今回は各学校種でどんな施設を設置するように指定されているか見ていきます。比較するのは大学、短大、高専、専門学校の4つです。
これらは以下の設置基準に規定されています。
大学:大学設置基準
短大:短期大学設置基準
高専:高等専門学校設置基準
専門学校:専修学校設置基準
設置基準上の設備の種類
各設置基準で指定されている項目は以下の表のとおりです。〇は原則設置するもの、△はできれば設置するもの、記載がないものは記載なしとしています。厳密にいうと施行規則などでトイレの個数など細かいところまで指定されるものもありますが、大きく必要とされているものと思ってください。
項目 | 大学 | 短大 | 高専 | 専門学校 |
学長室 | 〇 | 〇 | 〇 | 記載なし |
会議室 | 〇 | 〇 | 〇 | 記載なし |
事務室 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
研究室 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
教員室 | 記載なし | 記載なし | 〇 | 記載なし |
教室(講義室、演習室、実験・実習室) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
図書館 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
医務室 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
学生自習室 | 〇 | △ | 記載なし | 記載なし |
学生控室 | 〇 | △ | 〇 | 記載なし |
情報処理学習室 | △ | △ | △ | 記載なし |
語学学習室 | △ | △ | △ | 記載なし |
運動場 | 〇 | 〇 | 〇 | 記載なし |
体育館 | 〇 | 〇 | △ | 記載なし |
厚生施設 | △ | △ | △ | 記載なし |
運動場や図書室などまあ記載があってもいいかなというものから学長室や会議室など、そこまで指定するか?というレベルのものまであります。
基本的には指定されているものは似ていますが、専門学校は全体的に指定されている項目が少なくなっています。最低限教室と事務室があれば学校として成立するということでしょうか。
残りの大学、短大、高専は非常に似ていますが、大学は学生自習室が必須になっていること、高専は教員室が必須になっていることが特徴として挙げられるかと思います。
大学はあくまで自分で学修・研究する機関であることが施設面からも規定されています。また、高専は中等教育段階の教育も含むので教員室というのが別途設置されています。(大学や短大だと研究室が教員の居室になります)
短大ですが、大学と項目は同じで必須とされる項目が少なくなっています。このあたりの項目は短大も大学と同等にしてもよいのではないかと思います。
付属施設(大学)
上記の設備以外に大学だけは付属施設の規定があります。付属施設は以下の通りです。
分野 | 必要施設 |
教員養成 | 附属学校もしくはこども園 |
医学・歯学 | 附属病院 |
農学 | 農場 |
林学 | 演習林 |
獣医学 | 家畜病院 |
畜産学 | 飼育場もしくは牧場 |
水産・商船 | 練習船 |
水産増殖 | 養殖施設 |
薬学 | 薬草園+薬学実務施設 |
体育 | 体育館 |
工学 | 実験・実習工場 |
昔から国立大学に附属中学があることをずっと不思議に思っていましたが、教員養成学部があると附属の学校が必須なんだと改めて思いました。まあこれらの学校は筑波大の附属とか東京学芸大の附属とかの例を出すまでもなく、各地域でブランド校化しているわけですが(地方だと附属中学はどこも優秀ですよね)。
それ以外にも主に理系の学部で設備が必要とされています。理系のほうが必要とされる教員数が多く、かつこのような施設の設置・維持費もかかるので学費に転嫁されているわけです。
以上が大学・短大・高専・専門学校に設置されるべき施設です。参考にしてください。