今回は産近甲龍の財務状況を比較してみたいと思います。基準等については以下を参照してください。
また以下のサイトの情報を参照しました。附属校の財務なども含まれます。
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教育活動収支差額はどうなっているのか?
教育活動収支差額比較表
教育活動収支差額 (単位:百万円) | 京都産業 | 近畿 | 甲南 | 龍谷 |
2015年度 | 673 | 7,003 | -334 | 441 |
2016年度 | 236 | 6,697 | -9 | 1,028 |
2017年度 | 934 | 7,146 | 547 | 1,454 |
2018年度 | 849 | 7,984 | -121 | 2,514 |
教育活動の収支は異なる
各大学の数値で最も目立つのは近畿大学だと思います。近畿大学は医学部を有しており、その分が非常に大きくなっています。
それ以外には龍谷大学の増加が目立ちます。龍谷大学は学納金収入が伸びており、その分が教育活動収支差額に反映されています。
経常収支差額はどうなっているか?
経常収支差額比較表
経常収支差額 (単位:百万円) | 京都産業 | 近畿 | 甲南 | 龍谷 |
2015年度 | 1,150 | 7,242 | -66 | 1,018 |
2016年度 | 599 | 7,101 | 206 | 1,586 |
2017年度 | 1,301 | 7,182 | 809 | 1,972 |
2018年度 | 1,240 | 8,029 | 223 | 3,021 |
どの大学もプラス
どの大学も教育活動収支差額よりも数字が大きくなっていることがわかります。つまり受取利息などでどの大学もプラスになっているということを意味しています。
ここでは甲南大学に着目します。甲南大学は教育活動収支差額の段階ではマイナスとなっている年が多くありましたが、経常収支差額の段階ではほぼプラスになっています。つまり、学費分以上にお金をかけていることの裏返しとなります。。
教育研究比率はどうなっているのか?
教育研究比率比較表(教育研究経費/教育活動支出で計算 ※医療経費除く)
教育研究比率 | 京都産業 | 近畿 | 甲南 | 龍谷 |
2015年度 | 34.9% | 17.8% | 37.0% | 36.3% |
2016年度 | 35.4% | 18.5% | 37.4% | 36.7% |
2017年度 | 36.6% | 19.0% | 37.8% | 37.0% |
2018年度 | 37.6% | 19.3% | 38.0% | 37.2% |
近畿大学は低く見えるが…。
教育研究にかける比率は35~38%の範囲となっていますが、近畿大学だけは19%程度となっています。これは医療経費を除いているためで、医療経費を含むと49%前後で推移しています。
これについてはちょっと微妙です。医療経費については一部の学部にしか適応されませんのでほとんどの学生には還元されません。一方で研究分野での医学部の存在感は非常に大きいです。
医学部を持っている大学が世界大学ランキングなどに多くランクインしていることを考えると妥当なお金のかけ方かとも思いますが、教育という観点からはやや少ないという印象を受けます。
支払資金はどう推移しているか?
支払資金推移比較表
支払資金 (単位:百万円) | 京都産業 | 近畿 | 甲南 | 龍谷 |
2015年度 | 6,192 | 54,261 | 9,546 | 9,600 |
2016年度 | 6,524 | 45,275 | 8,929 | 10,778 |
2017年度 | 7,012 | 50,372 | 9,677 | 14,077 |
2018年度 | 8,563 | 51,966 | 10,080 | 15,766 |
資金を増やしている
支払資金についてはどの大学も増加傾向にあります。資金額が最も多いのは近畿大学で500億円以上の支払資金を有しています。また龍谷大学はこの4年間で50億円増加しています。
これらの大学については教育への還元がもう少し問われてもよいのではないかと思います。もう既に何らかの投資計画ができているのかもしれませんが。
第3号基本金はどう推移しているか?
第3号基本金推移比較表(2010年度から)
第3号基本金 (単位:百万円) | 京都産業 | 近畿 | 甲南 | 龍谷 |
2010年度 | 9,455 | 0 | 3,825 | 566 |
2011年度 | 9,494 | 0 | 3,876 | 566 |
2012年度 | 9,500 | 0 | 3,926 | 566 |
2013年度 | 9,500 | 674 | 4,141 | 566 |
2014年度 | 9,500 | 800 | 4,193 | 566 |
2015年度 | 9,500 | 900 | 4,244 | 596 |
2016年度 | 9,500 | 1,000 | 4,355 | 596 |
2017年度 | 9,500 | 1,006 | 5,057 | 596 |
2018年度 | 9,500 | 1,006 | 5,110 | 596 |
大学の戦略の違いが顕著
第3号基本金は教育研究への基金という位置づけですが、大学によって戦略が異なります。
この点で当初から最も額が多いのは京都産業大学で2010年度の段階で100億円弱の基金を有しています。ついで甲南大学が着実にその額を増やしています。
一方で近畿大学は2013年度から増やし始めているため京都産業、甲南の2大学には及びません。
龍谷大学はこれらの大学と比較すると小さい金額のまま保有している感じです(それでも6億円ほどありますが)。