受験の際に一括りのグループにされることの多いGMARCH(頭文字順に学習院大学・明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)ですが、どのくらいの規模でどの分野が多いのかを見ていきたいと思います。
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大学によって定員の推移は様々
上のグラフは各大学の入学定員の推移です。入学定員は多い順に明治、法政、中央、立教、青山学院、学習院となっています。
大学によっては定員が増加している大学もあれば減少している大学もあります。これには理由があります。
昼の定員だけならどの大学も増加している
上のグラフは昼間部だけ(夜間部を含まない)の入学定員の推移です。これを見ると、どの大学も増加していることがわかります。増えていないのは学習院大学くらいです。
これは18歳人口が多い90年代まで夜間部が各大学にあったことを示しています。そして2000年代以降はどの大学も夜間部を廃止して昼間の定員に振り替えており、その分昼の定員が増えています。
また、ここ数年でもう一段階増加していますが、これは23区内の定員増加規制が始まる前に、入学定員を増やしたことから生じました。特に明治大学は増加分だけで約1,000人とかなり大規模な増加となっています。
学部改組はどうなっているのか?(1962年以降)
学習院大学
学習院大学の学部設置状況は以下の通りです。
法学部・経済学部(1964年※政経学部の分離独立)
国際社会科学部(2016年)
学習院大学は入学定員が増えていないことからもわかりますが、学部の新設自体が実質1回となっています。また設置された学部も国際という名称が入っていますが、オーソドックスな名称を使用しています(国際・社会科学部なのか国際社会・科学部なのかで異なりますが、学部のホームページによると前者のようです)。
明治大学
明治大学の学部設置状況は以下の通りです。
理工学部(1989年※工学部からの名称変更)
情報コミュニケーション学部(2004年)
国際日本学部(2008年)
総合数理学部(2013年)
理工学部は名称変更(理学分野の追加)なので置いておくとして、情報や国際という名前の付いた学部が設置されています。ただし、オンリーワン学部もしくは日本で初めて設置された学部となっています。
また、分野も学際系となっていますが、社会科学に近い情報コミュニケーション学部、人文科学に近い国際日本学部、自然科学に近い総合数理学部とバランスが取れています。
青山学院大学
青山学院大学の学部設置状況は以下の通りです。
理工学部(1965年)
経営学部(1966年)
国際政治経済学部(1982年)
総合文化政策学部(2008年)
社会情報学部(2008年)
教育人間科学部(2009年)
地球社会共生学部(2015年)
コミュニティ人間科学部(2019年)
青山学院大学は1980年代までの比較的オーソドックスな学部設置の期間と2000年代後半以降のオンリーワンに近い学部の設置時期の2つに分かれます。特に教育人間科学部とコミュニティ人間科学部はキャンパスが異なるとはいえやや名称が似ています(もともと教育人間科学部から派生した学部のようですが)。
立教大学
立教大学の学部設置状況は以下の通りです。
観光学部(1998年)
コミュニティ福祉学部(1998年)
経営学部(2006年)
現代心理学部(2006年)
異文化コミュニケーション学部(2008年)
立教大学は独自の学部を設置することが多いですが、唯一オーソドックスな経営学部もリーダーシップを育成するプログラムを置くなど看板学部となっています。
また、立教大学は同年に2学部設置することが多いです。
中央大学
中央大学の学部設置状況は以下の通りです。
総合政策学部(1993年)
国際経営学部(2019年)
国際情報学部(2019年)
中央大学は新設学部がないことで有名でしたが、2019年に2学部を設置しました。両方とも国際という名称が入った学部になっており、時代を反映したものとなっています。それ以前に設置された総合政策学部も慶應義塾大学に設置されて以来ブームになっており、設置数は少ないものの、時代の流れを反映したものを設置する方針のようです。
法政大学
最後に法政大学の学部設置状況は以下の通りです。
国際文化学部(1999年)
人間環境学部(1999年)
現代福祉学部(2000年)
情報科学部(2000年)
キャリアデザイン学部(2004年)
デザイン工学部(2007年)
理工学部(2008年※工学部からの名称変更)
生命科学部(2008年)
スポーツ健康学部(2009年)
まず新設された学部数が多いことが特徴です。次にその新設期間がほぼ10年間に集中していることです。この時期の入学定員の増加状況を見ると、全体の入学定員はあまり増加せず、昼間のみの入学定員は増加しています。これは主に夜間部の定員が新設学部の定員として使われていたということを示しています。
また、新設された学部を見ると自然科学系の学部が多くなっています。
どの分野の定員が多いのか?
では現在これらの大学はどの分野の定員が多くなっているのか見ていきたいと思います。2020年は現在募集している予定の定員です。
各大学の学部は以下の基準で分類しました。
人文科学系:文学部、総合文化政策学部、国際文化学部
社会科学系:政経学部、政治経済学部、国際政治経済学部、法学部、経済学部、経営学部、国際経営学部、商学部、社会学部、国際社会科学部
自然科学系:理学部、工学部、理工学部、農学部、デザイン工学部、情報科学部、生命科学部、総合数理学部
学際系:情報コミュニケーション学部、国際日本学部、教育人間科学部、社会情報学部、地球社会共生学部、コミュニティ人間科学部、観光学部、コミュニティ福祉学部、現代心理学部、異文化コミュニケーション学部、総合政策学部、国際情報学部、人間環境学部、キャリアデザイン学部、グローバル教養学部、スポーツ健康学部
ちなみに医療系はこれらの大学にはありません。
学習院大学
大学名 | 学部名 | 1962年 | 1970年 | 1980年 | 1990年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 |
学習院大学 | 人文科学系 | 34.1% | 30.3% | 35.4% | 34.3% | 33.8% | 34.4% | 32.7% |
学習院大学 | 社会科学系 | 58.8% | 60.6% | 55.6% | 57.1% | 57.6% | 54.0% | 57.1% |
学習院大学 | 自然科学系 | 7.1% | 9.1% | 9.0% | 8.6% | 8.5% | 11.6% | 10.2% |
学習院大学 | 学際系 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
学習院大学 | 医療系 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
学習院大学は新設が少ないという事情もあり、あまり比率が変化していません。系統別にも社会科学が最も多く、次に人文科学となっておりこの2系統で90%を超えます。オーソドックスな文系中心の大学だと言えます。
明治大学
大学名 | 学部名 | 1962年 | 1970年 | 1980年 | 1990年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 |
明治大学 | 人文科学系 | 11.8% | 11.4% | 13.0% | 13.0% | 12.8% | 11.3% | 11.7% |
明治大学 | 社会科学系 | 74.1% | 71.4% | 70.6% | 66.6% | 65.4% | 55.8% | 51.1% |
明治大学 | 自然科学系 | 14.1% | 17.2% | 16.4% | 20.5% | 21.8% | 22.2% | 25.3% |
明治大学 | 学際系 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 10.7% | 11.9% |
明治大学 | 医療系 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
明治大学は法律学校が起源ということもあり、元々社会科学系の比率が高くなっていましたが、徐々にその比率が低下しており、現在は半分程度となっています。
その代わりに自然科学系と学際系が増加しています。特に自然科学系は全体の定員の4分の1程度まで増えてきています。
青山学院大学
大学名 | 学部名 | 1962年 | 1970年 | 1980年 | 1990年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 |
青山学院大学 | 人文科学系 | 45.3% | 36.1% | 33.9% | 30.4% | 30.6% | 27.5% | 22.4% |
青山学院大学 | 社会科学系 | 54.7% | 50.2% | 52.5% | 56.7% | 56.7% | 46.1% | 41.8% |
青山学院大学 | 自然科学系 | 0.0% | 13.7% | 13.6% | 12.9% | 12.8% | 13.3% | 14.6% |
青山学院大学 | 学際系 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 13.1% | 21.3% |
青山学院大学 | 医療系 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
青山学院大学は元々人文科学と社会科学系統しかなく、特に人文科学系の比率が高い大学でしたが、徐々にその比率が低下し、現在は4分の1以下の比率となっています。
それに代わって、学際系の比率が上昇しています。とはいえ、学際系で設置された学部は元々は人文科学起源のもの(教育人間科学部、コミュニティ人間科学部など)が多いことから、現在も人文科学の色が濃い大学とも言えるかもしれません。
立教大学
大学名 | 学部名 | 1962年 | 1970年 | 1980年 | 1990年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 |
立教大学 | 人文科学系 | 20.8% | 26.2% | 24.8% | 23.0% | 21.1% | 19.4% | 19.2% |
立教大学 | 社会科学系 | 70.8% | 69.4% | 71.0% | 71.2% | 58.2% | 47.3% | 47.1% |
立教大学 | 自然科学系 | 8.3% | 4.5% | 4.2% | 5.8% | 6.5% | 6.4% | 6.4% |
立教大学 | 学際系 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 14.3% | 26.9% | 27.3% |
立教大学 | 医療系 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
立教大学は社会科学系の比率が高い大学でしたが、こちらも他の大学と同様にその比率は低下しています。と同時に他の大学と同様に学際系の比率が上昇しており、全体の4分の1以上は学際系で占められます。
ただし、学際系にカウントされる中でも、異文化コミュニケーション学部と現代心理学部や観光学部の一部は人文科学系からの派生分野であり、やや人文科学系統の色が濃くなっていると言えるかもしれません。
中央大学
大学名 | 学部名 | 1962年 | 1970年 | 1980年 | 1990年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 |
中央大学 | 人文科学系 | 8.9% | 9.7% | 16.3% | 15.6% | 18.7% | 16.6% | 15.8% |
中央大学 | 社会科学系 | 72.7% | 71.3% | 68.6% | 66.9% | 61.7% | 63.0% | 60.8% |
中央大学 | 自然科学系 | 18.4% | 19.0% | 15.1% | 17.5% | 15.3% | 15.8% | 16.2% |
中央大学 | 学際系 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 4.3% | 4.6% | 7.2% |
中央大学 | 医療系 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
中央大学も明治大学と同様に法律学校が起源となっているため社会科学系の比率が高い大学です。現在はややその比率が下がっていますが、それでも60%以上が社会科学系となっています。学際系の比率も低く、現在でも社会科学系中心の大学であると言えます。
法政大学
大学名 | 学部名 | 1962年 | 1970年 | 1980年 | 1990年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 |
法政大学 | 人文科学系 | 19.5% | 15.7% | 15.3% | 14.3% | 15.5% | 14.2% | 14.0% |
法政大学 | 社会科学系 | 74.0% | 71.3% | 70.6% | 70.2% | 58.0% | 51.1% | 49.4% |
法政大学 | 自然科学系 | 6.5% | 13.1% | 14.2% | 15.6% | 18.2% | 17.5% | 19.1% |
法政大学 | 学際系 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 8.2% | 17.2% | 17.4% |
法政大学 | 医療系 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
法政大学も同様に法律学校が起源なので社会科学系の多い大学でしたが、現在はその比率は半分以下となっており、その分が自然科学系と学際系になっています。
特に新設学部ラッシュが続いた2000年から2010年の間に大きくその比率が上がっています。