40.8%
沖縄0.0%3.2%0.8%
自県46.9%43.3%27.5%
地域沖縄看護大沖縄芸大名桜大
北海道0.0%1.7%3.4%
東北0.0%0.9%2.2%
北関東0.0%3.4%4.3%
首都圏1.3%5.1%2.2%
甲信越1.3%3.4%1.5%
東海1.3%4.3%3.4%
近畿0.0%12.0%5.2%
中国1.3%1.7%5.8%
四国0.0%7.7%2.2%
九州3.8%6.8%24.1%
沖縄91.3%53.0%43.8%
自県91.3%53.0%43.8%

ここでも多い順に1段目左から右、2段目左から右となっており、沖縄県だけ別段です。

沖縄県は地理的な条件もあって3つの公立大学を設置していますが、九州の各県は県によって設置状況が異なります。複数設置しているのは福岡県と宮崎県のみで、宮崎県は単科大学2つとなっています。長崎県と熊本県は複数学部を設置する大学を1つ、大分県は単科大学を1つ設置しており、佐賀県と鹿児島県には公立大学はありません。全国で公立大学がない県は栃木県、徳島県、佐賀県、鹿児島県となっており、4県のうち3つが西日本に、そのうち2つが九州にあります。

九州の公立大学は総じて九州比率が高いです。そんな中例外となっているのが九州歯科大学です。やはり歯学部は学費の問題から公立大学には他の地域からの入学者が集まっているといえるでしょう。

沖縄県に目を移すと、沖縄比率が各大学によって異なることがわかります。ここで注目するのは名桜大学です。名桜大学は私立大学が公立化した大学ですが、国内留学制度など面白い取り組みをしていることで知られています。ただし、九州比率もかなり高くなっており、地理的には近いところから入学しているといえるでしょう。

学部別にはどうなっているのか?

かなり大学数は多いですが、単科大学以外見ていきたいと思います。

国立大学

九州工業大学

九州工業大学九州自県
情報工学部76.6%46.8%
工学部66.5%42.4%

九州工業大学は2学部しかない大学です。やや工学部で九州比率が低くなっていますが、大きな違いはないといえるでしょう。

佐賀大学

佐賀大学九州自県
医学部(4年)100.0%40.0%
理工学部94.4%23.2%
芸術地域デザイン学部93.0%21.1%
農学部92.9%27.6%
教育学部(教員養成)91.9%54.0%
経済学部91.6%24.8%
医学部(6年)84.5%26.2%

佐賀大学はほとんどすべての学部が九州比率90%以上です。他の地域から入学が多い医学部さえ84.5%となっています。しかも自県比率は低いという形になっており、和歌山大学や島根大学と似ているといえるでしょう。

長崎大学

長崎大学九州自県
教育学部(教員養成)95.0%67.8%
経済学部89.1%33.6%
医学部(4年)84.0%45.3%
工学部83.8%35.4%
薬学部(6年)82.5%25.0%
環境科学部79.2%46.9%
医学部(6年)76.7%42.5%
情報データ科学部76.6%34.2%
経済学部(夜間)70.0%20.0%
薬学部(4年)70.0%30.0%
多文化社会学部65.4%15.9%
歯学部(6年)48.0%26.0%
水産学部38.3%16.5%

長崎大学は学部数がかなり多いです。その中でも歯学部や水産学部など希少性の高い(他にない)学部は九州以外からの入学者が多くなっているようです。

熊本大学

熊本大学九州自県
法学部95.8%30.2%
文学部95.1%27.6%
医学部(4年)94.5%36.6%
教育学部(教員養成)92.1%44.6%
理学部92.1%27.7%
工学部91.1%33.6%
薬学部(6年)85.2%31.5%
医学部(6年)84.5%46.4%
薬学部(4年)82.9%28.6%

熊本大学は長崎大学と同じように学部数は多いですが、学部を見ると比較的他にも設置されている学部が多く、その分九州比率が長崎大学よりも高くなっています。

大分大学

大分大学九州自県
理工学部83.9%40.8%
医学部(4年)81.3%43.8%
教育学部80.7%56.3%
経済学部78.7%45.0%
医学部(6年)74.0%51.0%
福祉健康科学部73.1%22.1%

大分大学はもちろん九州比率は高いですが、佐賀大学と比較すると10%以上低いです。その分は中国地方から入学しています。交通の便としてはあまり良いとは言えないと思いますが。

宮崎大学

宮崎大学九州自県
医学部(4年)91.9%64.5%
教育学部(教員養成)89.9%47.3%
地域資源創成学部83.2%63.2%
工学部82.5%35.0%
農学部57.9%19.9%
医学部(6年)45.0%28.4%
農学部(6年)28.1%6.3%

宮崎大学は農学部に6年制の獣医の課程があり、そこが九州比率が低くなっています。それ以外の特徴として、九州地方が圧倒的に多いですが、その次が、関東地方・東海地方・近畿地方となっており、九州内の交通網よりも飛行機を利用した方が便が良いことの裏返しになっていると考えられます。

鹿児島大学

鹿児島大学九州自県
教育学部(教員養成)93.7%68.1%
法文学部90.1%49.8%
医学部(4年)89.2%59.2%
医学部(6年)84.5%57.3%
工学部84.5%41.0%
農学部82.3%42.3%
理学部78.2%36.8%
共同獣医学部54.8%12.9%
歯学部(6年)49.1%32.1%
水産学部45.5%16.6%

鹿児島大学にも共同獣医学部、歯学部、水産学部と希少性の高い学部がありますが、先ほどの宮崎大学の事例と比較しても九州比率は高いです。やはり、九州新幹線を含めた交通の便の問題が出ているのでしょう。

琉球大学

琉球大学九州自県
国際地域創造学部(夜間)3.7%84.1%
国際地域創造学部4.2%81.5%
人文社会学部2.0%80.4%
医学部(4年)6.7%78.3%
教育学部(教員養成)16.4%61.4%
工学部20.0%59.1%
医学部(6年)6.3%55.4%
理学部6.7%54.3%
農学部13.0%47.3%

琉球大学は沖縄比率で見てみますが、理系学部においてはそれでも半分くらいは沖縄以外から入学しています。特に農学部については沖縄の気候を反映した学科構成になっていることから、そういうことを学びたい学生が集まってきている可能性もあります。

公立大学

九州歯科大学

九州歯科大学九州自県
歯学部(4年)56.0%28.0%
歯学部(6年)36.8%27.4%

九州歯科大学は上に見た通り公立の歯科大学が少ないことから6年制の歯科医師の課程の九州比率が低くなっています。

福岡県立大学

福岡県立大学九州自県
看護学部90.5%61.1%
人間社会学部69.6%38.5%

福岡県立大学は学部によって違いがあります。看護学部はさすがに医療系だけあって90%以上の九州比率となっていますが、文系学部に当たる人文社会学部は70%を切っています。

北九州市立大学

北九州市立大学九州自県
国際環境工学部74.5%59.0%
文学部71.6%45.0%
地域創生学群68.8%28.8%
経済学部66.2%44.4%
法学部65.9%43.4%
外国語学部58.0%32.4%

北九州市立大学は西日本の私立大学の中でも学部数が多い大学ですが、全体的に九州比率はそれなりに高いです。その中でも文系学部の九州比率が低くなっています。これは大都市の国公立大学にみられる傾向と似ています。

長崎県立大学

長崎県立大学九州自県
看護栄養学部85.6%70.2%
国際社会学部85.2%63.9%
情報システム学部80.3%49.6%
地域創造学部80.2%47.9%
経営学部75.9%41.4%

長崎県立大学はどちらかというと文系学部のみを設置している大学です(情報システム学部がありますが、工学部などよりも理系色は弱いです)。その中で最も九州比率が高いのは看護栄養学部となっています。

熊本県立大学

熊本県立大学九州自県
総合管理学部94.9%79.5%
環境共生学部93.0%60.9%
文学部87.8%51.0%

熊本県立大学も長崎県立大学同様文系色の強い大学です。こちらはほぼ90%以上が九州出身者で占められています。

沖縄県立芸術大学

沖縄県立芸術大学九州自県
音楽学部6.7%66.7%
美術工芸学部12.0%46.7%

沖縄県立芸術大学は音楽系と美術系に分かれますが、音楽系は3分の2が沖縄県出身です。音楽学部は3専攻のうち2専攻が沖縄の音楽などを前面に打ち出しており、その分沖縄比率が高くなっていると考えられます。

名桜大学

名桜大学九州自県
人間健康学部27.1%44.2%
国際学群22.3%43.5%

名桜大学は2学部ですが、学部間の違いはあまりありません。両学部とも比較的九州地方からの入学もあります。

名桜大学は2023年度から学部拡張(各学部に学科が増設される)の予定があり、それによって変動する可能性もあります。

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