今回も学校基本調査をもとに大学の学部の変遷を見ていきます。今回は1980年代後半(1985年度~1989年度)です。
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1985年度
新しく設置された学部:なし
なくなった学部:なし
この年は統計上初めて学部数が減少しました。むしろこれまで30年くらい学部数が増え続けてきたことのほうが驚きです。
新しい学部もなくなった学部もなく、平穏な年でした。
学部名 | 学部数 | 前年比 |
総計 | 1,170 | -6 |
文学部 | 141 | ±0 |
経済学部 | 132 | ±0 |
工学部 | 124 | ±0 |
法学部 | 91 | +1 |
医学部 | 78 | ±0 |
教育学部 | 61 | -1 |
商学部 | 49 | ±0 |
理学部 | 45 | ±0 |
薬学部 | 44 | ±0 |
家政学部 | 39 | ±0 |
1986年度
学部数1,184学部(前年比+14学部)
新しく設置された学部:国際学部(明治学院大学)
なくなった学部:水畜産学部(広島大学)
この年は昨年度減少した学部がすぐに反転して増加に転じました。ここから学部数の増加は加速していきます。
この年には国際学部という「国際」を冠するすっきりした名称の学部が明治学院大学に設置された。国際学部は2017年時点で19学部まで増加しています。
一方で1979年に生物生産学部に改組されていた広島大学の水畜産学部が廃止となってなくなりました。
学部名 | 学部数 | 前年比 |
総計 | 1,184 | +14 |
文学部 | 142 | +1 |
経済学部 | 133 | +1 |
工学部 | 127 | +3 |
法学部 | 92 | +1 |
医学部 | 78 | ±0 |
教育学部 | 61 | ±0 |
商学部 | 49 | ±0 |
理学部 | 45 | ±0 |
薬学部 | 44 | ±0 |
家政学部 | 39 | ±0 |
1987年度
学部数1,213学部(前年比+29学部)
新しく設置された学部:情報工学部(九州工業大学)、人間関係学部(椙山女学園大学)、比較文化学部(上智大学)、食品栄養科学部(静岡県立大学)
なくなった学部:なし
前年に比べて29学部の増加と学部数の増加が加速しました。特に法学部が6学部増とじりじりと増加してきています。
この年に設置された学部は情報工学部、人間関係学部、比較文化学部、食品栄養科学部の4つですが、それぞれこれまで出てきた「情報」「人間」「文化」「栄養」という名称を含んでいます。
その中でも人間関係学部はこの他に大妻女子大学や福岡女学院大学、武蔵野大学(旧武蔵野女子大学)、東海学院大学(旧東海女子大学)などの女子大、もしくは女子大出自の大学に多く設置されているのが特徴となっています。
この年に新しく使用された言葉は「比較」「食品」です。
学部名 | 学部数 | 前年比 |
総計 | 1,213 | +29 |
文学部 | 145 | +3 |
経済学部 | 135 | +2 |
工学部 | 127 | ±0 |
法学部 | 98 | +6 |
医学部 | 78 | ±0 |
教育学部 | 61 | ±0 |
商学部 | 49 | ±0 |
理学部 | 45 | ±0 |
薬学部 | 45 | +1 |
家政学部 | 39 | ±0 |
1988年度
学部数1,249学部(前年比+36学部)
新しく設置された学部:行政社会学部(福島大学【夜間主コースあり】)、国際文化学部(東海大学【北海道】)、現代文化学部(東京女子大学)、生物資源学部(三重大学)
なくなった学部:なし
この年は前年より多い36学部が増加しました。
前年に引き続き4学部が新しく増加しました。生物資源学部は既存の農学部を改組して設置されたもので、徐々に減少してきた農学部がさらに減少することになりました(実際に減少するのは募集停止のタイミングではなく、在籍者がいなくなる数年後)。
新しく使用された言葉は「行政」「現代」「資源」です。結果的に昭和最後の年となったこの年に「現代」という言葉が使用されたことは興味深いですね。
学部名 | 学部数 | 前年比 |
総計 | 1,249 | +36 |
文学部 | 148 | +3 |
経済学部 | 141 | +6 |
工学部 | 129 | +2 |
法学部 | 101 | +3 |
医学部 | 78 | ±0 |
教育学部 | 61 | ±0 |
商学部 | 50 | +1 |
薬学部 | 46 | +1 |
理学部 | 45 | ±0 |
家政学部 | 39 | ±0 |
1989年度
学部数1,288学部(前年比+39学部)
新しく設置された学部:経済情報学部(姫路獨協大学)、生物産業学部(東京農業大学)、国際商学部(九州国際大学)
なくなった学部:なし
前年比39学部増加とこれまでの増加のペースを上回りました。この年度の大きなトピックとしては経営学部のトップ10入りです。経営学部は新制大学設置時には2学部(神戸大学が昼間部と夜間部の2つを設置していたため実質1大学)でしたが、平成の始まりの年には40学部にまで増えています。
また、この年には経済情報学部、生物産業学部、国際商学部の3つが設置されていますが、そのうち経済情報学部と国際商学部について経済学部、商学部という既存の学部に「情報」「国際」という新興の名称を組み合わせた学部となっています。
経済情報学部はそれより前に設置されていた経営情報学部と比較するとあまり学部数は伸びていませんが、この後に設置された大学は東日本国際大学(福島県)を除くと、岐阜聖徳学園大学(岐阜県)、姫路獨協大学(兵庫県)、兵庫大学(兵庫県)、尾道市立大学(広島県)と西日本に偏在しています。やはり近隣の大学をベンチマークにするために、偏りが生じるんですかね。
学部名 | 学部数 | 前年比 |
総計 | 1,288 | +39 |
文学部 | 150 | +2 |
経済学部 | 144 | +3 |
工学部 | 131 | +2 |
法学部 | 105 | +4 |
医学部 | 78 | ±0 |
教育学部 | 62 | +1 |
商学部 | 50 | ±0 |
薬学部 | 46 | ±0 |
理学部 | 46 | +1 |
経営学部 | 42 | +5 |
1980年代後半の特徴
1980年代後半の特徴は以下の通りです。
1.当初は初めて学部が減少したが、すぐ上昇に転じ大幅に増えた
2. 経営学部がトップ10入り
3.「現代」という言葉が昭和最後の年に登場した