私立大学の雄として知られる早稲田大学と慶應義塾大学ですが、この2大学の入学定員を調べてみました。入学定員の数字は文教協会が出していた『全国大学一覧』を参照しました。
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両大学とも増加している
上のグラフは入学定員の推移です。これを見ると早稲田大はかなり早い時期(1970年代)から大きな入学定員を持っていたことがわかります。一方で慶應義塾大学は段階的に入学定員が増えており、現在は早稲田大が約9,000人、慶應義塾大が6,000人強となっています。
比較対象のために「早慶上理」と同グループでくくられることが多い上智大学と東京理科大学の入学定員の推移も入れましたが、この2大学を大きく引き離していることがわかります。
昼間部だけにすると少し様子が異なる
こちらのグラフは先ほどの入学定員を昼間部のみにしたものです。すると早稲田大の入学定員が慶應義塾大と同じく段階的に増加していることがわかります。早稲田大は最近まで第二文学部や社会科学部など夜間の学部を保有しており、それを文化構想学部に改組したり、昼間部に変更したりしたことにより、現在は夜間の学部はなくなっています。
また、1960年代までは政治経済学部・法学部・商学部にも夜間部があり、これらの学部も徐々に昼間部に転換しています。
一方で慶應義塾大は夜間部がなく、変化はありません。
余談ですが、東京理科大学も夜間部が多く(現在も理学部には夜間部が残っています)、昼間部だけにすると入学定員が少なくなります。
学部の改組はどうなっているのか?
上で触れた夜間部から昼間部への転換以外の学部改組を見ていくと以下の通りになります。
早稲田大学:社会科学部(1966年)、人間科学部(1987年)、スポーツ科学部(2003年)、国際教養学部(2004年)、文化構想学部(2007年※これは夜間部からの転換だが学部名が変更になっているため記載)、基幹理工学部(2007年)、創造理工学部(2007年)、先進理工学部(2007年)
慶應義塾大学:理工学部(1981年※工学部からの改組)、総合政策学部(1990年)、環境情報学部(1990年)、看護医療学部(2001年)、薬学部(2008年)
以上を見ると、両大学ともに学際系の学部を新設していますが、慶應義塾大は医療系の新設が多くなっています。
どの系統が多いのか?
大学名 | 学部名 | 1962年 | 1970年 | 1980年 | 1990年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 |
早稲田大学 | 人文科学系 | 15.8% | 17.8% | 18.9% | 18.0% | 18.4% | 17.2% | 17.0% |
早稲田大学 | 社会科学系 | 56.6% | 46.7% | 47.9% | 45.7% | 46.5% | 35.4% | 35.5% |
早稲田大学 | 自然科学系 | 20.1% | 21.6% | 20.3% | 19.4% | 18.1% | 18.9% | 19.4% |
早稲田大学 | 学際系 | 7.5% | 13.9% | 12.9% | 16.9% | 17.0% | 28.5% | 28.2% |
早稲田大学 | 医療系 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
大学名 | 学部名 | 1962年 | 1970年 | 1980年 | 1990年 | 2000年 | 2010年 | 2020年 |
慶應義塾大学 | 人文科学系 | 18.1% | 15.2% | 14.2% | 12.0% | 14.2% | 12.5% | 12.5% |
慶應義塾大学 | 社会科学系 | 65.2% | 63.1% | 66.8% | 58.2% | 54.8% | 53.1% | 53.1% |
慶應義塾大学 | 自然科学系 | 13.8% | 19.2% | 17.0% | 14.4% | 15.1% | 14.6% | 14.6% |
慶應義塾大学 | 学際系 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 13.7% | 14.3% | 13.3% | 13.3% |
慶應義塾大学 | 医療系 | 2.9% | 2.5% | 2.0% | 1.7% | 1.6% | 6.6% | 6.6% |
学部の改組とともに系統別の比率も変化しています。各系統には以下の学部が入っています。
人文科学系:文学部、文化構想学部
社会科学系:法学部、政治経済学部、経済学部、商学部、社会科学部
自然科学系:工学部、理工学部、基幹理工学部、創造理工学部、先進理工学部
学際系:人間科学部、総合政策学部、環境情報学部 、スポーツ科学部 、国際教養学部
医療系:医学部、看護医療学部、薬学部
※設置が古い順に並べています。
社会科学系の比率に大学のカラーが出ている
注目すべきは社会科学系の比率で、慶應義塾大は現在でも半分以上の定員が社会科学系となっているのに対して、早稲田大のほうは人数は減っていないものの、人文科学系や自然科学系の比率が高く社会科学系の比率は比較的低くなっています。
世間のイメージだと慶應義塾大はビジネスに強い(三田会などのイメージ)、早稲田大はマスコミに強いなどだと思いますが、入学定員の比率を見てもそれに近い分布となっていることがわかります。
学際系は両大学とも増える
両大学とも学際系の学部が多く新設されています。というよりはそのためのキャンパス(早稲田大なら所沢キャンパス、慶應義塾大なら湘南藤沢キャンパス)を開設しています。
結果的に学際系に位置付けられる学部系統の比率は上昇しており、その比率は早稲田大で多く、30%弱が学際系に位置付けられます。