今回も学校基本調査の数値から大学の学部の変遷を見ていきます。今回は2010年代前半(2010年度~2014年度)です。
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2010年度
学部数2,479学部(前年比+44学部)
新しく設置された学部:総合社会学部(近畿大学)、キャリア形成学部(京都光華女子大学)、福祉貢献学部、人間情報学部、交流文化学部、健康医療科学部、メディアプロデュース学部(以上愛知淑徳大学)、医療経営管理学部(新潟医療福祉大学)、環境社会学部(城西国際大学)、現代日本社会学部(皇学館大学)、子ども未来学部(田園調布学園大学)、社会安全学部(関西大学)、心理こども学部(梅花女子大学)、人間栄養学部(聖徳大学)、総合生命科学部(京都産業大学)、動物看護学部(ヤマザキ学園大学)、歴史学部(佛教大学)
なくなった学部:地域発展学部(作新学院大学)、音楽・文化学部(上野学園大学)
学部数は前年比44学部増と、これまでの数年間と比較すると増加ペースが鈍化しました。このあたりから文学部、経済学部、工学部などの学部が減少に向かい、一方で看護学部が増加していきます。
新しい学部も17学部と少なくなりました。しかも、そのうち5学部は愛知淑徳大学の大規模な学部改組の結果誕生したものであり、他の大学の動きは比較的少なかったと言えます。新規使用の名称は「形成」「貢献」「安全」「動物」「歴史」の5つとなっています。
この年は地域発展学部と音楽・文化学部がなくなりました。地域発展学部は総合政策学部に、音楽・文化学部は元の音楽学部に名称変更しています。一般的な名称に回帰したともいえます。
学部名 | 学部数 | 前年比 |
総計 | 2,479 | +44 |
経済学部 | 168 | ±0 |
工学部 | 145 | -4 |
文学部 | 131 | -2 |
法学部 | 119 | -1 |
経営学部 | 88 | ±0 |
医学部 | 79 | ±0 |
看護学部 | 77 | +7 |
薬学部 | 73 | ±0 |
教育学部 | 67 | +1 |
人文学部 | 60 | ±0 |
2011年度
学部数2,463学部(前年比-16学部)
新しく設置された学部:グローバル・コミュニケーション学部(武蔵野大学、同志社大学)、建築学部(工学院大学、近畿大学)、生活創造学部(川村学園女子大学)、医療経営学部(広島国際大学)、映画学部(日本映画大学)、英語キャリア学部(関西外国語大学)、健康・スポーツ科学部(武庫川女子大学)、現代家政学部(京都華頂大学)、国際こども教育学部(常磐会学園大学)、国際文理学部(福岡女子大学)、子ども生活学部(宇都宮共和大学)、都市経営学部(福山市立大学)、農食環境学部(酪農学園大学)
なくなった学部:国際商学部(九州国際大学)、商船学部(東京商船大学もしくは神戸商船大学)
学部数は久々に16学部減少しました。経済学部、工学部、法学部が減少していることが大きな要因となっています。新規に設置された学部も13学部にとどまりました。新しく使用された名称も「映画」のみで、日本映画大学という専門の大学に設置されただけです。
この年は国際商学部と商船学部がなくなりました。
国際商学部は九州国際大学に設置されていましたが、2005年に国際関係学部に名称変更しています。商船学部は東京商船大学及び神戸商船大学に設置されていましたが、双方とも2004年の国立大学の統廃合でそれぞれ東京海洋大学、神戸大学になり学部名称も海洋科学部、海洋工学部(以上東京海洋大学)、海事科学部(神戸大学)になりました。
学部名 | 学部数 | 前年比 |
総計 | 2,463 | -16 |
経済学部 | 160 | -8 |
工学部 | 141 | -4 |
文学部 | 131 | ±0 |
法学部 | 114 | -5 |
経営学部 | 89 | +1 |
医学部 | 79 | ±0 |
看護学部 | 78 | +1 |
薬学部 | 73 | ±0 |
教育学部 | 71 | +4 |
人文学部 | 57 | -3 |
2012年度
学部数2,456学部(前年比-7学部)
新しく設置された学部:共同獣医学部(山口大学、鹿児島大学)、地域保健学域、現代システム科学域(以上大阪府立大学)、コミュニケーション文化学部(松蔭大学)、ビジネス創造学部(嘉悦大学)、モチベーション行動科学部(東京未来大学)、言語文化学部(東京外国大学)、情報社会学部(大阪経済大学)、生物学部(東海大学)、生物地球学部(岡山理科大学)、生命学部(広島工業大学)
なくなった学部:行政社会学部(福島大学)、獣医畜産学部(北里大学)、経営政策学部(桜美林大学)、社会文化学部(大手前大学)、産業経営学部(長岡大学)、政策マネジメント学部(吉備国際大学)、産業システム学部(新潟産業大学)、生活福祉学部(平安女学院大学)
学部数は二年連続で減少しました。この年も経済学部、工学部、文学部、法学部の減少が目立ちます。一方で経営学部と看護学部は増加しており、相対的にポジションが上がっています。新規学部も11学部と前年より減少し、なくなった学部が8学部もあります。
新しく使用された名称も「共同」のみであり、しかもこれは国立大学改革の一環で使用された名称です。
なくなった学部を見ると、社会科学系の学部が多いことがわかります。行政社会学部は人文社会学群に、獣医畜産学部は獣医学部に、経営政策学部はビジネスマネジメント学群に、社会文化学部は総合文化学部に、産業経営学部は経済経営学部に、政策マネジメント学部は国際環境経営学部に、生活福祉学部は子ども学部に名称変更しました。産業システム学部は入学定員減とともに経済学部に吸収される形で募集停止となっています。概ねメジャーな名称に変更されていることがわかります。
学部名 | 学部数 | 前年比 |
総計 | 2,456 | -7 |
経済学部 | 154 | -6 |
工学部 | 136 | -5 |
文学部 | 127 | -4 |
法学部 | 112 | -2 |
経営学部 | 90 | +1 |
看護学部 | 83 | +5 |
医学部 | 79 | ±0 |
教育学部 | 74 | +3 |
薬学部 | 73 | ±0 |
人文学部 | 57 | ±0 |
2013年度
学部数2,441学部(前年比-15学部)
新しく設置された学部:グローバルビジネス学部(昭和女子大学)、グローバル地域文化学部(同志社大学)、ポピュラーカルチャー学部(京都精華大学)、リハビリテーション科学部(北海道医療大学)、医療情報学部(北海道情報大学)、観光メディア文化学部(松蔭大学)、基盤工学部(東海大学)、建築・環境学部(関東学院大学)、児童スポーツ教育学部(日本体育大学)、食環境科学部(東洋大学)、総合数理学部(明治大学)、地域共創学部(札幌大学)、地域創成農学部(吉備国際大学)、口腔歯学部(福岡歯科大学)
なくなった学部:総合人間・文化学部(東亜大学)、環境保健学部(麻布大学)、情報社会政策学部(愛知学院大学)、国際開発学部(拓殖大学)、情報デザイン工学部、電子情報学部(以上東海大学)、環境造園学部(南九州大学)、環境防災学部(常葉大学【富士常葉大学】)、ソーシャルワーク学部、創造芸術学部(以上創造学園大学)、総合キャリア学部(LEC東京リーガルマインド大学)、ファッション造形学部(神戸ファッション造形大学)、キャリア実践学部(岡山学院大学)
三年連続で学部数は減少しました。この年も経済学部、工学部、文学部、法学部の4学部だけで13学部も減少しています。特に工学部は7学部も減少しました。
新しく使用された言葉は「ポピュラー」「カルチャー」「基盤」「共創」「創成」「口腔」となっています。共創や創成など創造に類する名称が増えていることがわかります。
なくなった学部を見ると、ソーシャルワーク学部、創造芸術学部、総合キャリア学部、ファッション造形学部は大学自体が募集停止したことに伴い、学部もなくなっています。
それ以外の学部を見ると、総合人間・文化学部は人間科学部に、環境保健学部は生命・環境科学部に、情報社会政策学部は総合政策学部に、国際開発学部は国際学部に、電子情報学部は情報理工学部に、環境造園学部は環境園芸学部に、環境防災学部は社会環境学部に名称変更しています。情報デザイン工学部とキャリア実践学部はそのまま募集停止となりました。
学部名 | 学部数 | 前年比 |
総計 | 2,441 | -15 |
経済学部 | 152 | -2 |
工学部 | 129 | -7 |
文学部 | 124 | -3 |
法学部 | 111 | -1 |
経営学部 | 91 | +1 |
看護学部 | 86 | +3 |
医学部 | 79 | ±0 |
教育学部 | 73 | -1 |
薬学部 | 73 | ±0 |
人文学部 | 50 | -7 |
2014年度
学部数2,433学部(前年比-8学部)
新しく設置された学部:アニメーション文化学部(吉備国際大学)、医療栄養学部(広島国際大学)、英語国際学部(関西外国語大学)、国際キャリア学部(福岡女学院大学)、国際資源学部(秋田大学)、総合グローバル学部(上智大学)、多文化社会学部(長崎大学)
なくなった学部:国際経済学部(麗澤大学)、第一学群、第二学群、第三学群、図書館情報専門学群(以上筑波大学)、開発工学部(東海大学)、経営科学部(大阪学院大学)、情報社会科学部(日本福祉大学)、人文経営学部(開智国際大学)、生命システム工学部(中京大学)、現代法経学部(三重中京大学)、社会環境科学部(広島国際大学)、人間社会福祉学部(福岡医療福祉大学)、人間文化共生学部(聖トマス大学)
学部数は四年連続で減少となっています。傾向は変わらず、経済学部、工学部、文学部が減少し、看護学部が増えるという形になっています。
新しく増えた言葉は「アニメーション」「多文化」の2つのみです。多文化についてはこれまで異文化が使われてきましたが、複数の文化という意図を込めたのでしょうか。
なくなった学部では筑波大学が目立ちます。第一学群、第二学群、第三学群、図書館情報学群は人文・文化学群、社会・国際学群、人間学群、生命環境学群、理工学群、情報学群に改組されますた。やはり数字ではわかりにくかったのでしょう。
それ以外の学部は国際経済学部は経済学部に、経営科学部は経営学部に、情報社会福祉学部は健康科学部に、人文経営学部はリベラルアーツ学部に、生命システム工学部は情報理工学部に、社会環境科学部は工学部に名称変更しました。
また、開発工学部は他の工学系学部に吸収されています。それ以外の現代法経学部、人間社会福祉学部、人間文化共生学部は大学の募集停止とともに学部もなくなりました。
学部名 | 学部数 | 前年比 |
総計 | 2,433 | -8 |
経済学部 | 149 | -3 |
工学部 | 126 | -3 |
文学部 | 123 | -1 |
法学部 | 109 | -2 |
経営学部 | 93 | +2 |
看護学部 | 93 | +7 |
医学部 | 79 | ±0 |
教育学部 | 77 | +4 |
薬学部 | 73 | ±0 |
人文学部 | 50 | ±0 |
2010年代前半の学部の特徴
2010年代前半の特徴は以下の通りです。
1.学部数が減少した。減少の大きな要因は経済学部、工学部、文学部、法学部の減少
2.経営学部と看護学部が増加した
3.複雑な名称の学部が比較的汎用性のある学部名に変更した結果、なくなった学部が増加した