名前が似ているオンリーワン学部のカリキュラムがどうなっているか、気になりますよね。実際に教育の特長や主な科目は書いてありますが、カリキュラム様式の特徴について比較していきたいと思います。
今回は学際系情報学部のカリキュラムです。以下の学部を見ていきます。
明治大学 情報コミュニケーション学部
青山学院大学 社会情報学部
中央大学 国際情報学部
同志社大学 文化情報学部
基本的な数字を一覧にすると以下の通りです。
項目 | 情報コミュニケー ション学部 | 社会情報学部 | 国際情報学部 | 文化情報学部 |
卒業単位 | 124 | 134 | 124 | 124 |
教養科目 | 10 | 36 | 24 | 40 |
うち英語 | 6 | 10 | 8 | 8 |
うち第二外国語 | 4 | 4 | 0 | 4 |
専門科目 | 78 | 80 | 84 | 73 |
うち必修 | 4 | 20 | 54 | 17 |
うち演習系必修 | 0 | 8 | 12 | 7 |
うち卒業論文・研究 (必修) | 0 | 6 | 4 | 8 |
うち情報系必修 | 0 | 4 | 14 | 0 |
自由科目 | 36 | 18 | 16 | 11 |
学位名 | 情報コミュニケー ション学 | 学術 | 国際情報 | 文化情報学 |
Contents
明治大学 情報コミュニケーション学部
まず明治大学の情報コミュニケーション学部です。2019年度履修要項をもとに分析します。
教養区分がない
大きな特徴といえば教養科目がないことです。実際に外国語科目という名称しかありません。そのかわり専門科目の中に「人文科学、社会科学、自然科学」の区分があり、それぞれ4単位、4単位、2単位の履修が義務付けられておりこれが教養科目の代わりといえます。
それを合わせても教養関係科目18単位はやや少ないです。
必修がほとんどない
次の特徴は必修がほぼないことです。情報コミュニケーション学入門A(2単位)、B(2単位)の合計4単位だけしか必修になっていません。
多少縛りがあるものとして、研究方法(情報技術や表現技術等の科目群)が選択必修で10単位が要求されていますが、こちらも体系的な履修方法は指示されていません。(情報系科目には習熟度別の履修が求められますが)
この点に関しては、迷子を生み出してしまう可能性があります。
選択の幅が広い
履修の縛りがないということは逆に言うと科目選択の幅が広いということになります。また、学部科目でなくても履修できる自由選択科目が36単位と多いことも特徴になっています。
これをまとめると明治大学の情報コミュニケーション学部は教養学部的な学部形態だと言えるでしょう。履修要項にもこれが大学であるという趣旨の記述があります。
この学部に入った人は自分の目標に向かったカリキュラム設計の力が求められると言えます。
青山学院大学 社会情報学部
次に青山学院大学の社会情報学部です。こちらも2019年度履修要項をもとにしています。
リエゾン制度
青山学院大学社会情報学部の大きな特徴はリエゾン制です。リエゾンとは連携や窓口という意味があるようですね。
単純なコース制度というわけではなく、3つの領域から2つを選択して科目を履修するという形を取ります。表現を変えればダブルメジャーに近いかもしれません。
これによって、幅広い科目群の中から選択する際の指標を提供していると言えます。
情報系の基礎と経済学の基礎
社会情報学部は名称の通り、社会と情報を中心に学びます。
そのために必修科目として情報系の科目が4単位分、経済系の科目(統計学含む)が6単位分必修となっています。また、人間というリエゾンがあるため人間科学やコミュニケーション関係の科目が4単位分必修です。
既存学部のどこに近いかというと難しいですが、必修科目を見ると経済情報系学部に近いかもしれません。
科目種としては概論と方法論(情報系や統計学)の基礎は必修となっています。また演習科目も必修になっているため、その点では迷子にならないように工夫されています。
カリキュラムと教員は少しねじれている
カリキュラム上情報系科目はいくつか必修となっています。ただし、この数は他の情報系の学部と比較すると少なくなっていますし、情報系の基礎となる数学系の科目も選択必修の2単位分以外は選択科目となっています。
一方で教員構成を見てみたところ、どちらかといえば自然科学系の学位を持っている教員のほうが多くなっています。
学際系学部のためにいろいろな層の学生がいることを念頭に置いてカリキュラムを組んでいるのではないかと推測されますが、専門科目の段階で情報系の能力に差が出てくる恐れがあります。
卒業単位数が多いため、この部分を犠牲にしてでも、情報系能力の育成に力を入れてみてはどうかと思います。
中央大学 国際情報学部
次は中央大学国際情報学部です。この学部は2019年度に新設されたもので、そのカリキュラム表を参考にしました。
必修の多いカリキュラム
他の学部と比較して目立つのは必修の多さです。中でも演習系の科目は1年次から4年次まで全て憎まれています。
また、概論を除くと、情報系で14単位、そして法学系で22単位が必修となっています。
それ以外にも表の数字に入れていませんが、教養科目では哲学と倫理学が必修となっているなど、全体のカリキュラムのうち半分程度が必修科目というこの分野では珍しい形式となっています。
学部名からは想像できない
もちろん学部の説明を読めば理解できるのですが、学部名は国際情報学部です。他に国際学部や情報学部もあるため、名前だけ見ると、外国語と情報に力を入れるのかと思いますが、この学部は違います。
内容は情報学×法学です。
むしろ第二外国語が必修ではないなど、国際的要素は他の国際系学部と比較すると少ないです。
評価は今後
先ほども記載した通り、この学部はできたばかりです。将来的に情報学と法学どちらの色が強くなるのか、はたまた理想通り両立するのか、卒業生が出るのを待つしかないですね。
同志社大学 文化情報学部
次は同志社大学文化情報学部です。こちらは2019年度学則を参考にしました。
基本的な部分のみ必修
1年次から概論、研究法、演習、卒業研究といった項目のみが必修となる、いわば「背骨型カリキュラム」の典型的な形式です。
毎年演習などの必修があるため、その科目をキーとしてがりきゅらむを考えることができます。
情報系の必修はない
惜しい点としては、情報系の必修科目がないことです。もちろん科目上縛りは設けられていて、情報系科目を履修しなければなりません。
ただ、そこについて基本的な科目はどれだとか、これをやるためにはこの科目が必要だという道しるべがないため、特に初学者は手探りで履修することになりそうです。
せっかくなので、基本的な科目は必修にしてみてはどうかなと思います。
内容はきっちり文化と情報
肝心の科目ですが、きっちり文化系と情報系に分かれているようです。
教員の構成も確認しましたが、文学を中心とした人文科学系の教員と工学や情報科学を中心とした自然科学系の教員がちょうど半々くらいの構成でした。
勘違いする人はいないと思いますが、これまで挙げてきた他の学部と異なり、社会科学系の分野をこの学部に期待してはいけません。